納豆は古くから食べられている日本の伝統的な食材で、蒸した大豆を藁で包んで発酵させて作ります。
藁に付いている納豆菌が大豆に移り増殖することで納豆ができあがります。
目次
ナットウキナーゼ(納豆菌)とは
納豆の健康効果が注目されだしたのは1980年代に納豆に含まれるナットウキナーゼというタンパク質分解酵素に血栓を融解する効果があることが発見されてからです。
納豆の原材料となる大豆が持つバランスの良いアミノ酸や大豆イソフラボン,大豆サポニン、ビタミン,ミネラルなどにプラスして、納豆菌での発酵過程でビタミンB群やビタミンK2,ナットウキナーゼなどのタンパク質やビタミンがさらにプラスされ「納豆」という素晴らしい健康効果を持つ食材が作られます。
納豆菌にはナットウキナーゼの血栓融解作用以外にも、血液をサラサラにして流れを良くする効果,腸内の善玉菌を増やし悪玉菌を減らす整腸作用(プロバイオティクス)や,カルシウムの吸収を促進して骨を強くする骨粗鬆症を予防する効果,菌の繁殖を抑える抗菌効果,抗酸化効果など多彩な健康効果があります。まさに納豆は日本が世界に誇る健康食と言っても過言ではありません。
ナットウキナーゼ(納豆菌)の効果的な取り方
ナットウキナーゼの血栓融解効果などを期待する場合の摂取量の目安は、納豆を1日50g程度です。納豆1パック程度で効果が発揮されます。ナットウキナーゼの血栓融解効果は持続性があり、食べてから数時間~12時間程度継続します。納豆を毎日食べた方が効果的です。
ナットウキナーゼの発見者である須見教授は、夜は血液の流動性が低下するため、納豆は夜に溜めるほうが効果的であると述べています。またナットウキナーゼは熱に弱いので、加熱調理するとナットウキナーゼが破壊されてしまいます。
ナットウキナーゼ(納豆菌)サプリメント
納豆が苦手な人は、納豆菌やナットウキナーゼから作られたサプリメントがカプセル,粉末などさまざまな形態に加工したものが販売されています。カプセル入りであれば納豆が苦手な人でも抵抗なく摂ることができます。
ナットウキナーゼ(納豆菌)の有効成分
納豆菌には様々な健康効果をもつ有効成分が含まれています。納豆のネバネバ成分に含まれているナットウキナーゼには血栓融解作用があります。
血栓は人間の体内では破損した血管や組織を止血するために日常的に作られています。止血の役割が終わった血栓はプラスミンという酵素の働きにより分解されます。このサイクルがうまく機能しているときはなんら問題がないのですが、血栓の分解がうまくいかずに血管内に残ってしまうと最終的には血管が詰まってしまいます。
ナットウキナーゼはウロキナーゼ(血栓を溶解する酵素)の前駆体であるプロウロキナーゼを活性化させる働きがあると考えられています。そのため血栓を溶解させる働きが期待できます。
納豆菌が作ることができるビタミンに「ビタミンK2」があります。ビタミンK2は体内では腸内細菌が作り出すビタミンでカルシウムを骨に定着させるときに必ず必要なる栄養素です。1992年に厚生労働省が行った調査では、納豆の消費量が一番多い茨城県民が最も骨が丈夫であるという結果が発表されています。
納豆菌自体が腸内の善玉菌を増やし悪玉菌を減らすプロバイオティクス効果を持ちます。その他ジピコリン酸という成分には強力は抗菌効果がありO157や食中毒などの予防に効果があると言われています。
ナットウキナーゼ(納豆菌)の科学的データ
ナットウキナーゼ、または納豆の経口摂取は血栓を溶解させる働きを強めることが確認されました。また血栓症を有する犬にナットウキナーゼカプセルを投与することで血栓が溶解する様子も確認された。このことからナットウキナーゼが血栓症の治療と予防に使用できる可能性が示唆された。
高血圧が自然発症するようにしたラットに対して、高用量(2.6mg/g)のナットウキナーゼを含む食餌を摂取した群は対照群と比べて最大血圧、最低血圧、フィブリノーゲンレベル(血液凝固させる物質)が有意に低下しました。
健常人7名(男性6名女性1名)に対してナットウキナーゼを4000FUを服用してもらいました。服用前、服用後の血小板凝集能を測定したところ、ほとんどの被験者で服用6時間後に血小板凝集抑制作用がピークになりました。またナットウキナーゼには血小板凝集能における血栓抑制作用があることが示唆されます。
ナットウキナーゼ(納豆菌)の副作用と安全性
納豆は伝統的に健康食として食べられてきた食材です。
適量を食べている分には副作用などはありません。
ワルファリンなどの抗凝固剤を服用している場合は相互作用に注意が必要です。念のために医師に相談してください。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。