
キャッツクローの効果と効能はリウマチ,変形関節炎からくる関節痛の緩和,鎮静する作用です。その他にも抗酸化,免疫活性化作用が示唆されています。
目次
キャッツクローとは
キャッツクロー(英名:Cat’s Claw、学名Uncaria tomentosa)はアカネ科カギカズラ属の蔓性植物で南米ペルーの標高400-800mに自生しています。「キャッツクロー=猫の爪」という名前が示すように、葉の付け根に猫の爪のような棘があります。
キャッツクローはペルーやアマゾンの先住民達がインカ帝国の時代から、関節炎やリウマチに効果があるハーブとして長い間利用してきました。
1994年WHOでキャッツクローは副作用のない抗炎症効果がある薬用植物として認定され、一部のヨーロッパの国では抗炎症薬として認可されています。
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キャッツクローの効果的な取り方とサプリメント
キャッツクローは樹皮を煎じてお茶として飲むのが一般的な使い方です。キャッツクローのサプリメントは、樹皮やエキスの粉末をカプセルにしたタイプや錠剤,お茶などさまざま形で販売されています。ご自身のライフスタイルに合わせて毎日摂取しやすいタイプを選んでください。
関節痛やリウマチの緩和にキャッツクローサプリを摂取する場合は軟骨を再生させるグルコサミンやコンドロイチンが配合されたサプリメントの方が相乗効果を期待できます。
キャッツクローの摂取量
キャッツクローサプリメントは特に明確な摂取量の基準はありません。1日に数百mg程度が目安です。キャッツクローの臨床試験ではリウマチ性関節炎には1日60mg,関節炎には1日100mgの経口摂取で有意な結果がでています。
キャッツクローの有効成分
キャッツクローの有効成分はアルカロイドとトリテルペン,ポリフェノール類等です。キャッツクローに含まれるアルカロイドはイソテロポディン,ミトラフィリン,リンコフィリン,テロポディン,イソリンコフィリン,イソミトラフィリンの6種類。
中でもイソテロポディンはキャッツクローに特有のアルカロイドです。キャッツクローのアルカロイドは炎症の原因となるマクロファージが生産するサイトカイン(TNF)を抑制する効果があると考えられています。免疫力の調整作用の他、血圧降下や抗血栓作用があります。
キャッツクローのトリテルペンはキノビック酸グルコシド。抗炎症,鎮痛,抗ウィルスなどの効果があります。ポリフェノールはカテキンやプロアントシアニジンなどで、抗酸化,抗がん作用があります。
キャッツクローの特徴的な成分はアルカロイドのイソテロポディンなどですが、イソテロポディンなどだけ充分効果が発揮できません。キャッツクロー全体として経口摂取するのが最も効果的だという試験結果がでています。
キャッツクローのAC-11について
最近ではキャッツクローから抽出されたCAEsという成分に、肌細胞の壊れてしてしまったDNAを修復する効果があると言われています。紫外線にあたった肌には活性酸素が発生してしまい、その結果シワやたるみ,シミなどの原因になってしまいます。
キャッツクローのAC11は壊れてしまった細胞のDNAを修復する働きがあるので、シワや美白効果が期待できると言われています。
キャッツクローの科学的データ
スルファサラジンもしくはヒドロキシクロロキンによる治療を受けている関節リウマチ患者40名に対して、キャッツクロー抽出物を投与する群と、プラセボ群に分け24週間治療しました。その結果、プラセボ群と比べ、キャッツクロー投与群は、痛みのある関節が減少しました。
変形性膝関節症患者45人のうち30人に凍結乾燥キャッツクローを投与、15名をプラセボとして治療しました。その結果、キャッツクローは膝の痛みの減少を示しました。キャッツクローは変形性膝関節症の有効な治療法であることが示唆されました。
キャッツクローの副作用と安全性
キャッツクローの副作用は、まれに頭痛,めまい,吐き気などの症状があるようですが、一般的には安全性は高いと考えられています。ただし、3歳以下の幼児と臓器移植者には禁忌。キャッツクローを妊娠中,授乳中に摂取するのは安全性に関するデータがないので避けた方が良いでしょう。
キャッツクローには血圧を下げる作用もあるため低血圧,血圧を下げる薬を服用している場合は注意が必要です。また免疫を活性化するので免疫抑制剤の働きを阻害する場合があります。CYP3A4(チトクロームP450)を阻害する可能性が示唆されています。臨床試験で確認されたわけではありませんが、CYP3A4で代謝される薬(ロバスタチンなど)との併用は、必ず主治医に相談するようにしてください。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。