シークワーサーとは
シークワーサーとは主に沖縄県が原産地のかんきつ類です。
温州みかんと似た形をし、中身には多くの種が含まれます。未熟な状態で収穫され(青切りと呼びます)、酸味を生かした料理やジュースに利用されています。
完熟して皮が黄色くなると、糖度が増し、甘酸っぱい果物として楽しめます。
ビタミンC,クエン酸,ポリフェノールのうち、フラボノイドのノビレチンの成分などが含まれ、健康維持と美容に役立つ果物として注目がおかれています。
目次
シークワーサーの歴史
シークワーサーは台湾から沖縄本島にかけて、温かい地域で育ちます。日本では主に沖縄本島,石垣島,鹿児島県で収穫されています。沖縄北部のヤンバルと呼ばれる山林地帯に、古くから自生している果実です。
和名では扁平な形をしていることから、「ヒラミレモン(平実レモン)」と呼ばれています。シークワーサーの名前は沖縄の方言で「シー」は「酸っぱい」、「クワーサー」は「食べさせる」を意味しています。
シークワーサーは沖縄の特産品となり、大宜味村はシークワ―サーの一大産地として知られ、村民はシークワ―サーをジュースに加工する他、酢の物,焼魚,刺身にかけて食用しています。さらに、シークワ―サーは織った布を洗浄して柔らかくする際にも利用されています。
効果・効能
シークワーサーの効果、効能は以下の通りです。
作用メカニズム
シークワーサーの作用メカニズムは以下です。
シークワーサーと脂質代謝改善のメカニズム
シークワーサーに含まれるフラボノイドの一種、ノビレチンや酸味成分のシネフリンは、脂質代謝を改善し、脂肪の燃焼を促す作用があります。
細胞はエネルギーを過剰に摂取すると、脂肪をとりこみ、細胞の一つ一つが肥大します。ノビレチンにはその肥大した脂肪細胞を小さくする作用があります。酸味成分のシネフリンは脂肪を分解する酵素、リパーゼの分泌を活性化する作用があります。
【ノビレチンの脂質代謝改善に対する働き】
- 肥大化した脂肪細胞を縮小
- 過剰に取り込んだ脂肪の消費を促進
- 内臓脂肪を減少
【シネフリンの働き】
- 交感神経の働きを活性
- 脂肪分解酵素リパーゼの分泌を活性
これらの成分により、内臓脂肪が減り、メタボリックシンドロームの予防やダイエットに役立ちます。
シークワーサーと血糖値上昇抑制のメカニズム
シークワーサーに含まれるフラボノイドの一種、ノビレチンには血糖値の上昇を抑える作用があります。
【ノビレチンの血糖値に対する働き】
- 血糖値を下げるホルモンを促進
- インスリンの働きを助ける
【柑橘類100gに含まれるノビレチン量】
シークワーサー | 267mg |
---|---|
ポンカン | 127mg |
カボス | 89mg |
温州ミカン | 24mg |
他の柑橘類に比べると、シークワ―サーはノビレチンの含有量が抜群に高い果物であることがわかります。
シークワーサーと高血圧予防のメカニズム
シークワーサーに含まれるフラボノイドの一種、ノビレチン、およびレシチン、カリウムは血液の流れの改善、高血圧の予防に役立ちます。
【ノビレチンの血圧に対する働き】
- 血圧の上昇を抑える
【レシチンの血圧に対する働き】
- 油と水の両方になじむ性質があり、血液中の老廃物を流す
- 血液の流れを良好にする
- 血管に沈着したコレステロールを溶かす
【カリウムの血圧に対する働き】
- 体の塩分濃度を調整し、摂りすぎたナトリウムを体外へ排泄する
これらの働きによりシークワーサーは高血圧の予防に役立ちます。
シークワーサーと美容効果のメカニズム
シークワーサーに含まれるノビレチンやビタミンCは皮膚の老化を抑えて肌を美しくする働きがあります。
ノビレチンはフラボノイドの一種であり、特にシークワーサーには、他の柑橘類に比べて、数十倍も多く含まれています。実の部分より、皮の部分に多く含んでいます。
【ノビチレンの美容に対する働き】
- しわ、ほうれい線の予防
- 過剰な皮脂の分泌の抑制
- 炎症抑制
- 肌の新陳代謝を促進
【ビタミンCの美容に対する働き】
これらの働きによりシークワーサーは美容の効果が期待できます。
科学的データや報告

柑橘類の果実には多くのフラボノイド類が含まれており、脂肪細胞の増殖を抑制する,コレステロール生合成を阻害する,ガン細胞の増殖を防ぐなど多彩な薬理作用が報告されています。本研究では、ヒト関節滑膜細胞において、炎症反応に対するノビレチンの作用を検討しています。

琉球大学教育学部の照屋俊明准教授(理学博士)と中部大学の車炳允(ちゃびょんゆん)准教授、同大大学院の禹済泰(うぜて)教授らの共同研究チームがシークワーサーの皮に含まれる成分、ノビレチンにはメラニン生成を抑制する作用があり、美白効果があることを発見しました。本研究では、ヒトの皮膚細胞から培養した3次元皮膚モデルを用いた実験で初めて美白効果を証明しました。併せて県産業振興公社の補助事業を活用し、シークワーサーからノビレチンエキスを効率的に抽出する製法も確立しました。

尿酸の代謝に関与するキサンチンオキシダーゼの反応を阻害することは、痛風や高尿酸血症の予防や治療となります。シークワーサーの果皮中にキサンチンオキシダーゼを阻害する活性が見出され、その阻害物質の精製および同定を行っています。

カンキツ果実に含まれるフラボノイドには多様な医薬的な効果が考察されています。そのうち、シークワーサーの種子には3種類のリモノイドアグリコン,ならびに5種類のリモノイド配糖体の存在が確認されました。配糖体のうち、リモニン-17-O-β-D-グルコピラノシドはヒトにおいて抗癌活性を発現することが報告されています。そのことから、シークワ―サーの種子は癌予防のための天然食品添加物に利用できることが推察されました。
シークワーサーの摂取がおすすめの人
シークワーサーの摂取は以下のような人におすすめです。
血圧が高めの人
シークワーサーにはポリフェノールが含まれ、特にフラボノイドの一つ、ノビレチンの含有量が他のかんきつ類より豊富です。ノビレチンは血圧を安定させる働きや血糖値を上昇させるホルモンの分泌を抑える働きがあり、血圧が高めの方におすすめの果物です。
美しい肌を保ちたい人
シークワーサーにはビタミンCや、ビタミンCの破壊を弱めるヘスペリジンが含まれています。これらには肌の潤いや張りを保つ作用があります。また、血管の老化を防ぎ、血液の流れを良くするレシチンの効果も働き、美容を保ちます。
シークワーサーの摂り方
シークワーサーの摂り方をご紹介します。
シークワーサーの果汁を搾った100%果実ジュース
シークワーサーの栄養成分が濃縮され、健康増進と美容に役立ちます。酸味が強いため、水やお湯で薄めて、オリゴ糖やはちみつで甘みを加えた飲み方をおすすめします。
①ノンアルコールの場合、原液を5倍ほどの水で薄めて、オリゴ糖やはちみつ、メープルシロップなどで甘みを加えて飲んでください。
②アルコールありの場合、カクテルや焼酎などのお酒で、味を調整しながら割って飲んでください。
シークワーサーの果汁を薬味として
カボス、レモンなどのように焼き魚,焼き鳥,からあげなどの脂っこい食べ物にかけたり、酢の物の味付けに利用したりするとあいます。
シークワーサーのサプリメント
酸味が苦手な方や、手軽に栄養摂取したい方におすすめの摂り方です。
シークワーサーの摂取目安量と摂取期間
原液では1日50mlが目安です。食品のため、摂取期間は特にありませんが、健康増進を目的には毎日継続して摂取するとよいでしょう。
信頼できるドリンクの特徴
原産地、加工工程など業者により、製品の特徴が異なります。着色料や保存料、添加物の使用、不使用のものなど、製品の種類を確かめてご購入ください。果実を丸ごと搾っている製品、GMP工場での生産されているものは信頼度が高いものです。
シークワーサーの安全性と副作用
シークワーサーの安全性と副作用は以下の通りです。
安全性
他の薬や健康食品との拮抗作用は報告されていません。
副作用
食品のため特に副作用はありません。
保管方法
涼しい冷暗所に保管し、夏場は冷蔵庫で保存してください。
シークワーサーサプリについてのQ&A
原液を水で薄めてはちみつやメープルシロップで甘みをつけ、ジュースとして摂ると飲みやすくなります。また、シークワーサーが配合されたサプリメントを利用すると、酸味が気にならず、手軽に摂取できます。
シークワーサーは収穫時期により、食べ方、加工方法がわかれ、栄養素が異なります。
9月~10月 未成熟の状態(青切り):レモンやカボスのように焼魚、から揚げに添える食べ方
11月~12月 旬のもの、加工用:ジュースに加工されます。
1月~ 完熟:甘く、ミカンのように果肉を食べます。
どちらも食品のため、飲み合わせの問題はありません。しかし、酸味の強いものを一度に多くとると、胃を痛める方もいらっしゃいます。その場合、サプリメントを利用すると、効率よく黒酢とシークワーサーの成分が摂取できます。
シークワーサーには美白に効果的なビタミンC,フラボノイドの成分のノビレチンなどが含まれ、化粧品の成分に配合されています。シークワーサーの果汁を直接肌に塗ることでも、美容に効果的です。
シークワーサーのまとめ
シークワーサーは爽やかな酸味のある沖縄原産のかんきつ類です。酸味を生かした料理やジュースに利用されます。完熟して皮が黄色くなると糖度が増し、甘酸っぱい果物として楽しめます。沖縄の方はシークワーサー多く食していて、長寿の方が多く、シークワーサーは健康効果の高い果物として人気がでました。
シークワーサーにはビタミンC,クエン酸,ポリフェノールのうち、フラボノイドのノビレチンなどの成分が含まれ、健康維持と美容に活用されています。料理に利用する他、ジュースやサプリメントにも加工されていますので、酸味が強い食べ物が苦手な方もそれらを利用してみるといいでしょう。
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米国にて高等教育終了後帰国し、食物栄養学部を卒業。大学研究室にて秘書、翻訳を経験後、現在管理栄養士として栄養関連記事の執筆、栄養指導、英日・日英翻訳に従事。
「シンプルな食スタイルで元気になりたい」こんな思いを伝えていきたいと、日々探求しています。