腸内フローラの歴史と研究

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実験今では腸内細菌が人間の健康に大きな影響を与えることは常識となっています。

しかし腸内細菌が人間の健康に関わることが一般的になったのはごく最近のことです。

腸内フローラの研究の歴史とはどのようなものだったのでしょうか?

腸内フローラの研究の歴史

微生物の発見

顕微鏡「どうやら目に見えない生物が人間やそのほかの生き物に対して影響を与えているらしい」、今では常識であるこのような考えが現れたのは1600年代になります。

1674年に「微生物学の父」と呼ばれるレーウェンフックという学者が自作した顕微鏡で様々な微生物を発見しました。これらの微生物の中には細菌も含まれています。

小児と腸内フローラ

目に見えない小さい生き物がいる、そして顕微鏡を通してそれを観察することができるということが判明して、微生物学の分野は大きく発展しました。

その潮流の中で腸内フローラが人間の健康に大きな影響を与えると判明したのは小児科の領域からでした。

母乳を飲む赤ちゃん母乳で育つ子どもと人工乳で育つ子どもを比較すると母乳で育つ子どものほうが死亡率が低いことに着目したアンリ・ティシエという研究員が着目しました。

ティシエはその後1899年に母乳で育つ子どもの糞便からビフィズス菌を分離しました。

ビフィズス菌が宿主である子どもの健康状態に大きな影響を与えることが判明し、腸内の環境が人間の健康状態に関与するということが一般的な考えとなりました。

腸内フローラの概念の誕生

1950年代に入ると嫌気性細菌(乳酸菌やビフィズス菌など)の培養技術も確立され、腸内フローラの調査が進みました。

腸内細菌の中でも特に善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌を増やすことで、人体によい影響を与える薬品類・健康食品類の開発も進み、主に乳酸発酵させた発酵乳が一般消費者の間にも普及していきました。

プロバイオティクスの概念の誕生

乳酸菌や酪酸菌などの腸内の善玉菌を直接摂取することで腸内フローラの改善を目指すことを「プロバイオティクス」と呼びます。この概念が生まれたのは1965年のことでした。

その後、「いかに腸内フローラを改善する菌群を生きたまま腸に到達させるか」ということがテーマとなり、様々な善玉菌が研究され商品化されてきました。

1995年には新たに「腸内にもともと生息している菌を増殖させる物質を摂取する」プレバイオティクスという概念が誕生し、現在へ至っています。

現在、がんの発症リスクを増加させてしまう腸内細菌の発見や、腸内フローラの状態の悪化により糖尿病のリスクが高まることが分かっています。

医師腸内フローラの状態によっては寿命も大きく異なり、健康寿命を延ばすため医療分野への応用も期待されています。

近年、良好な腸内フローラの持ち主の細菌群を悪い状態の腸内フローラの持ち主へ移植する「便移植」という治療法の研究が進んでいます。

便移植では潰瘍性大腸炎やクローン病などに対する効果も期待されています。

このように腸内フローラは今までにない病気の治療法を確立する可能性を秘めています

腸内フローラの概念が誕生してから70年が経ちました。

未来では腸内フローラの状態が悪い人がいなくなり、健康寿命がさらに延びているかもしれません。

まとめ

腸腸は人間の免疫を維持するとても重要な器官であり、腸内フローラを良好に保つことは寿命に大きく関わります。健康ブームで腸内フローラの重要性について意識し始めている人も増えていますね。

腸内フローラが人間の健康に寄与する、ということが判明してから100年以上の時間が経過しましたが、まだまだ今後の研究にも期待が高まる分野と言えます。



【執筆者】大見 貴秀医師

大見貴秀医師帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。

「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。

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