
クランベリーの効果・効能の中でも膀胱炎,尿道炎の予防と再発防止効果は多くの臨床試験により実証されています。
目次
クランベリーとは
クランベリーは北米やヨーロッパに生育するツツジ科ツルコケモモ属に属する常緑樹。クランベリーは古くからネイティブアメリカンに薬や食料として利用されてきた植物で真っ赤な光沢のある小さな果実をつけます。北米ではブルーベリーと並んで最もポピュラーなフルーツです。
クランベリーの効果的な取り方とサプリメント
クランベリーの有効成分は赤い小さな実の中に含まれています。しかし、クランベリーの実には強い酸味や苦みがあり生食には適しません。
サプリメントやジュース,ジャムなどに加工したものから摂るのが一般的です。ジュースやジャムからクランベリーをとる場合は、砂糖の摂りすぎに注意してください。無糖のジュースも販売されています。
クランベリーサプリメントのとり方
クランベリーサプリの効果は短期間ではあまり期待できません。毎日継続して摂るようにして下さい。尿路感染症を予防する目的でクランベリーサプリを摂る場合の摂取量の目安は、クランベリーパウダーを400mg~1,000mg程度です。
アメリカでは膀胱炎などの再発防止目的で2,000~8,000mg程度を投与することもあります。ジュースならクランベリー100%のもを1日100~200ml(100%換算)程度、50%なら200ml~400ml程度。クランベリージュースはできれば無糖の方が良いと思います。
クランベリーの有効成分
クランベリーの膀胱炎や尿道炎などの泌尿器系疾患を予防する効果は「プロアントシアニジン」と「キナ酸」というポリフェノールの働きによります。プロアントシアニジンはクランベリーの赤い色素で抗菌,抗酸化,抗ウィルス作用などがあります。プロアントシアニジンには細菌の増殖を抑制したり、尿路に細菌が付着するのを防ぐ効果があります。
尿路感染症の原因となる細菌はほとんどが中性~アルカリ性で増殖します。キナ酸は肝臓で安息香酸→馬尿酸に代謝されて、最終的には尿のPHバランスを酸性化し、細菌の増殖を防ぐ効果があります。
クランベリーの科学的データ(エビデンス)
ナチュラルスタンダード等級
クランベリーの尿路感染予防に対する信頼性:B等級
ナチュラルスタンダードリサーチコラボレーションは1999年に設立されたアメリカの代替補完療法に関する科学的根拠に基づく情報源です。ナチュラルスタンダードによる等級Bは「1件あるいは2件のランダム化された試験による有意な有益性の根拠」「1件以上に適切に実施されたメタアナリシスからの有益な科学的根拠」「2件以上のコホート/症例対照/非ランダム化試験からの科学的根拠があり基礎科学、動物実験、理論による裏付けがある場合」のいずれかを満たすときに与えられます。Bは十分な科学的根拠があるとされ、クランベリーが尿路感染予防に対してよい影響を与えると考えられます。
1日4-6オンスのクランベリー果汁を老人保健施設の患者28名に摂取させたところ、うち19名に尿路感染の予防が確認されました。このことから治療薬としてよりも予防薬としての効果が高いと示唆されます。
Effects of blueberry and cranberry juice consumption on the plasma antioxidant capacity of healthy female volunteers.
9名の健常女性に対してクランベリージュースとブルーベリージュースを摂取させました。その後60分と120分後に血漿中の抗酸化作用の機能を評価したところブルーベリージュースに比べてクランベリージュースは有意な増大が認められました。
Reduction of bacteriuria and pyuria after ingestion of cranberry juice.
平均年齢78.5歳の153人の高齢女性にクランベリージュース摂取群とプラセボ群に分け、1日に300mlの摂取をしてもらい1か月間隔で尿検査を行いました。その結果、クランベリージュースを摂取することで尿路感染を予防できる可能性が示唆されました。
クランベリーの基礎的な研究
基礎的な研究では、クランベリーの抗菌,抗ガン,抗酸化(LDLコレステロールの酸化防止),口内での抗菌効果,歯垢の不着防止効果などが示されています。
クランベリーの副作用と安全性
クランベリーは食品として摂られてきた歴史が長いので、常識的な摂取量の範囲では安全性が高いと言われています。
医薬品のワルファリンとクランベリーの相互作用を示すデータがあるので注意が必要です。
尿路感染症治療中,再発防止目的の方は必ず医師に相談の上服用してください。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。