働き盛りの男性の悩みの種の加齢臭。しかし男性だけではなく、女性にもあらわれる可能性があります。加齢臭はなかなか自分では気づきづらいのが厄介です。
知らぬ間に加齢臭を起こしてしまっている原因と、効果的ですぐ始められる対策を解説します。
目次
加齢臭とは?加齢臭の発生するメカニズム
加齢臭ってどんなもの?
加齢臭は体臭の一種です。体臭は汗や皮脂などの分泌物に起因する臭いで、老若男女どんな人にも存在します。加齢臭は体臭のなかでも加齢に伴い強くなってくる臭いのことで、40-50代くらいから発生するようになります。
加齢臭は一般的に男性に発生するものと思われていますが、男性だけではなく女性にも発生します。
加齢臭の原因とは?
加齢臭の原因は「ノネナール」と呼ばれる物質にあると考えられています。2001年にJournal of Investigative Dermatology(皮膚科学研究誌)において、資生堂リサーチセンターの土井信一郎氏によって「2-Nonenal, Newly Found in Human Body Odor Tends to Increase with Aging(人間の体臭に関する新たな加齢に伴うノネナールの増加傾向の発見)」という論文が発表されました。
この論文では、26歳から75歳の被験者の体臭を分析した結果、加齢に伴う不快な脂臭や青臭さを発する成分「ノネナール」は、40歳以上の被験者において発見されたという結果が現れています。またノネナールは皮膚表面の過酸化脂質や、ω(オメガ)-7系の不飽和脂肪酸の量と正比例の関係がある、つまり、皮膚表面の脂肪の量が多ければ多いほど加齢臭が強くなることが判明しました。
皮膚には、「表皮常在菌」と呼ばれる菌群が存在しています。表皮常在菌とは、皮膚を外敵の侵入から保護し、きれいな肌を保つ役割を果たす非常に重要な菌群ですが、栄養源として皮脂を利用します。ノネナールは、普段表皮常在菌がエサとしている脂肪酸と過酸化脂質が結びつくことで生じると考えられています。
皮脂腺から分泌される皮脂が、表皮常在菌によって分解されて脂肪酸となり、加齢に応じて分泌量の増える過酸化脂質と結びつくため、加齢臭が発生するというわけです。
加齢臭の出やすい部位
加齢臭は、表皮常在菌が皮脂を分解して発生する脂肪酸と、加齢とともに増える過酸化脂質が結びつくことで発生します。そのため、必然的に、皮脂の分泌が多い箇所が加齢臭が出やすい箇所になります。日頃から下記の部位を気をつけて入念に清潔を保つようにすることで、加齢臭を抑えることができます。(加齢臭が発生しやすい箇所順)
- 頭皮
- 耳の後ろ
- 脇
- うなじ
- 首の後ろ
- 背中
- おでこ
- 鼻
- 足
皮脂腺は、基本的には全身にありますが、そのほとんどは上半身に集中しています。そのため、加齢臭は下半身より上半身に発生しやすいのです。特に頭皮は毛髪があって蒸れやすく、臭いやすいです。また、意識しないと丁寧に洗うことができず、知らぬ間に皮脂が溜まりがちな耳の後ろにも発生しやすいです。
加齢臭が出やすい生活チェックリスト!当てはまる人はすぐ対策を
加齢臭の原因は、年齢はもちろんのこと、生活習慣も大きく関わっています。以下のチェックリストに当てはまる人は、加齢臭対策を始めてみてください。
- 40歳以上である
- 運動不足である
- ストレスが多い
- 汗がベタベタとして、油っぽい
- 空調の効いた場所にいることが多い
- 入浴はシャワーで済ませてしまい、湯船にあまり浸からない
- 便や屁がくさい
- 脂っこい食べ物が好きで、よく食べる
- 野菜や果物などの繊維質をあまり摂らない
- 納豆や漬け物、ヨーグルトなどの発酵食品をあまり食べない
- 満腹になるまで食事をしてしまう
- アルコールをよく飲む
- 喫煙をする
- 肥満体型である
- 脂質異常症と診断されている
- フケが多い
年齢以外の項目が男性は3個以上、女性は5個以上ある場合は、加齢臭が発生しやすい生活習慣をしています。自身に自覚がないだけで、既に知らぬ間に加齢臭が発生している可能性もあるため、生活習慣を改め、加齢臭対策を行いましょう。
加齢臭は、加齢に応じて大なり小なり発生してしまうものです。しかし、加齢臭の強さの度合いは生活習慣も大きく関わっているため、適切な対策を行うことで臭いを弱めることも可能です。次の方法のうち、ご自身でやりやすいと思うものからどんどん対策を始めていきましょう。これから、具体的な対策を紹介していきます。
加齢臭の対策のすべて ~食事編4つのポイント~
食事では、以下のポイントに気をつけることで加齢臭を抑えられます。
脂っこい食べ物を控える
焼肉やラーメン、ハンバーガーといった脂っこい食べ物は、皮脂の分泌を促すため、加齢臭を強くします。脂っこい食べ物はなるべく1日1食程度にして、魚や鳥のササミ、野菜や果物といった低脂肪な食べ物を選んでください。
3つの抗酸化物質ビタミンACEをサプリメントで摂取する
加齢臭の原因となるノネナールは、過酸化脂質と脂肪酸が結びつくことで発生します。過酸化脂質が発生するのは加齢とともに生じる自然な現象ですが、抗酸化物質を摂取することで、過酸化脂質を減らすことが可能です。次の成分を意識して摂ってみてください。
ビタミンE
ビタミンEは細胞膜に広く分布するビタミンです。人間は体内で作り出すことができないため、食事としての摂取が必要不可欠な必須ビタミンの一つです。ビタミンEの主な働きは
- 抗酸化作用
- 細胞膜の健康を保つ
- アンチエイジング
- 赤血球の溶血を防ぐ
- 血流の改善
などです。ビタミンEをはじめ抗酸化作用のある物質は多々ありますが、ビタミンEは油に溶ける脂溶性を持っているビタミンです。そのため、脂質の酸化を防ぎ、過酸化脂質の発生を防ぐ作用があるため、加齢臭対策ができる抗酸化物質として、特に効果的です。
Effect of vitamin E-coated membrane on lipid peroxides: long-term clinical use over 3 years:long-term clinical use over 3 years
この研究では、慢性維持の透析患者に対してビタミンE固定膜(透析中のフリーラジカルの増加を防ぐ膜)を使用し、血漿中の過酸化脂質の変動を計測した結果、ビタミンE固定膜を使用した患者において、血中の過酸化脂質の低下を示したという結果が出ています。
つまり、ビタミンEの摂取は、過酸化脂質の生成の抑制を防ぐ効果が期待できると考えられています。このビタミンEの過酸化脂質の生成を抑える効果が、間接的にですが、加齢臭の予防にも効果的であると考えられています。
また、ビタミンEは、加齢臭を気にする年齢から同時に悩みの種となりやすい、「動脈硬化」を予防する効果も期待されています。ビタミンEは動脈硬化に起因する血管障害の予防にも効果的なため、40代以降の健康維持のためにも嬉しい成分です。ぜひ積極的に摂取していきましょう。
<ビタミンEの1日の摂取基準と許容上限量> (単位:mg)
男性 | 女性 | |||
摂取量 | 許容上限量 | 摂取量 | 許容上限量 | 0-5(月) | 3 | 3 |
6-11(月) | 4 | 4 | ||
1-2(歳) | 3.5 | 150 | 3.5 | 150 |
3-5(歳) | 4.5 | 200 | 4.5 | 200 |
6-7(歳) | 5 | 300 | 5 | 300 |
8-9(歳) | 5.5 | 350 | 5.5 | 350 |
10-11(歳) | 5.5 | 450 | 5.5 | 450 |
12-14(歳) | 7.5 | 650 | 6 | 600 |
15-17(歳) | 7.5 | 750 | 6 | 650 |
18-29(歳) | 6.5 | 800 | 6 | 650 |
30-49(歳) | 6.5 | 900 | 6 | 700 |
50-69(歳) | 6.5 | 850 | 6 | 700 |
70以上(歳) | 6.5 | 750 | 6 | 650 |
ビタミンEは、1日の摂取基準と1日に、最大限摂っていい(許容上限)量が大きく離れています。そのため、食事からの自然な摂取に加え、サプリメントで多めに摂っても問題ありません。ビタミンEの過酸化脂質を抑制する効果を期待する方には、サプリメントでの摂取がオススメです。
ビタミンC
ビタミンCはビタミンEと同じく必須ビタミンの一つです。主な働きとして、以下のようなものがあります。
- 抗酸化作用
- コラーゲン合成
- 鉄、カルシウムなどミネラル分の吸収率の向上
- 皮膚、骨などの健康の維持
- 血管の強化
ビタミンCは、ビタミンEと同じく強い抗酸化作用を持つことが特徴ですが、ビタミンEと異なり、水に溶ける水溶性の性質を持っています。ビタミンCには、体内で過酸化脂質や活性酸素の還元を行ったビタミンEから、酸素を取り除き、再びビタミンEが働くことができる形にするという、ビタミンEとの相互作用があります。
ビタミンEを還元したビタミンCは役割を終え、尿として体外に排出されます。ビタミンCとビタミンEは単体でもそれぞれ強い抗酸化作用を発揮しますが、同時に摂取することでさらに相乗効果が期待できます。
<ビタミンCの食事摂取基準> (単位:mg)
男性 | 女性 | |||||
摂取量 | 推奨量 | 目安量 | 摂取量 | 推奨量 | 目安量 | 0-5(月) | – | – | 40 | – | – | 40 |
6-11(月) | – | – | 40 | – | – | 40 |
1-2(歳) | 30 | 35 | – | 30 | 35 | – |
3-5(歳) | 35 | 40 | – | 35 | 40 | – |
6-7(歳) | 45 | 55 | – | 45 | 55 | – |
8-9(歳) | 50 | 60 | – | 50 | 60 | – |
10-11(歳) | 60 | 75 | – | 60 | 75 | – |
12-14(歳) | 80 | 95 | – | 80 | 95 | – |
15-17(歳) | 85 | 100 | – | 85 | 100 | – |
18-29(歳) | 85 | 100 | – | 85 | 100 | – |
30-49(歳) | 85 | 100 | – | 85 | 100 | – |
50-69(歳) | 85 | 100 | – | 85 | 100 | – |
70以上(歳) | 85 | 100 | – | 85 | 100 | – |
ビタミンCは水溶性のビタミンですので、多く摂取しても尿として体外に排出されてしまい、過剰症の心配がありません。日本人の食生活では1日のビタミンC必要量を下回ることはありませんが、加齢臭対策としては、サプリメントとして多めに摂取するのがおすすめです。ビタミンEも同時に含まれているものを利用すると、相乗効果があるためさらによいでしょう。
βカロテン
βカロテンは、ニンジンやトマト、カボチャといった野菜に含まれる、赤色や黄色、オレンジ色といった色素のもととなっている物質です。βカロテン自体は人体の必須栄養素ではありませんが、βカロテンは小腸で人間の必須栄養素の一つである、ビタミンAに変化します。
ビタミンAとしての働きは、以下のようなものがあります。
- 皮膚や粘膜の健康の維持
- 感染症の予防
- 目の働きの向上
しかし、ビタミンAに変化する前のβカロテンにも、大きな働きがあります。βカロテンには非常に強い抗酸化作用があり、脂肪組織や皮膚に蓄えられたβカロテンは、人体にとって有害である活性酸素を無毒化してくれたり、加齢臭のもととなる過酸化脂質を還元(無害化)するなどの働きをしてくれます。
βカロテンは脂溶性ですが、過剰症がほとんどありません(※)。強い抗酸化作用を持つ物質を、過剰症の心配をせず、安全に体内に蓄えておくことができるのが特徴の、心強い栄養素です。
βカロテン(ビタミンA)、ビタミンC、ビタミンEを三つ合わせて「ビタミンACE(エース)」と呼びます。それぞれ単体でも強い抗酸化作用をもつうえ、相乗効果で働きが強くなるため、このように呼ばれています。ビタミンEは過剰症がありますが、かなり大量に摂取しても問題なく、βカロテンとビタミンCは過剰症がほとんどありません。加齢臭対策として、ビタミンACEをサプリメントで多めに摂取してみてください。
加齢臭の対策のすべて ~生活編6つのポイント~
加齢臭の予防やにおいの軽減には、生活習慣も重要になります。以下のことに気を付けて生活してみてください。
禁煙するか、せめてタバコの本数を減らす
煙草は体内の活性酸素を増やします。また煙草を吸うことで発生した活性酸素を除去するため、体内のビタミンC濃度も低くなります。これが加齢臭を悪化させてしまいます。
活性酸素の抑制、加齢臭の予防・対策のためには禁煙が重要です。どうしても難しい場合は、1日に吸う本数を減らすことから始めましょう。
ストレスを解消する
人間はストレスを感じると、体内で活性酸素が発生します。ストレスを完全になくすことは難しいですが、ストレス解消をすることで活性酸素の発生を抑えることはできます。ストレスを解消する方法は様々ですが、スポーツ・カラオケ・入浴などが一般的です。ただしストレス解消と言って暴飲暴食に走るのはNGです。
頭部の臭い対策~洗い方とシャンプー選び~
頭部は毛髪に包まれているため、皮脂が残りやすく加齢臭が発生しやすい場所なので。特に入念にケアをしたいです。
正しい洗髪方法
頭部の臭い対策は、まず正しく洗えているか、シャンプーのやり方を見直しましょう。ポイントは以下の3つです。
①回数は1日1回でOK
加齢臭が気になると、ついつい洗髪をたくさんしてしまいがちですが、1日1回に留めましょう。洗髪を1日何度も行うと、頭皮が乾燥して、逆にフケが出やすくなります。フケには皮脂や脂肪酸が大量に含まれているため、かえって加齢臭を発生しやすくなってしまうのです。
②洗髪は短時間でOK
洗髪は、時間をかけて行う必要はありません。時間をかけてゴシゴシと洗ってしまうと、皮脂が必要以上に落ちて頭皮が乾燥し、フケが発生する原因となります。髪を軽く水洗いして十分に濡らした後、爪ではなく指の腹の部分でササッと洗いましょう。
③髪をドライヤーで乾かしすぎない
洗髪した後にドライヤーを使って乾かしすぎると頭皮の乾燥を招きフケを発生させやすくなります。フケは加齢臭の原因の一つなので乾かしすぎるのは避けましょう。
加齢臭・フケ対策のシャンプーは必須アイテム
シャンプー自体を加齢臭・フケ対策のものにするのも重要です。頭皮への刺激が少ないように、無添加のものを使用するとよいでしょう。加齢臭対策としておすすめは、柿タンニンが含まれているものです。
柿タンニンの効果
タンニンは、広く植物に分布するポリフェノールの一種です。渋柿や緑茶などを想像すると分かりやすいですが、非常に強い苦みをもち、収れん作用(肌を引き締める効果)を持ちます。
柿は古くから様々な健康効果があることが知られ、利用されてきました。渋柿を搾って発酵させた液体は防虫作用があり、天然の農薬や防腐剤として利用されてきました。現在では、その作用は柿渋液に含まれるタンニンの作用によるものだと考えられています。
柿タンニンは、「フェノール性水酸基」と呼ばれる化学的構造を持ちます。フェノール性水酸基はノネナールやアルデヒド、ω-7系不飽和脂肪酸といった、臭いの原因物質と結びつき、無臭化する作用があります。香水などとは異なり、不快な匂いを他の香りで誤魔化すのではなく、そもそもの臭い物質を無効化してくれるため、効果が長続きするのが特徴です。ぜひ柿タンニン入りのシャンプーや石鹸を試してみてください。
脇の臭い対策~腋毛の処理とふき取り~
脇は、服を着ているため通気性が悪く、湿気がこもりがちです。さらに、脇には臭いの強い汗を出すアポクリン線が多く、皮脂腺も存在しているので、加齢臭が発生しやすくこもりがちです。脇の臭いの対策には以下のことに気を付けてみましょう。
①脇毛を処理する
男性で腋毛の処理を行っている人は少ないですが、これをすることで脇の通気性がよくなり、加齢臭がこもりづらくなります。また、汗や皮脂を分解して嫌な臭いを出す菌群の繁殖を防ぐ効果も期待できます。カミソリなどで剃ってしまってもいいですが、皮膚を傷つける可能性もありますので、脇毛を短くするだけでも十分に効果を期待できます。
②こまめに汗を拭く
加齢臭は、過酸化脂質と脂肪酸が結合して発生するノネナールという物質が原因です。汗とともに衣服にノネナールが付着してしまうと、加齢臭がより強く・長く持続するようになってしまいます。上の項目で述べた脇毛の処理を行うと、汗自体が少なくなるため、①②を同時に行うのがおすすめです。
鼻、おでこ、耳の後ろなどの臭い対策~顔拭きシート活用~
加齢臭はその特性上、皮脂の分泌の盛んなところで発生します。頭皮と脇は特に臭いが強くなりがちですが、鼻やおでこ、耳の後ろなどからも発生します。こういった場所から意外に強い臭いが発生することもあるので、意識して次のようなケアをしてください。
皮脂をこまめに拭きとる
鼻やおでこ、耳の後ろは皮脂腺が非常に多いため、皮脂の分泌も盛んです。こまめな皮脂の拭き取りで、皮脂が酸化してしまう前にきれいにしてしまいましょう。油とり紙や顔拭きシートを常備し、こまめに皮脂を取り除いてください。
上半身の臭い対策~着替え持参とボディーソープ選び~
脇だけではなく、胸や背中も汗腺と皮脂腺が多く、加齢臭が気になる部分です。夏場、背中や胸の部分が汗でグッショリと濡れてしまう人は次の対策をしましょう。
シャツや下着は必ず洗濯をし、毎日清潔なものを着る
加齢臭の原因物質であるノネナールは、着ている衣服に付着し、臭いを強く長く持続させてしまいます。シャツや下着は必ず毎日着替え、洗濯をした清潔なものを着てください。可能ならば着替えを持っておき、外出などで汗をかいたら着替えると尚よいでしょう。
ボディーソープを加齢臭対策用のものにする
加齢臭には、原因物質ノネナールを抑制する作用のあるボディーソープの使用が非常に効果的です。おすすめの成分はこのようなものがあります。
柿タンニン
シャンプーの項目で説明したように、柿タンニンのフェノール性水酸基という構造は、ノネナールや不飽和脂肪酸と結びつき、無臭化する働きがあります。同時に柿タンニンには収れん性(肌を引き締める作用)があるため、毛穴をしめて皮脂の分泌を抑える働きがあります。
胸や背中には皮脂腺が多いため、ノネナールの無臭化と同時に、皮脂の分泌を抑える、相乗効果が期待できます。
ユーカリオイル
ユーカリから精製されたユーカリオイルは、スキンケアに有効な作用がたくさんあります。代表的な効能としては次のようなものがあります。
- 殺菌作用
- 抗菌作用
- 消臭作用
- 清浄作用
- 頭皮のフケを予防
- 皮脂の分泌を抑える
ユーカリオイルには臭いの原因となる菌の増殖を抑える作用があるほか、頭皮のフケを改善して、加齢臭を軽減します。また、皮脂の分泌を抑えて加齢臭の原因物質であるノネナールの生成を抑制したり、爽やかな香りをつけてくれたりする作用もあります。ユーカリオイルは、男性女性問わず、スキンケアに非常に効果が高い精油として有名ですので、ユーカリオイルを含んだボディーソープは、柿タンニンのボディーソープに次いでおすすめです。
入浴は湯船に浸かりじっくりと汗をかく
加齢臭対策には、シャワーより湯船に浸かるほうが適しています。普段、汗をかかない生活を送っている人の場合は、皮脂や汚れが毛穴に詰まり、加齢臭の原因物質であるノネナールが溜まってしまっている可能性が高いです。湯船に浸かってじっくりと汗をかくことで、毛穴に詰まった汚れを外に排出させましょう。
具体的には、少し熱めの40度程度のお湯にじっくりと20分~30分ほど浸かると、気持ちよく汗をかけるでしょう。また入浴前には水分補給を忘れないでくださいね。
体臭、加齢臭、ワキガ臭の違いとは?
加齢臭もワキガ臭も体臭の一つです。加齢臭とワキガ臭を解説する前にまずは体臭とは何かを解説します。
体臭とはそもそもなぜ発生するのか
体臭は汗や皮脂、垢といった物質が、表皮常在菌によって酸化されたり、分解されたりすることで発生する物質を原因とする匂いのことを指します。
意外に思われるかもしれませんが、皮脂や汗は分泌された直後はほぼ無臭です。しかし表皮常在菌が分解することで発生する物質に臭いがあるため、体臭を発するようになります。皮脂腺や汗腺の多い頭皮や、脇、足の裏など、汗をかきやすい場所が強く匂いやすいです。
加齢臭もワキガも、分類としてはこの体臭の仲間です。しかし、その原因となる汗腺の種類が異なり、別の匂いを発生させているのです。
ワキガ・加齢臭・単なる体臭の違いは、汗腺の種類の違い
汗腺はエクリン線とアポクリン線の2種類があり、それぞれで分泌される汗の特徴が異なります。このそれぞれの汗の特徴は体臭とワキガ臭に大きく影響を及ぼします。
① エクリン線
エクリン線は、全身に分布する汗腺です。エクリン線から分泌される汗の99%以上は水分で、残りはナトリウム、カリウム、カルシウムなどのミネラル分やアミノ酸、乳酸といった物質です。スポーツを行っているときなどの体温調節や、大事な面接やテストの前などの精神的な緊張によって発汗する汗です。
そのほとんど水分のため、発汗直後は無臭ですが、放置することで各種ミネラルやアミノ酸、乳酸などを表皮常在菌が分解して、臭いが発生するようになります。学生の部活動のあとのような汗臭さは、このエクリン線の汗が原因の臭いになります。
いわゆる体臭が該当します。汗くさい匂いがします。
② アポクリン線
アポクリン線は、エクリン線とは異なり、限られた部位に分布する汗腺です。耳の後ろや脇、陰部などの体臭の原因と言われている箇所に分布しています。エクリン線から発汗する汗が水分が99%を占めていたのに対して、アポクリン線から発汗する汗は水分が80%ほどしかありません。
残りはタンパク質や脂質、脂肪酸、アンモニア、各種ミネラルなどで占められており、表皮常在菌の働きがなくても、汗をかくだけで特有の臭いが発せられます。フェロモンとしての役割を果たすと考えられており、このアポクリン線から発汗する汗のにおいが強い場合は、ワキガと言われます。
ワキガ臭が該当します。刺激のある臭いが特徴で、玉ねぎの臭いや酢の臭いと例えられます。
③ 皮脂腺
皮脂腺は毛穴に存在し、皮脂を分泌する役割を持った器官です。毛穴があるところに存在するため、頭皮や顔、脇、陰部、足などに多く分布します。皮脂腺から分泌される皮脂は表皮常在菌によって分解され、加齢臭の原因となるノネナールや、頭皮の臭いの原因となる脂肪酸などになります。
加齢臭が該当します。汗腺や皮脂腺から分泌される脂質が分解されることで発生する「ノネナール」という物質が原因で発生します。酸化した油や青臭い臭い、新聞紙やブルーチーズの臭いと例えられます。
加齢臭対策のよくあるQ&A
自分の体臭・加齢臭はなかなか気づきづらいものです。その場合は、寝るときに利用している枕の臭いを確認してみましょう。枕は、頭皮や首筋といった汗腺と皮脂腺が多い部位を支えているため、加齢臭の原因物質であるノネナールが付着しやすい寝具です。清潔な枕を使用して一晩寝てみて、油の臭いや新聞紙、古書の臭い、ブルーチーズの臭いなどがした場合は、加齢臭の可能性が高いでしょう。加齢臭だと判断できた場合は、この記事で紹介した対策を試してみてください。
女性が更年期に入ると、女性ホルモンの分泌量が低下します。女性ホルモンは汗や皮脂の分泌を抑制する作用がありますが、その分泌量が減ることで皮脂が増え、結果として加齢臭の原因物質であるノネナールが増加します。女性が更年期に差し掛かると加齢臭が発生する可能性が高まるので、この記事で紹介したケアを試してみてください。男女問わず有効な方法を解説しています。
加齢臭の原因物質であるノネナールは、過酸化脂質と脂肪酸が結びつくことで発生します。若いうちは脂質を酸化させる活性酸素を除去する力が強いため、過酸化脂質ができづらく、加齢臭は少ないです。しかし、肥満で体内の脂質が多く過酸化脂質が生成されやすい、身体の不調で抗酸化力が落ちているなどの原因があると、加齢臭が発生する可能性はあります。
中性脂肪値やLDL(悪玉)コレステロール値が高い場合は、加齢臭を発生させやすい傾向にあります。ただしその場合は数値を低下させることができれば、加齢臭を抑えることができます。脂質異常症と診断されてしまうような数値の人は正常値内を目指し、正常値内だけれども数値が高めの人は、現状よりもう少し数値を落とせるようにしましょう。そうすれば加齢臭にも効果が出るはずです。
頭皮、顔、体のいずれも、洗い過ぎは加齢臭に対して逆効果です。洗い過ぎてしまうと、皮脂が必要以上に剥がれ、乾燥を招きます。肌が乾燥するとフケや垢が出やすくなり、これが加齢臭の原因物質であるノネナールの温床となります。なので、匂いが気になる部分をゴシゴシと洗えないと不安になる心配はありませんよ。乾燥肌の場合の加齢臭のケアとしては、保湿成分のあるシャンプーやボディーソープ、化粧品などを利用するようにしましょう。代表的な成分としてはヒアルロン酸があります。ノネナールを無臭化する柿タンニンと合わせるとさらに効果的です。ぜひお試しください。
入浴がシャワーになってしまう場合は、その分、使用するボディーソープやシャンプーに気を付けましょう。上で挙げたように柿タンニンやユーカリオイルが含まれた商品を使うのがおすすめです。また入浴をしない人は、温浴効果で汗をかき、毛穴の汚れを除去することができないため、汗をかく軽いジョギングなどのスポーツを行って、入浴の代わりとしてください。汗は体臭の原因にもなりますが、加齢臭の抑制のためにはとても重要です。習慣になるまでは大変かもしれませんが、確実に効果は出ると思いますよ。
加齢臭対策のまとめ
加齢臭は、皮脂腺から分泌された皮脂が表皮常在菌によって分解されてできた脂肪酸と、加齢によって生じる過酸化脂質が結びつくことで発生します。表皮常在菌の働きも過酸化脂質の発生も避けることのできない現象ですが、適切なケアを行うことで加齢臭は軽減することが可能です。正しい入浴方法や、シャンプー・ボディーソープ選び、そして禁煙が加齢臭軽減のコツです。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。