植物ステロール(Pytosterol:フィトステロール)とは植物に含まれるステロールの総称です。動物由来のステロールをコレステロール、植物由来のステロールを植物ステロールと呼びます。植物ステロールはβシトステロール,カンペステロール,スティグマステロール,ブラシカステロールなど40種類以上のステロールの混合物です。食品では野菜や果物,食物油などに含まれおり、料理用油やマーガリンなどに添加されることがあります。
植物ステロールには、コレステロール値を低下させる効果,前立腺肥大による排尿障害の改善効果があります。特にコレステロール値を下げる効果についてはしっかりとした臨床試験も行われれ、日本国内でも特保として許可を受けているサプリメントもあります。植物ステロールは総コレステロール,LDLコレステロール値を下げる効果がありますが、中性脂肪,HDLコレステロール値には影響を与えません。
植物ステロールを摂るには、植物ステロールが配合されている料理用油(健康サラダ油など)やマーガリンからとる方法と、サプリメントから摂取する方法があります。食用油やマーガリンは毎日の食事の中で気軽に取れるのが魅力ですが、一定の量を長期間にわたり摂るのは難しいです。
コレステロール値を下げる効果を期待する場合の摂取量の目安は1日1,000mg程度です。食事だけで摂るのは現実的ではないのでサプリメントで補うようにします。ちなみに日本人が食事から摂る植物ステロールは1日に100mg-400mg程度です。
植物ステロールのサプリメントは錠剤や粉末に加工され販売されています。植物ステロールの前立腺肥大改善効果を期待する場合はノコギリヤシが配合されているモノが相乗効果を期待できるのでおすすめです。コレステロール値を下げる目的では植物ステロール単体でも良いですが、DHA/EPAなどが配合されていると相乗効果が期待できます。
食品から摂取されたコレステロールは小腸で吸収されます。その際コレステロールが胆汁酸ミセルにより可溶化されなければなりません。植物ステロールはこの過程を阻害する働きがあり、コレステロールが小腸から吸収されるのを防ぎます。その結果吸収されるコレステロールが減るため、血中のコレステロール値が低下していきます。
| 対象 | コレステロール値が正常〜やや高めで健康な男女100名 |
|---|---|
| 試験方法 | プラセボを対象とした二重盲検法 グループ1:植物ステロールを含有したマーガリンを摂取 グループ2:植物ステロールをほとんど含まないマーガリンを摂取 |
| 投与量 | 植物ステロールを30g中に約1.5-3.3g含有するマーガリンを3.5週間投与 |
| 結果 | 植物ステロール摂取群はプラセボ群と比べて総コレステロール値とLDLコレステロール値が有意に低下した。低下率は-8%〜-13%。HDLコレステロール値には影響を与えなかった。 |
| 対象 | 前立腺肥大の患者200人 |
|---|---|
| 試験方法 | プラセボを対象とした二重盲検法 グループ1:植物ステロール摂取群 グループ2:プラセボ(偽薬)摂取群 |
| 投与量 | 植物ステロール(βシトステロール)20mgを含むカプセルを1日3回。6ヶ月間投与。 |
| 結果 | 尿の最大流速,残尿量を測定した結果、植物ステロール摂取群では尿の最大流速の顕著な改善が認められた。また自覚症状についても改善が認められた。 |
植物ステロールには一般的には特に問題となる副作用や健康被害はありません。ごくまれに下痢や便秘などの症状がでることがあります。脂溶性ビタミン(ビタミンEやビタミンAなど)の吸収を阻害する作用があります。併用する場合は数時間あけて摂取した方がよいでしょう。薬との相互作用は現在のところ報告はありません。ただし高脂血症の治療薬を服用している場合は注意が必要です。