
冬虫夏草は、漢方薬として不老長寿、精力源として珍重されてきました。
冬虫夏草とは
昆虫等の体に寄生して育つキノコの仲間で、冬に土中で虫の幼虫等に寄生しその栄責分を摂取して育ちます。
夏になると発芽し棒状のキノコが地に生えてくる事から冬虫夏草と名付けられました。世界で350種位のものが冬虫夏草として知られていますが、本当に効果のあるものは、この中のほんの一部の限られた種類だけです。
数ある冬虫夏草の中でも最も効果があるといわれているのが、コウモリガの幼虫に寄生するコルディセプス・シナンシスです。
コルディセプス・シナンシスはチベットの標高3000m以上の高山にしか生育出来ず、積雪が残る5~6月に雪をかき分け地面をはうようにし、地上に出ているわずか数ミリ~数センチのものを見つけ採取します。
冬虫夏草は清の時代に書かれた「本草従新」で初めて文献に記載されました。採取量が非常に少ないため、皇帝の専用品とされ中国以外の国にはほとんど知らせられないままでした。現在でもコルデセプス・シナンシスは「幻の聖草」といわれ、その希少価値から中国では海外への輸出は厳しく制限されています。
冬虫夏草にはさまざまな効果・効能があり、スタミナ不足や過労,耳鳴り,喘息,精力減退,ED, 生活習慣病,運動能力低下,アトピー性皮膚炎,糖尿病などに効果があります。
冬虫夏草サプリメントの効果的な取り方
天然の冬虫夏草は安全性,有効成分の均一性で疑問が残ります。またその価格も1kg数十万円と大変高価です。冬虫夏草には300-400もの種類があります。その中で効果を期待するのであれば、コウモリガの冬虫夏草(コルディセプス・シネンシス)から人工培養されたサプリメントでとるのが最も効果があり、安全性が高いです。
冬虫夏草は継続してとることで肝臓の中にエネルギーが蓄えられ精力ます。1ヶ月間は継続して飲んだ方が良いでしょう。
冬虫夏草の有効成分
冬虫夏草には肝臓に蓄えられるATP分子を増やす効果があることが確認されています。エネルギー発生の仕組みは、アデノシンがアデノシンリン酸(AMP)→アデノシン二リン酸(ADP)→アデノシン三リン酸(ATP)と変化ATP分子が肝臓中に蓄えられます。冬虫夏草は肝臓に蓄えられるATPを30%増やすことが確認されています。
また活性酸素を中和し免疫力を高めるβグルカンが、アガリスク茸の17倍、通常のキノコの約170倍と多量に含まれています。βグルカンの効果には抗ガン作用などがあります。その他ビタミン,ミネラル,18種類のアミノ酸などを含みます。
冬虫夏草の科学的データ
健康な高齢者(50-75歳)20名に対して二重盲検プラセボ対照試験を行いました。被験者は冬虫夏草333mgまたはプラセボ薬を1日3回、12週間服用しました。その結果、冬虫夏草投与群は運動パフォーマンスを示す指標がプラセボに比べて増加しました。
尾懸垂試験法においてマウスに冬虫夏草抽出物を与えたました。その結果、抽出物の摂取症が多いほどアドレナリンやドーパミン系に作用し抗うつ薬様作用を示しました。
冬虫夏草から抽出された多糖類をマウスに体重1kgあたり50,100.200mg投与しました。その後放射性コバルトに暴露させました。その結果、冬虫夏草から抽出された多糖類を摂取すことで酸化による細胞の損傷を抑え、免疫を賦活させる働きがあることが示唆されました。
冬虫夏草の副作用と安全性
冬虫夏草は無毒性で、一般的に量を多くとりすぎても、ほとんどありません。ごく少数報告されている冬虫夏草の副作用は、胃腸上部の不快感,吐き気,口の渇きなどです。天然の冬虫夏草は細菌に汚染されている可能性があります。台湾では天然の冬虫夏草が原因となった鉛中毒が2件報告されています。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。