ニンニクの効果と効能 疲労回復や滋養強壮・コレステロール値の改善など

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ニンニクニンニク(学名:Allium sativumL 英名:Garlic)の効果効能は、疲労回復,滋養強壮,総コレステロール値およびLDLコレステロール値を下げる効果,高血圧の改善効果,動脈硬化の予防,血液サラサラ効果,免疫力を高める作用,殺菌,抗菌など、多義にわたります。

ニンニクとは

ニンニクの原産地は中央アジア。ニンニク持つさまざまな健康効果が人々に受け入れられ世界中に広がっていきました。ニンニクと人間の関わりは大変古く、4500年以上前にエジプトのピラミッド建設に携わる労働者の疲労回復のために使われたという記録があります。

日本でも古事記や源氏物語にニンニクの別名「大蒜(おおびる)」と言う名前で登場します。インドの伝統医療アーユルヴェーダでは、ニンニクを風邪,食欲不振,体力増強の薬としています。現代でこそにんにくを日常的に食べられるようになりましたが、少し前までニンニクは貴重な薬でした。

さらに現代でもニンニクは薬として利用されています。ドイツのコミッションEではコレステロール値を下げる効果と老化による血管の変化を予防する効果のある食材として認可しています。ヨーロッパの医療現場では抗アテローム性動脈硬化薬,抗血栓薬としてニンニクを利用、WHOでは高脂血症とアテローム性動脈硬化の血管変性の予防をニンニクの適応症としています。

ニンニクの効果的な取り方とサプリメント

ニンニクを摂取するにはニンニクをすり下ろしたり、加熱調理したりして食べる方法と、ニンニクエキスを抽出した物をサプリメントに加工した製品から摂取する方法、医療機関でニンニク注射を打つなど色々な方法があります。

食品としてニンニクを摂るとどうしても独特のにおいがあります。気になる人はサプリメントから摂るのも一つの方法です。国内では青森産の福地六片という品種がニオイも強く有効成分が豊富に含まれていると言われています。ニンニクのにおいが気になる人向けに無臭ニンニクというものもあります。

しかし無臭ニンニクの中にはニンニクとは全く違うものを無臭ニンニクとして販売しているケースもあるようなので注意が必要です。ニンニクの有効成分は、におい成分のアリインおよびアリシンです。この成分が取り除かれている物は効果・効能に疑問が残ります。

ニンニクの有効成分

ニンニクの有効成分はアリインやアリシン,スコルジニン,硫化アリルなどの物質などがあります。中でもニンニクの効果効能に関係しているのはアリシンというニンニクのにおい成分です。ニンニクには元々アリインという成分が含まれています。アリインは無臭ですが、ニンニクを切ったり、つぶしたり、すったりするとアリイナーゼという酵素の働きで、ニオイ成分「アリシン」に変化します。

アリインはビタミンB1と結合してアリチアミンという脂溶性の物質に変化します。ビタミンB1は糖質を代謝してエネルギーを発生させる重要なビタミンですが、水溶性のためすぐに排泄されてしまう不足しがちなビタミンです。

アリチアミンになったビタミンB1は脂溶性のため長い間体内にとどまることができ細胞内でエネルギーを発生させます。この作用がニンニクの疲労回復,滋養強壮効果の理由です。またニンニクを食べるとノルアドレナリンの分泌が促進されます。

ノルアドレナリンとは脂肪分解を促進する効果があるホルモン。ニンニクを食べるとノルアドレナリンの効果で代謝が活発になりエネルギー生産が促進されます。さらにニンニクとタンパク質を同時の摂取するとテストステロンというホルモンの分泌が促進されます。テストステロンはやる気を促し快楽をもたらす男性ホルモンです。ニンニクを食べると疲労回復と同時に、やる気が出てきてエネルギッシュに過ごすことができるようになります。

ニンニクの科学的データ


血圧に及ぼすニンニクの影響


BMC Cardiovasc Disord. 2008 Jun 16;8:13. doi: 10.1186/1471-2261-8-13.
Effect of garlic on blood pressure: a systematic review and meta-analysis.

11個の研究をメタアナリシスしたところ。ニンニク製剤を摂取することによってプラセボ群に比べ最高血圧、最低血圧ともに減少し高血圧患者に適することが示唆されました。



ヘリコバクターピロリに対するニンニクとオメプラゾールの抗菌作用


J Antimicrob Chemother. 1999 Jun;43(6):837-9. Antibacterial effect of garlic and omeprazole on Helicobacter pylori.
培養したピロリ菌に対して胃酸を抑制するオメプラゾールとニンニク錠剤を合わせて抗菌効果を測定しました。その結果、濃度に依存的に抗菌作用が増したという結果が出ました。ニンニクには強い抗菌作用があり、従来の薬物と組み合わせたピロリ菌の治療に対して効果があることが示唆されています。



高脂血症(脂質異常症)に対するニンニクの効果:B等級


ハーブ&サプリメント NATURSL STANDARDによる有効性評価 ISBN978-4-88282-609-5 C3047 P617-649 ニンニクより
ナチュラルスタンダードリサーチコラボレーションは1999年に設立されたアメリカの代替補完療法に関する科学的根拠に基づく情報源です。

ナチュラルスタンダードによる等級Bは「1件あるいは2件のランダム化された試験による有意な有益性の根拠」「1件以上に適切に実施されたメタアナリシスからの有益な科学的根拠」「2件以上のコホート/症例対照/非ランダム化試験からの科学的根拠があり基礎科学、動物実験、理論による裏付けがある場合」のいずれかを満たすときに与えられます。

Bは十分な科学的根拠があるとされ、ニンニクが高脂血症(脂質異常症)に対してよい影響を与えると考えられます。

ニンニクの副作用と安全性

一般的には重大な副作用はありません。まれに副作用としては、胸焼け、吐き気、下痢などが出る場合があります食べ過ぎには注意して下さい。

医薬品のワルファリンやアスピリンとの相互作用が考えられるので注意してください。

その他若干医薬品との相互作用の可能性があります。医薬品を摂取している人は医師に相談してください。



【監修者】大見 貴秀医師

大見貴秀医師帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。

「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。

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