イチョウは約2億5千万年前から地球に存在し、度重なる地球の変化を乗り越えてきた強じんな植物です。
中国では何千年もの間、記憶力を回復させ呼吸困難を和らげるために、昔から伝わるイチョウの果実や葉を利用してきました。
イチョウ葉の効果と効能
イチョウ葉エキスの主成分はケルセチンやケンフェロール、プロアントシアニジンといった多数のフラボノイドとギンコライドという物質で、治癒力はこれらの物質によってもたらされます。フラボノイドは血管拡張作用、動脈硬化の改善、鎮痙作用、血糖値正常化等多彩な働きがあります。
イチョウ葉エキスの主な効果・効能は血流改善です。特に脳や毛細血管の血行が大変良くなるため認知症(ボケ),高血圧,耳鳴り,神経痛,頻尿,冷え性,アレルギー,花粉症の改善などに効果が期待できます。血行が悪いために起きてしまう様々な症状にイチョウ葉は効果あると考えられ様々な臨床試験が行われています。
中でも特に注目すべき効果は脳の血行改善です。脳の血流が良くなるため集中力が増加します。そのため受験生やビジネスマンなどが集中して頭を使うときにイチョウ葉エキスをとることも効果的です。
イチョウ葉サプリメントの効果的な取り方
イチョウを摂りたい場合は、サプリメントで摂るのが一般的です。イチョウの有効成分であるギンコライドは、若木の葉や根にしか存在しません。若木のイチョウでもギンコライドの含有量は収穫する時期や、地域によって大きな開きがあります。
同じイチョウのサプリメントでも、製品によっては有効成分がほとんど含まれていないものもあります。信頼できるメーカーのものを選びましょう。
イチョウには「ギンコール酸」というアレルギー反応を起こす可能性ある成分が含まれています。ギンコール酸が除去されている製品がよいでしょう。
イチョウ葉の摂取により改善が見られるのは通常8週間以上かかります。
イチョウ葉サプリメントの種類
イチョウ葉サプリメントは各社より発売されています。サプリメントの種類によってはDHAやαリノレン酸を配合し相乗効果を期待した商品もあります。
イチョウ葉の有効成分
イチョウ葉エキスには多数のフラボノイドが含まれ、その中にはイチョウ葉にしか含まれない特殊な二重フラボンが6種類も含まれています。
このフラボノイド「二重フラボン」には、血管(特に毛細血管)を拡張し血行を促進させる機能の他、脳動脈、心臓の血流を増加させ、また動脈硬化を防ぐ機能が発見されています。
つまり血液自体をきれいにする作用(活性酸素の除去)と、身体の血管を丈夫にする作用(細部の毛細血管にいたるまで)があるということです。
イチョウ葉エキスにはこの成分の他に、さらに重要な成分が隠されています。それは、ギンコライドとピロパライドの2つの成分です。これらの成分はテルペンラクトンという成分の一種でかつて余り注目されませんでした。
ところが近代化社会になって、アレルギー症状が問題化され始め、たくさんの学者が研究を重ねてゆくうちにこれらのイチョウ葉に含まれる成分が注目され始めたのです。
これらの成分は、血小板凝集の阻害、血栓形成の阻害、PAFによる気管支収縮作用の阻害(いわゆる喘息関連)、PAFによる炎症性疾患(いわゆるアレルギー症)等を改善する効果があると考えられています。
イチョウ葉の科学的データ
イチョウ葉に関する研究は1950年代から行われ、400を超える研究論文が発表され、信頼できる臨床実験は50以上行われています。
Human Psychopharmacol 2007
78人の健康な若者をイチョウ葉エキス(120,240,360mg)投与群とプラセボ群に分けて効果を比較したところ、120mg投与群で記憶の質に対する有意な改善が確認されました。
脳梗塞の後遺症による外来通院患者9名に対して1日120mgのイチョウ葉エキスを投与したことで、自覚症状と臨床神経的な診療結果から9例全てに改善傾向がみられました。
journal of psychiatric research 2012 Jun
410人の認知症患者に対して24週間のプラセボ対照試験を行ったところ、認知症患者の認知機能に有意な改善が見られ、同時に安全性も確認されました。
ナチュラルスタンダード等級
認知症に対するイチョウ葉の効果:A等級
ナチュラルスタンダードリサーチコラボレーションは1999年に設立されたアメリカの代替補完療法に関する科学的根拠に基づく情報源です。ナチュラルスタンダードにおける等級Aは「3件以上の適切にランダム化された対照試験からの統計的に優位な有益性の科学的な根拠がある場合、もしくは1件の適切に実施された対照試験と1件の適切に実施されたメタアナリシスからの科学的な根拠がある場合、もしくは適切に実施された試験の過半数が統計的に優位な有益性の科学的根拠を示している複数のRCTからの科学的な根拠がありかつ基礎科学や動物実験、理論での裏付け証拠がある場合」に与えられます。
Aは強力な科学的根拠があるとされ、イチョウ葉が認知症の改善に対して効果があると考えられています。
イチョウ葉の副作用と安全性
8,500名を対象にした調査では、0.5%の人に軽度な胃のむかつきや頭痛の副作用が報告されている。ニューヨークの神経精神病学者、トルーマン・M・アイティル博士(脳薬理学の権威,世界保健機構国際諮問委員会委員長)は約300名の患者に対してイチョウ葉エキスを用いて治療を行ってきたが、深刻な副作用はまったくなかった。
イチョウ葉にはギンコール酸というアレルギー物質が含まれています。イチョウ葉サプリメントは必ずギンコール酸が除去されているものを選んでください。皮膚炎や腹痛などのアレルギー症状の副作用が出る場合があります。日本ではイチョウ葉はサプリメント扱いです。ギンコール酸の除去義務はありません。
したがってギンコール酸除去を明示していないサプリメントは、ギンコール酸が含まれていると考えたほうがよいでしょう。現実的に多くの商品に含まれています。
イチョウ葉エキスと薬の併用は注意が必要です。特にワルファリンなどの抗血栓剤と併用する場合は必ず医師に相談してください。血液が止まりにくくなることがあります。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。