腸内フローラを改善する、善玉菌を増やす・・・そういわれてパッと思いつくものは、乳酸菌やビフィズス菌が含まれた食品ではないでしょうか?
ぬか漬けや納豆、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品はもちろん、ヤクルトやカルピスなどの乳酸菌飲料もそれにあたります。
しかしそれ以外にはなかなか思いつかないのではないでしょうか。
今回は手軽に始められるサプリメントに特化して、腸内フローラを改善させる作用があるものを紹介します。
それぞれの成分について、どのような飲み方や、どの程度の期間続けたほうがよいかなど、お腹に気になるポイントも併せて解説します。
良い腸内フローラを作るサプリメント
腸内フローラを改善させるためには2つの方法があります。
一つは、乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌そのものを摂取して腸内フローラを改善させる方法です。(プロバイオティクス)
もう一つは、もともと腸内に生息している善玉菌のエネルギー源となる成分を摂取することで腸内フローラを改善させる方法です。(プレバイオティクス)
代表的なものは以下になります。
①乳酸菌サプリメント、ビフィズス菌サプリメント
腸内フローラの改善には、乳酸菌サプリ人気が高いです。またビフィズス菌も有名ですね。
乳酸菌やビフィズス菌は、腸内で酸を作り出す働きがあります。そのため酸に弱い悪玉菌の勢力を弱め、腸内フローラを改善します。
これらは食品にも含まれていますが、乳酸菌サプリメントやビフィズス菌サプリメントとしても、摂ることが出来ます。
たとえ殺菌してある乳酸菌サプリや、腸まで届く加工がされていないサプリメントでも効果があることが確認されています。
参考:「5.機能性乳酸菌の活用と今後の課題」日本調理科学会誌Vol.46No.2,129~133(2013)〔講座〕乳酸菌の生理機能とその要因 上西寛司 瀬戸泰幸
乳酸菌やビフィズス菌には様々な株が存在しています。
例えば代表的な乳酸菌飲料であるヤクルトには乳酸菌シロタ株(ラクトバチルス・カゼイシロタ株)という乳酸菌が使用されており、ラブレにはラブレ菌(ラクトバチルス・ラブレ株)という乳酸菌が使用されております。
株によって、生きて腸まで届く力が強いものや、腸内を改善させる働きが強いもの、アレルギーや花粉症を軽減する働きがあるもの、など様々な特徴があります。
腸内フローラを改善させる作用は共通してありますが、そのほかにどのような作用が期待できるかは事前に商品のHPなどで確認するとよいでしょう。
飲み方・タイミング
乳酸菌のサプリメントを飲むタイミングは特に定まっていません。自分が忘れづらいタイミングで飲むようにするとよいでしょう。
しいて言うならば食後に飲むのがおすすめです。食事により胃酸のpHが低下しているため、乳酸菌やビフィズス菌が生きて腸まで届きやすくなります。
もし負担にならなければ朝昼晩と3回に分けて摂取すると、なお効果的です。外部から摂取した乳酸菌やビフィズス菌は腸内になかなか定着しません。一度に摂取しても排泄されてしまいます。少しずつこまめに摂取することで、常に腸内に外部から摂取した乳酸菌・ビフィズス菌が存在できるようになります。
腸内フローラ改善までの期間
乳酸菌、ビフィズス菌のサプリメントは株によって、合う合わないがあるため、まずは最低でも3週間ほど続けてみましょう。その間にお通じの改善など、実感できるものがあれば体に合っています。もしもそのような実感がなければ、もう1か月程度様子を見るか、思い切って違う乳酸菌・ビフィズス菌サプリメントを飲むようにしてもよいでしょう。
注意点
乳酸菌・ビフィズス菌には様々な株があります。合う、合わないは試してみないと分からないことも多いため、複数のサプリメントを同時に使用するのは避けたほうが良いでしょう。どの株が体に合っているか分かりづらくなるだけではなく、腸に作用しすぎて軟便や下痢の原因となることがあります。
②オリゴ糖
オリゴ糖はシロップや粉末の状態で販売されています。基本的に飲み物やヨーグルトに混ぜたりして利用します。
甘さは控えめですが、甘味料の代わりに調理に使うこともあります。またオリゴ糖サプリメントもあるので、気軽に使いたい人には便利です。
オリゴ糖も、善玉菌のエネルギー源となって腸内フローラ改善に役立ちます。そのためプレバイオティクスのサプリメントに該当します。
選び方
オリゴ糖は甜菜やサトウキビなどから抽出され、製造されます。オリゴ糖にも種類がありますが、基本的には甜菜から取れるフラクトオリゴ糖がほとんどです。どのオリゴ糖でも腸内フローラを改善させる働きはあるため、種類にこだわる必要はありません。
シロップや顆粒、サプリメントなど様々な形状があることがオリゴ糖の特徴です。自分の最も使いやすい形状のものを選ぶとよいでしょう。
飲み方・タイミング
オリゴ糖を摂取するタイミングに特に決まりはありません。
ただし腸内で善玉菌を増殖させる働きがあるため、人によってはお通じが多くなったりお腹が緩くなったりすることがあります。
その場合、朝に摂取するより夜、夕食後に摂取したほうが安心です。
腸内フローラ改善までの期間
オリゴ糖は比較的即効性が高く、飲み始めてから1週間程度でお通じの改善などの実感を得ることができます。その後、3か月程度続けると腸内フローラが善玉菌優位なものへと変化していきます。
ただし腸内フローラが改善したからと言って、使用を中止し、肉や油を多く摂取する生活をしてしまうと悪玉菌が増殖し、腸内フローラが乱れます。少量でもいいのでなるべく継続することが重要です。
注意点
オリゴ糖は善玉菌を増殖させる作用があるため、お腹が緩い人では下痢などに悩まされる可能性もあります。お腹が弱い人は商品記載のオリゴ糖摂取量の半量くらいから始めて、徐々に増やしていくなど様子を見ましょう。
③食物繊維サプリメント
食物繊維サプリメントで有名なのはイージーファイバーです。飲み物などに混ぜるだけで食物繊維を補給することができます。
今では様々な食物繊維サプリメントが発売されていて、カプセルや顆粒、粉末など様々な形状を選択することができます。
食物繊維は腸内である程度、善玉菌のエネルギー源となり腸内フローラを改善します。
選び方
食物繊維のサプリメントの大半は難消化性デキストリンです。トウモロコシやイモなどのでんぷん質から作られた成分で、水溶性食物繊維の性質を持っています。
難消化性デキストリンならば商品ごとによって大きな品質、作用の違いもないため、続けやすい価格で選ぶとよいでしょう。
飲み方・タイミング
食物繊維の最大の特徴として、善玉菌のエネルギー源になるほか、余計な脂質を腸内で吸着し、体外に出す働きがあります。
肥満やメタボリックシンドロームの予防に効果的なので、食後、特に脂っこい食べ物を食べた後に摂取するとよいでしょう。
急な飲み会などでは難消化性デキストリンが含まれたトクホ商品を利用するのがお手軽です。コンビニで簡単に購入することができます。
腸内フローラ改善までの期間
期間は特にありません。ただし食物繊維は人間にとっての必須栄養素に分類されています。食物繊維は不足しがちな傾向のある栄養素なので、できるだけ長い期間つづけたほうが良いでしょう。
注意点
食物繊維は一度に摂りすぎると下痢の原因となることがあります。摂取する際はきちんとサプリメントごとの摂取量を守るようにしましょう。また摂取し始めは、お腹が緩くなりやすいです。お腹が緩い自覚がある人は半量程度から始めると安心できます。
④青汁
青汁はケールや明日葉などを絞った汁です。
ケール青汁、明日葉青汁、大麦若葉青汁などで使用される原料の野菜は栄養価が高く、食物繊維も豊富に含まれています。ただし原料に栄養素が豊富でも、実際に青汁として摂取する量は少ないため、青汁だけではそこまで多くの食物繊維を摂取できないこともあります。
青汁の中には食物繊維として難消化性デキストリンを添加したり、乳酸菌やオリゴ糖を加えたりしているものもあります。そのタイプの商品は青汁の栄養補給効果とともに、十分に腸内環境を改善する効果を期待できます。
選び方
腸内フローラを改善させる目的ならば、食物繊維やオリゴ糖、乳酸菌などが含まれた青汁を選びましょう。青汁単体ではそこまで腸内フローラを改善させる作用は強くありません。トクホなどで難消化性デキストリン(水溶性食物繊維)を多く含んだものがおすすめです。
また、食物繊維にはミネラルの吸収を阻害してしまう可能性もあるため、あえて繊維質を除外している青汁もあります。腸内フローラには食物繊維が有効なので、成分を確認してから購入しましょう。
青汁の味が苦手という方は、明日葉サプリや、大麦若葉サプリなどがおすすめです。
飲み方・タイミング
青汁は食品のため、飲むタイミングに決まりはありません。ただし栄養の吸収率を高めるためには、消化器の働きが高まっている食後がよいでしょう。
食物繊維により、余計な脂質を体外に排出する効果も期待することができます。
腸内フローラ改善までの期間
青汁の効果は即効性を期待するものではありません。徐々に体質改善をしていくため、最低でも2-3か月ほど続けて様子を見るようにしましょう。
オリゴ糖が含まれている場合は、お通じの改善などがすぐに現れることもあります。
注意点
青汁にはビタミンKが豊富に含まれています。ビタミンKは抗血栓薬のワーファリンと拮抗してしまうため、ワーファリンを服用している人は避けたほうが良いでしょう。どうしても飲みたい場合は、かかりつけ医に相談してからにしてください。
腸内フローラ改善サプリ比較
腸内フローラの改善に良い成分やサプリがわかっても、どれを選べばいいか悩みますね。
そこで、実際の評価や口コミから人気の高いサプリメントを選び比較してみました。
価格や含まれている成分などをまとめています。
サプリメント | 原材料
※腸内フローラに良い成分は黄色マーカー
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価格 |
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森下仁丹 ヘルスエイド®ビフィーナEX(エクセレント) ![]() |
食用油脂、エリスリトール、オリゴ糖、ゼラチン、デンプン、ビフィズス菌末 、アシドフィルス菌末、ガセリ菌末/グリセリン、乳化剤、増粘剤(ペクチン)、酸味料、香料、着色料(クチナシ、カロチノイド)、(一部にゼラチン・大豆・乳成分を含む) | 1箱30袋入り 30日分 初回購入 3,980円(税込) 通常購入 5,400円(税込) 送料無料 |
北の快適工房 カイテキオリゴ ![]() →公式サイトで詳しく見る |
ラフィノース※1、ミルクオリゴ糖、乳糖、フラクトオリゴ糖、アカシア食物繊維、イソマルトオリゴ糖、難消化性デキストリン※2、ショ糖/環状オリゴ糖 | 1袋150g入り 約1ヶ月分 通常購入 3,065円(税込) 定期購入 2,758円(税込) 送料199円(税込)~ |
コーワ 黒糖抹茶青汁寒天ジュレ ![]() |
難消化性デキストリン※2、黒糖、ココナッツの花蜜、クマイザサ粉末、イソマルトオリゴ糖粉あめ、寒天、殺菌植物性乳酸菌末、抹茶、植物性発酵エキス/ゲル化剤(増粘多糖類)、pH調整剤、ヒアルロン酸、香料、乳化剤、グレープフルーツ趣旨抽出物 | 1箱30包 約30日分 通常購入 4,320(税込) 定期初回 2,160円(税込) 定期2回目~ 3,888円(税込) 送料無料 |
森下仁丹のヘルスエイド®ビフィーナEX(エクセレント)は機能性食品でビフィズス菌(ロンガム種BB536)を100億個配合したサプリメントです。ビフィズス菌だけでなく、オリゴ糖、ガセリ菌末なども配合されています。小さなカプセルが入っていて、噛まずに飲む粉末です。
カイテキオリゴは、複数のオリゴ糖を組み合わせているので、ビフィズス菌をまんべんなく活性化してくれます。腸の中の様々な場所に生息する善玉菌がしっかりと届くように配合を調整しています。粉末タイプで、砂糖の1/4程度の控えめな甘さだから飲み物やヨーグルトに入れて摂ることが出来ます。
コーワの黒糖抹茶青汁寒天ジュレは、ゼリータイプの青汁です。クマイザサの食物繊維や、難消化性デキストリンが配合されていて腸活にオススメのサプリです。寒天の水溶性食物繊維と、お米由来の乳酸菌が100億個配合されています。ゼリーなので、持ち運んでオフィスや学校のお弁当と一緒に摂ることもできますね。
※1 ラフィノースはビートから摂れる天然のオリゴ糖 ※2 難消化性デキストリンは天然のでんぷんから作られた水溶性食物繊維
まとめ
腸内フローラを改善するには口から入る成分がとても重要です。腸内フローラの重要性が判明してから、腸によい成分が世に広まるようになりました。今では飲みやすいように設計されたサプリメントも販売されています。
乳酸菌、オリゴ糖、食物繊維、青汁・・・など腸内フローラを改善する成分が多数ありますが、一番重要なことは、長く続けることです。ほんの少しの期間だけ乳酸菌やオリゴ糖を摂取しても、すぐにその効果は薄れてしまいます。
サプリメントなど手軽に続けられる方法は、腸内フローラ改善に効果的な方法です。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。