
プロポリスは「天然の抗生物質」と呼ばれミツバチが作り出す成分です。季節の変わり目や環境の変化に負けない力と守る力を高めると言われています。寒くなり空気が乾燥しインフルエンザや風邪が流行だす時期に負けない力を高めてくれます。また3月~4月にかけて暖かくなってくると気になり出す鼻や目のズルズルにも期待できる成分です。
プロポリスはミツバチが植物の新芽やつぼみ、樹皮から採取した物質にミツバチ自身の分泌物を混ぜ合わせて作られた樹脂状の物質です。プロポリスのプロは「前面を守る」、ポリスは「都市」という意味があります。
ミツバチはプロポリスを巣の周りにくっつけて巣の中に、他の虫や雑菌が入り込まないように隙間を埋めて守ってきました。プロポリスの強力な殺菌力は数千年前から古代エジプトではミイラの腐敗防止に、古代ギリシャでは傷口の消毒や感染症の防止に利用していました。現代でもドイツや東欧の一部の国では医薬品として認可されています。
プロポリスはミツバチの巣につくられたものをそのまま摂取するのではなく、アルコールで抽出したものが一般的にサプリメントや健康食品・化粧品として利用されています。同じ蜂が作り出す成分のため混同しがちなのがローヤルゼリーです。ローヤルゼリーとプロポリスは全く別のものなので注意が必要です。
プロポリスの原産地はブラジル,オーストラリア,ニュージーランド,中国,日本などです。プロポリスは大きく分けるとブラジルプロポリスとヨーロッパプロポリスに分類されます。両者は含まれる成分が全く違います。そのため抗菌,殺菌作用以外の効果・効能が違ってきます。ブラジルプロポリスでは免疫力をアップする作用が期待されます。一方ヨーロッパプロポリスは抗酸化作用が高いのが特徴です。
プロポリスの効果的な取り方とサプリメント
プロポリスはサプリメントからとるのが一般的です。プロポリスサプリメントの効果的な摂取量や飲み方には特に明確な数値はありません。プロポリスは産地がとても大切です。世界的に見てブラジル産のプロポリスが最高品質とされています。
プロポリスの種類
プロポリスは大きく分けるとブラジルプロポリスととヨーロッパプロポリスに分けられます。それぞれミツバチの種類やプロポリスの元になる植物の種類の違いから、含まれる有効成分が全く異なります。
プロポリスの有効成分
プロポリスにはポリフェノールやフラボノイド、その他ビタミンやミネラル,アミノ酸,脂肪酸などが含まれています。プロポリスに含まれるフラボノイドはケルセチン,ピノセンブリン,ガランギン,ピノバンクシンなど。
一時はプロポリスの主成分はケルセチンがだと考えられていましたが最新の研究ではケセルチンの含有量はブラジル,ヨーロッパに関係なくあまり多くないことがわかっています。
ブラジルプロポリスにはpクマール酸誘導体のアルテピリンCやキナ酸のカフェ酸エステル類,テルペン類などヨーロッパプロポリスにはみられない成分が含まれています。アルテピリンはブラジルプロポリスの主成分で抗酸化,抗菌効果,メラニン色素をできにくくするチロシナーゼ阻害作用からくる美白効果などがあります。
参考ページ:シミを消す方法~効果のある美白化粧品・サプリメントで予防・対策
カフェ酸エステル類には強い抗酸化作用、マクロファージの活性化,肝臓保護効果などがあります。テルペン類には抗ガン作用やピロリ菌に対する抗菌作用から胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防効果などがあります。
プロポリスの科学的データ
Antibacterial effect of propolis and honey on oral bacteria.
対象 健康な10人の男女
試験方法:プロポリス溶液で口腔洗浄後、口腔内バクテリア数を調査< 投与量:0.2%の濃度のプロポリス溶液で口腔を90秒間洗浄 結果:プロポリス溶液で洗浄した10分後の口腔内のバクテリア数は38%抑制された。その中でも虫歯の原因菌であるミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)は42%も抑制されている。洗浄60分後でもバクテリア数の減少は維持されていた。
Anti-influenza virus activity of propolis in vitro and its efficacy against influenza infection in mice.
マウスをインフルエンザウイルスに感染させ、ブラジル産プロポリスの抽出物を摂取させました。その結果、抗インフルエンザ作用が確認されました。
90名の男女を対象にした10日間の一重盲検試験において、30名のプロポリス軟膏を使用した群では24名単純ヘルペスの治癒が確認されました。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。