コンドロイチンとは
コンドロイチン(Chondroitin sulfate:コンドロイチン硫酸)とは、関節の軟骨に多く含まれる成分で、軟骨内をみずみずしく保つために水分を保持し弾力性を保つ働きがあります。
人間の体の関節軟骨や皮膚、血管壁などに存在して組織の柔軟性を保つ働きをするムコ多糖(プロテオグリカン)の一種です。同じムコ多糖の仲間に水分を保ち・弾力を維持する働きがあるヒアルロン酸があります。
グルコサミンはプロテオグリカンやヒアルロン酸を構成する成分となります。そのため、コンドロイチンと一緒に摂取すると効果的であると考えられています。
コンドロイチンの効果は加齢や激しいスポーツ・関節の酷使ですり減ってしまった軟骨の生成を促すことです。コンドロイチンには軟骨を分解してしまう酵素の働きを妨害し、プロテオグリカンの作り出す働きがあります。
参考:ひざの痛みを予防・治すための6つの成分とサプリメント、正しい運動の方法
コンドロイチンの効果的な取り方とサプリメント
コンドロイチンを多く含む食物はウナギやフカヒレ・魚眼・鶏ガラなどの食べ物に多く含まれています。普段から意識して取るようにすると良いでしょう。
ただ、膝などの関節痛を軽減できるほどの量を食べ物からとるのは現実的ではありません。コンドロイチンを十分な量取るためにはサプリメントから摂るのが一番有効です。
変形関節炎のためにコンドロイチンをサプリメントから摂る場合は1日で400mg~2,000mg程度が目安です。良い結果が出ている臨床試験では1,000~1,200mg程度摂取しています。
コンドロイチンサプリメントの種類
コンドロイチンのサプリメントはほとんどが錠剤やカプセルで販売されています。膝や肩、肘などの関節痛のためにはコンドロイチンだけでなく痛みを緩和するビタミンB1やヒアルロン酸,グルコサミンなどが一緒に配合されているサプリメントが効果的です。
最近では日本薬師堂の「グルコンEX錠プラス」のように第三類医薬品として販売されているコンドロイチンも出てきました。
コンドロイチンが関節痛を緩和する仕組み
コンドロイチンがどのようにして関節痛を緩和すするのかという仕組みについてはまだ解明されていない部分が多いようです。コンドロイチンなどのムコ多糖は分子量が大きいためそのままでは消化・吸収されません。
そのためコンドロイチンを経口摂取してもまったく無駄であるという研究者もいらっしゃいます。しかし、臨床研究の結果やグルコンEX錠プラスのように医薬品として販売されている現状から判断するとなんらかの軽減効果があると考えられます。
ただし、効果のでかたはとてもゆっくりとしていて3~6ヶ月程度かかるようです。サプリメントからコンドロイチンを摂る場合は最低でも半年は続ける必要がありそうです。
コンドロイチンの科学的データ
ナチュラルスタンダードリサーチコラボレーションは1999年に設立されたアメリカの代替補完療法に関する科学的根拠に基づく情報源である。
ナチュラルスタンダードにおける等級Aは「3件以上の適切にランダム化された対照試験からの統計的に優位な有益性の科学的な根拠がある場合、もしくは1件の適切に実施された対照試験と1件の適切に実施されたメタアナリシスからの科学的な根拠がある場合、もしくは適切に実施された試験の過半数が統計的に優位な有益性の科学的根拠を示している複数のRCTからの科学的な根拠がありかつ基礎科学や動物実験、理論での裏付け証拠がある場合」に与えられます。
Aは強力な科学的根拠があるとされ、コンドロイチンが変形性関節症に対して十分な効果があると考えられています。
Glucosamine, chondroitin, and manganese ascorbate for degenerative joint disease of the knee or low back: a randomized, double-blind, placebo-controlled pilot study.
変形性関節症の症状がある男性34人に対してグルコサミン(1500mg/日)、コンドロイチン硫酸(1200mg/日)、アスコルビン酸マンガン(228mg/日)を組み合わせた無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行いました。その結果、これらを併用する療法により変形性膝関節症の症状を緩和する可能性が示唆されました。
コンドロイチンの副作用と安全性
コンドロイチンには一般的には特に問題となる副作用や健康被害はありません。
ごくまれに胃痛や悪心を起こすことがあります。
ワルファリンとの相互作用が報告されています。ワルファリン服用中はコンドロイチンを摂取しないようにして下さい。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。