
セントジョーンズワートは米国ではサンシャインサプリメントとよばれ、とても人気があります。軽度から中度のうつ病や、更年期障害,自律神経失調症,不安神経症などに効果があります。
ストレスの緩和,ダイエット時のイライラ感などにも高い効果をあげています。
ハーブの先進国ドイツでは患者が「イライラする,ストレスを感じる,体がだるい,やる気が起きない」など軽いうつ症状を示したとき処方されるのがセントジョーンズワートです。
目次
セントジョーンズワートとは
セントジョーンズワートの学名はハイペイカム・パーフォラタム(Hypericum performatum)。よく知られた野草で、花びらの端に黒い点のついた黄色の明るい花を咲かせます。こすると赤い色素が出てくるが、それに薬理学的な活性を持ったヒペリシンという物質が含まれています。
セントジョーンズワートの名はキリスト教の民話から来ています。この花から出る赤い色は、洗礼者ヨハネ(John the Baptist)が斬首されたときに流れ出た血の象徴といわれています。洗礼者ヨハネの誕生日とされる6月24日頃に、北半球ではセントジョーンズワートの黄色い花が咲きます。
セントジョーンズワートサプリメントの効果的な取り方
セントジョーンズワートを摂りたい場合は、サプリメントで摂るのが一般的です。セントジョーンズワートの有効成分はヒペリシン,ハイパーフォリンという成分です。
天然のハーブなので栽培方法,収穫時期などによりヒペリシンとヒペルフォリンの含有量が大きく変化します。ヒペリシンまたはヒペルフォリンの含有量がはっきりしている製品を選ぶべきです。
セントジョーンズワートの作用
有効成分がセロトニンを増加させる
脳内の個々の神経細胞はシナプスを通じて情報をやり取りしています。シナプスは、ドーパミン,ノルアドレナリン,セロトニンという神経伝達物質が分泌され情報が伝達されています。うつ病やうつ症状がある人は脳内のノルアドレナリンやセロトニンが少なくなっています。セントジョーンズワートにはこのセロトニンを増加させる働きがあると考えられています。
セントジョーンズワートの科学的データ
ISBN4-8408-0925-9 P359-361 セントジョーンズワートより
375人のうつ病患者に対してヒペシリン(セントジョーンズワートの有効成分)を300mg6週間投与したことで、軽中度の症状に対して有意な効果が見られたという報告があります。
ISBN4-8408-0925-9 P359-361 セントジョーンズワートより
複数のランダム化比較試験または疫学研究またはシステマティックレビューにおいて有効性が確認されています(特定保健用食品は同等レベルとする)。ただしセントジョーンズワートは併用が禁忌の薬剤があります。なんらかの病気に罹患していて薬を服用している場合は医師に相談しましょう。
ISBN4-8408-0925-9 P359-361 セントジョーンズワートより
ナチュラルスタンダードリサーチコラボレーションは1999年に設立されたアメリカの代替補完療法に関する科学的根拠に基づく情報源である。ナチュラルスタンダードにおける等級Aは「3件以上の適切にランダム化された対照試験からの統計的に優位な有益性の科学的な根拠がある場合、もしくは1件の適切に実施された対照試験と1件の適切に実施されたメタアナリシスからの科学的な根拠がある場合、もしくは適切に実施された試験の過半数が統計的に優位な有益性の科学的根拠を示している複数のRCTからの科学的な根拠がありかつ基礎科学や動物実験、理論での裏付け証拠がある場合」に与えられます。Aは強力な科学的根拠があるとされ、セントジョーンズワートが抑うつ障害に対して十分な効果があると考えられています。
セントジョーンズワートの副作用と安全性
副作用で最も多いものは胃腸の不調。セントジョーンズワートに対するアレルギーはごく希にあります。報告によると、すべての副作用はセントジョーンズワートの摂取を止めるとすぐに消えています。副作用は、1%~10%以下の人に現れているにすぎません。それに比べると医師の処方を必要とする抗うつ薬の副作用は、36%の人に現れていて、しかもそれには、大変重いものから、長期的な害を及ぼすものまであります。
セントジョーンズワートを医薬品と併用する場合は注意が必要です。鎮痛薬,抗うつ薬(SSRI),強心薬,ピル,気管支拡張薬,抗てんかん薬,抗HIV薬,抗不整脈薬,血液凝固防止薬などを服用している場合、薬の効き目が弱くなったり副作用が強く出る可能性があります。必ず医師に確認してください。
セントジョーンズワートの相互作用
平成12年に厚生省からセントジョーンズワートと医薬品の相互作用についてという資料が発表されています。医薬品と併用する場合は重大な副作用が出る場合があります。必ず医師など専門家に確認してください。
詳しくは以下のリンクから確認してください。
厚生労働省「セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について」
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。