日本人の食生活と腸内フローラの特徴とは?

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世界地図人間は人種や住んでいる地域によって体の特性が変化します。

例えば直射日光が強い地域に住んでいる人はメラニン色素が多くなり、紫外線による害から身を守るために肌の色が濃くなる、というのが最も顕著な特徴ではないでしょうか?

そういった目に見えやすい特徴だけではなく、腸内フローラの様子も変化します。

古くから農耕民族として植物性の食品を豊富に摂取してきた日本人の腸内はどのような特徴があるのか見ていきましょう。

日本人の腸内フローラの特徴とは?

おじいちゃんとおばあちゃん日本人の特徴といえばその長い平均寿命です。日本人の平均寿命が長い、ということは戦後からずっと言われ続けてきたことです。

その平均寿命は年々の延びていき、2016年では男性80.98歳、女性87.14歳と過去最高を更新しています。

男性の平均寿命は5年連続で、女性の平均寿命は4年連続で続伸しており、世界では香港に次ぎどちらも2位にランクインしています。

この平均寿命の要因の一つに日本人の食生活と腸内フローラの特徴があると言われています。

日本人の食生活

まず日本人の食生活の特徴として挙げられるのが、脂質の少ない食生活を送っていたということです。

日本人がよく食べる食品は米、大豆、根菜類、海藻、魚介類など脂質が少ない、もしくはω-3系の良質な脂質が多く含まれるものが多いです。

低カロリーかつ、血中の中性脂肪コレステロールを増やしにくい食品を豊富に摂っていました。

食料が豊富な時代となり、カロリーは過剰に摂取してしまいがちな食生活に変遷していっていますが、日本人には肥満の人がほかの先進国各国に比べて少ないようにまだまだヘルシーな食生活を送っています。

大豆製品また日本人が豊富に摂取する根菜類や海藻、大豆や大豆加工食品にはビタミンミネラルのほか食物繊維も豊富に含まれています。

食物繊維は腸内で善玉菌のエネルギー源となり、乳酸菌やビフィズス菌が増殖する要因となります。

これらの善玉菌が優勢になることで悪玉菌の増殖が抑制され、腸内フローラのバランスが改善されます。

同時に食物繊維は腸内の余計な脂質を吸着して体外に排出することで、中性脂肪値やコレステロール値が上昇するのを防ぐ働きもします。

このようにヘルシーな食生活をしていることが腸内環境によい影響を与え、ひいては平均寿命の延びに関わっています。

日本人の腸に生息する細菌群の特徴

ごはんと納豆日本人は古くから米や根菜類、大豆をよく食べてきました。これらの食品の特徴は「炭水化物」を豊富に含むことです。

炭水化物と聞くと「炭水化物抜きダイエット」が流行ったように、食べると太ってしまうものというイメージがあります。

炭水化物はそもそも糖質と食物繊維を総称したものです。糖質は人間の消化酵素によって分解され、ブドウ糖となり脳の重要な栄養素となります。

また「グリコーゲン」として貯蔵され、運動など人間が活動する際に必要なエネルギー源として働きます。

食物繊維は便通を改善し、善玉菌の増殖を助け、脂質の吸収を抑え腸内環境を改善する働きがあります。このように炭水化物は人間にとってとても重要な栄養素です。

日本人の腸に生息する菌類はこれらの炭水化物を効率的に分解するという特徴があります。

諸外国の人々の腸内細菌と比較すると日本人の腸内にはビフィドバクテリウム(ビフィズス菌)が豊富に生息し、糖質や食物繊維を代謝し発酵させる働きが強いことが示唆されています。

ビフィドバクテリウムは糖質や食物繊維をエネルギー源として増殖する際に酢酸を代謝物として生産します。

酢酸は強い酸性を示すため、悪玉菌の増殖を抑制するほか、腸のぜん動運動を促進させ便通を改善させます。

日本人の腸内細菌の炭水化物分解能力の高さはとても特徴的です

海藻日本人が日常的に食べている海苔やワカメ、昆布、メカブといった海藻類に含まれる多糖類(炭水化物の一種)は世界的に見ると分解できない人のほうが多いです。

これらの海藻類を日本人の90%以上が分解できるのに対して、ほかの国の人では高くても15%程度となっています。

日本人は炭水化物をよく摂取し、腸内に特徴的なフローラを形成してきました。

また、日常的な食生活の中で発酵食品を多く摂取することも特有の腸内フローラの形成に寄与していると考えられています。

ぬか漬けやすぐき漬けといった漬物や味噌や納豆、酒粕や酢といった発酵食品も日本人の腸内フローラと平均寿命に大きく関わっています。

まとめ

ごはんと豚汁日本人は古くから米や根菜類、大豆、海藻類といった炭水化物を多く摂取してきました。この食生活により日本人の腸内フローラは「炭水化物を分解する力」に優れるという特徴があります。

特に日本人の腸内にはビフィズス菌が多く生息し、炭水化物から酢酸などの短鎖脂肪酸を生産しています。

そのため悪玉菌の増殖を抑制し、便通を改善することで腸内フローラを良好に保つ力に優れていると考えられています。

日本の昔からの食文化を続けることで、分解能力の高い日本人特有の腸内フローラを保つことにつながります。腸によい食生活を意識するようにしましょう。



【執筆者】大見 貴秀医師

大見貴秀医師帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。

「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。

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