
コエンザイムQ10(CoQ10)は、糖尿病,高血圧などの改善および予防、強力な抗酸化作用からくるLDLコレステロールの酸化防止や、生活習慣病の予防などの効果があります。
エネルギー燃焼が良くなるため、脂肪燃焼やダイエット,美肌,冷え性の改善,肩こりの改善などさまざまな効果があります。
また、眠りを深くして疲労を回復させる効果もあり、それによるいびきの解消効果もあります。
目次
コエンザイムQ10(CoQ10)とは
コエンザイムQ10(CoQ10)は学名「ユビキノン」と呼ばれるビタミン様物質です。全ての細胞膜に存在し、特に心臓や肝臓,卵巣,精巣には多く含まれています。特に1日に10万回も収縮する心臓では大変重要な働きをします。
コエンザイムQ10は体内のエネルギー生産に関わる補酵素で、細胞内でのエネルギー生産全てに関わっています。
つまり、コエンザイムQ10は人間が生きていくために欠くことができない大変重要な物質です。人間が生きていく上で必要なエネルギーの約95%は細胞内にあるミトコンドリアで生成されています。コエンザイムQ10はミトコンドリア内に多く含まれ、エネルギー生産に重要な役割を果たしています。
またコエンザイムQ10は、抗酸化力も強く体内に充分に存在すれば血管や脂質の酸化防止に役立ちます。コエンザイムQ10は体内で合成するほか食品(魚,肉類)にも極少量含まれています。
体内での合成は20歳頃をピークに減少していきます。コエンザイムQ10は、1957年ウィスコンシン大学のF.L.クレーン教授によって発見され、1958年 カール フォルカーズ博士がコエンザイムQ10 の化学構造を解明しました。
1978年 ミトコンドリアのエネルギー変換におけるコエンザイムQ10 の役割について研究したピーター ミッチェルがノーベル賞を受賞しています。
コエンザイムQ10サプリメントの効果的な取り方
コエンザイムQ10の摂取量
コエンザイムQ10は必須栄養素ではないため、1日の摂取目安は設定されていません。体内で合成することができますが、加齢とともに合成量が低下していくため、疲れやすくなったりすることがあります。疲れやすさを感じるようになったらコエンザイムQ10を摂取すると症状が改善するかもしれません。
コエンザイムQ10は体内で吸収されにくいと考えられているため、吸収されやすいような構造のものを利用したサプリメントを選ぶようにしましょう。包接体コエンザイムQ10や還元型コエンザイムQ10がそれに該当します。コエンザイムQ10の抗酸化力をさらに高めるためには、ビタミンEとともに摂取するのも有効です。
サプリメントの種類
コエンザイムQ10サプリメントの価格は千円台の物から7,8千円台のものまであります。この価格差は主に、原材料となるコエンザイムQ10が合成のものか、発酵法による天然のものかの違いです。合成の方が価格は安くなります。 さらに安定性,吸収率などによって価格が変わります。当然安定性が高く吸収率がよい製品は価格が高くなります。
コエンザイムQ10が持つエネルギー燃焼効果に注目したサプリがいろいろと販売されています。ダイエット効果を期待するのであればコエンザイムQ10だけではなくαリポ酸とLカルニチンが配合されたものが最適です。
脂肪は最終的には細胞内のミトコンドリアで燃焼されエネルギーが生成されます。このエネルギー生成過程で、コエンザイムQ10,αリポ酸,Lカルニチンが必要となります。これらはいずれも体内で合成される成分ですが、加齢とともに合成量が低下するため、食事やサプリメントで補うとよいでしょう。
コエンザイムQ10の品質は「カネカ」製のものが最高です。品質にこだわるのであればカネカ製のコエンザイムQ10を原材料とするサプリメントを選んでください。コエンザイムQ10は、不安定な物質なので安定性を高めるためにビタミンE等が配合されている製品を選んでください。
コエンザイムQ10(CoQ10)の有効成分
コエンザイムQ10は、体内でエネルギー生産をするとに必ず必要になる物質です。人間は呼吸をしたり、心臓を動かしたり、考えたり、見たりなど、生きていくためのエネルギーを食事(炭水化物,タンパク質,脂肪)から得ています。
食事から摂取したエネルギー源は消化吸収され、最終的には細胞内にあるミトコンドリアで酸化されATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギーに変換されます。このエネルギー発生の酸化の過程でコエンザイムQ10が必要になります。
人間の体はコエンザイムQ10を合成することができます。しかし加齢とともに合成量が低下していきます。低下したコエンザイムQ10の合成量を補うため、サプリメントを利用するのもよいでしょう。
コエンザイムQ10(CoQ10)の科学的データ
α-トコフェロールとコエンザイムQ10が同時に存在するとコエンザイムQ10から先に減少していきます。そのため、コエンザイムQ10にはビタミンEの抗酸化作用を補助する働きがあることが示唆されています。
Randomized, double-blind, placebo-controlled trial of coenzyme Q10 in isolated systolic hypertension.
孤立性収縮期高血圧(最高血圧だけ高くなる高血圧)患者の男性46人、女性37人に対して12週間のコエンザイムQ10の1日2回60mgの投与をしました。その結果、平均で収縮期血圧が17.8±7.3mmHg低下しました。コエンザイムQ10が高血圧患者治療の選択肢となる可能性が示唆されています。
ナチュラルスタンダード等級
高血圧に対するコエンザイムQ10の効果:B等級
ナチュラルスタンダードリサーチコラボレーションは1999年に設立されたアメリカの代替補完療法に関する科学的根拠に基づく情報源です。ナチュラルスタンダードによる等級Bは、「1件あるいは2件のランダム化された試験による有意な有益性の根拠」「1件以上に適切に実施されたメタアナリシスからの有益な科学的根拠」「2件以上のコホート/症例対照/非ランダム化試験からの科学的根拠があり基礎科学、動物実験、理論による裏付けがある場合」のいずれかを満たすときに与えられます。
Bは十分な科学的根拠があるとされ、コエンザイムQ10が高血圧に対してよい影響を与えると考えられています。
コエンザイムQ10(CoQ10)の副作用と安全性
コエンザイムQ10の副作用はまずありません。もとも体内に存在する補酵素ですので急激な毒性などはありません。しかし、大量(常識を遙かに越える量)に単一で摂った場合の安全性は確認されておりません。抗凝固剤のワーファリンとの相互作用を指摘する例があります。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。