コレステロールとは脳や神経組織、肝臓など体のあらゆるところに存在している脂質の一種です。
生活習慣病の原因になることや摂取過剰が体に良くないと言われることで悪性のものに感じやすいですが、細胞膜や性ホルモン、胆汁酸の原料となる人体にとって必要不可欠な物質です。
必要量の8割ほどが体内で合成され、残りが食品として摂取されたもので賄われます。
目次
LDLとHDLとは
LDL(Low Density Lipoprotein)と、HDL(High Density Lipoprotein)は「リボタンパク質」のひとつです。
「リボタンパク質」は、他にカイロミクロン(Chylomicron)、VLDL(Very Low Density Lipoprotein) があり、全部で4種類からなっています。
疎水性(水に溶けにくい性質のこと)の物質である脂質が、親水性(水に溶ける性質のこと)である「リボタンパク質」を構成する物質の一つとなることで、血流に乗り身体の各部位に運搬することができるようになります。
LDL:肝臓から身体の各部位にコレステロールを運搬するリボタンパク質のこと。一般的に悪玉コレステロールと言われるもの。
HDL:身体の各部位から肝臓へコレステロールを運搬するリボタンパク質のこと。一般的に善玉コレステロールと呼ばれるもの。
の2種類がコレステロールに関わっており、健康診断などでも重視される物質です。
中性脂肪(トリグリセライド)とコレステロールは別の物質です。コレステロールが細胞膜やホルモンの材料となる一方、中性脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪といった形でエネルギー源として利用される物質です。
もっと詳しく:内臓脂肪を燃焼させて減らす方法~サプリメント・食事・運動のコツをアドバイス
コレステロール値の高い状態とは?
コレステロール値が高い状態とは一般的に以下の状態を指します。
総コレステロール(TC) | |
---|---|
異常 | 139mg/dl以下 |
基準範囲 | 140-199mg/dl |
要注意 | 200-259mg/dl |
異常 | 260mg/dl以上 |
LDL(悪玉コレステロール) | |
---|---|
要注意 | 59mg/dl以下 |
基準範囲 | 60-119mg/dl |
要注意 | 120-179mg/dl |
異常 | 180mg/dl以上 |
HDL(善玉)コレステロール | |
---|---|
異常 | 29mg/dl以下 |
要注意 | 30-39mg/dl |
基準範囲 | 40-119mg/dl |
異常 | 120mg/dl以上 |
コレステロールはLDL・HDLともに人体にとって必要不可欠な物質です。そのため数値が低すぎても異常となります。
LDL(悪玉)コレステロール数値が少ないからよい、HDL(善玉)コレステロールの数値が高いからよいということではありません。
LDL・HDLともに基準範囲に収めることが健康にとって重要です。
コレステロール値が高いとは
コレステロール値が高いとは一般的にLDL(悪玉)コレステロールが高い状態を指します。
コレステロールが高いことによる自覚症状がほとんどありません。
そのため健康診断を受けて上記の要注意以上の数値の場合、運動や食生活の改善などが必要になります。
脂質異常症とはその名の通り、脂質の数値に異常が出る症状のことです。生活習慣病の一つでもありLDL、HDLと中性脂肪の数値が関係しています。
高LDLコレステロール血症
LDLコレステロールの値が高いことが原因となる。
低HDLコレステロール血症
HDLコレステロールの値が低いことが原因となる。
高トリグリセライド血症
中性脂肪の値が高いことが原因となる。
の3つに分類されます。
高LDLコレステロール血症と高トリグリセライド血症の場合はアテロームを血管内に発生させやすくさせ動脈硬化を誘発させるリスクがあります。
低コレステロール血症に関してはコレステロールを肝臓へ回収するHDLコレステロールの値が少ないため結果的に血中のコレステロール値が高くなりアテローム及び動脈硬化のリスクになります。
コレステロール値が高くなりがちな生活習慣とは
コレステロール値が高くなりがちな生活習慣は以下になります。
高カロリーな食生活が続いている人
脂質を中心とした高カロリーな食生活が続いている人はコレステロール値が高くなりやすく、同時に動脈硬化を引き起こしやすくなります。
運動不足の人
摂取したカロリーを運動で消費しないと血中のコレステロール値は高くなってしまいます。1日に30分程度の歩行くらいの運動すらしていない人はコレステロール値が高くなりがちでしょう。
喫煙習慣のある人
喫煙することでLDL(悪玉)コレステロールが酸化しやすくなります。直接コレステロール値を上げるわけではありませんがアテロームを発生させやすくするため危険です。
過度の飲酒習慣のある人
アルコールの適量の摂取はHDL(善玉)コレステロールの値を高め、健康増進作用があることが示唆されています。しかし過度のアルコール摂取はHDLを極端に高め、逆に心疾患などのリスクを高めてしまいます。
適正なアルコールの摂取量は純アルコール換算で20gと言われています。
一般的なアルコール濃度の各種アルコール飲料の適正摂取量
ビール(中瓶1本) | 500ml |
---|---|
日本酒(1合) | 180ml |
焼酎(0.6合) | 110ml |
ウイスキー(ダブル1杯) | 60ml |
ワイン(1/4本) | 180ml |
缶酎ハイ(1.5缶) | 520ml |
ただし飲み会などでは簡単に超えてしまう基準だと思いますので、例えば1日にビールを中瓶4本ほど飲んだ場合、3日間休肝日を作るなど週単位で考えるとよいでしょう。
閉経を迎えた女性
女性が閉経を迎えると女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量が少なくなります。
エストロゲンはLDL(悪玉)コレステロールの合成を抑制し、HDL(善玉)コレステロールの合成を促進させる働きもします。
そのため閉経を迎えた女性はコレステロール値が高くなってしまう傾向にあります。
コレステロールセルフチェック
コレステロール値が高い、コレステロールが引き起こす動脈硬化といった状態は自覚症状がないことが特徴です。
毎年の健康診断でコレステロールの値が基準値にあるかどうかをしっかり把握することが重要になります。
【総コレステロール(TC)が高い場合の数値】
要注意 200-259mg/dl
異 常 260mg/dl以上
【LDL(悪玉コレステロール)が高い場合の数値】
要注意 120-179mg/dl
異 常 180mg/dl以上
太字の範囲にある場合はコレステロール値が高いです。
またコレステロール値が上述の範囲にない場合でも
- 肥満体型である
- 運動習慣がない
- 喫煙習慣がある
- 過度の飲酒習慣がある
- 家族に脂質異常症の人がいる
などに当てはまる場合はコレステロール値が高くなりがちなので異常範囲にならないようより一層の注意が必要です。
コレステロール値が高くなる原因とは
コレステロール値が高くなる原因は肥満と同じく過度の飲食や運動不足によるコレステロールの供給過多によります。コレステロールの作られる仕組みとしては以下になります。
①小腸から脂質が分解・吸収される
人間が食事から摂取した脂質は消化器官で脂肪酸に分解されたのち、小腸で吸収されます。
②肝臓でコレステロールと中性脂肪に合成される
肝臓は食事から摂取した脂肪酸をコレステロールと中性脂肪に合成されます。ここで合成されたコレステロールはLDL(悪玉)コレステロールの形になって身体の末梢組織に供給されます。
③使われなかったコレステロールが肝臓に戻る
2の段階で利用されなかったコレステロールはHDL(善玉)コレステロールが肝臓に戻します。そして再びLDLとして末梢組織にコレステロールを運搬します。
このようにコレステロールはLDLとHDLの働きによって適切な量を末梢組織に運搬され、余剰は肝臓へ戻り、また各組織に運搬されます。
通常ならば過不足なくこのサイクルが回るためコレステロール値は高くなりません。
しかし以下の要因によりLDLコレステロールの値のみ高くなる、HDLコレステロールの値が低くなりコレステロールのサイクルが円滑に回らなくなる、などがおこります。
- 遺伝的な問題
- 投薬上の問題
- 肥満
- 運動不足
- 糖尿病
- 高コレステロールの食品の摂りすぎ
このため血中のコレステロール値が高くなってしまいます。

しかしLDLコレステロールを血液内から組織細胞へ運ぶための「LDL受容体」というものが先天的に欠陥している場合も存在します。
この場合、遺伝しやすいという特徴があるため家族に高コレステロール値や脂質異常症の人がいる場合は注意が必要です(およそ高コレステロール値の人500人に1人が家族性高コレステロール血症です)。

- 降圧剤(高血圧治療の薬)
- 経口避妊薬(ピル)
- 向精神薬
- 角化症治療薬
などが該当します。しかしこれらの薬はそれぞれの治療のために必要な薬です。そのため別の食生活や運動習慣の改善などでコレステロール値を下げるように心がけたいものです。
コレステロール値が高い状態を放置するとどんな危険があるか?
コレステロール値が高い状態が続くと「動脈硬化」を引き起こします。
コレステロール値が高いといわゆる「血液ドロドロ」の状態になります。血液内のLDL(悪玉)コレステロールの値が高いと血管壁に酸化したLDLが沈着します。
そうしてできた「アテローム」という粥腫がどんどん大きくなり血流を阻害し、動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化とは全身に血液を送る動脈が硬くなったり狭くなったりすることで血流を阻害することを指します。
動脈硬化が発生するメカニズムを見ていきましょう。
①血液中のLDLが血管壁内に入り込む
高血圧や糖尿病といった要因により血管壁の内膜に酸化したLDLが入り込みます。
②マクロファージがコレステロールを取り込む
マクロファージは死んだ細胞や細菌といった異物を捕食し消化する掃除屋のような働きがある細胞です。
酸化し血管壁内膜に入り込んだLDLコレステロールを異物として処理を行い、死んでいきます。
マクロファージやLDLコレステロールの中に含まれていた脂肪やコレステロールがどんどん沈着していき、結果細胞壁内膜がどんどん大きくなっていきお粥のようにドロドロとした「アテローム(粥腫)」を形成します。
③アテロームが血流を阻害する
この肥大したアテロームは血流を阻害し末端組織への酸素と栄養素の運搬を阻害します。
酸素や栄養素の供給が滞ることで臓器や組織の正常な働きを阻害し、完全に血流が途絶えてしまうとくも膜下出血や心筋梗塞といった致命的な疾患を引き起こします。
このようにコレステロール値が高いことは自覚症状がない状態ですが、放置することによって致命的な疾患のリスクを高くしてしまいます。
コレステロール値を下げるのに役立つ食品・成分
自覚症状がないため放置しやすいコレステロール値の高い状態。しかし、致命的な疾患のリスクを高くする可能性も存在します。この項目ではコレステロール値を下げるのに役立つ食品・成分を紹介します。
SMCS
SMCS(S-メチルシステインスルホキシド)はブロッコリーやアブラナ科の野菜に含まれるアミノ酸です。
SMCSを1缶160gに26mg含有している飲料を1日に2缶、血清LDLコレステロール値が140-180mg/dlの男女に2週間継続して摂取させたところプラセボ群と比較しコレステロール値が減少したという結果が出ています。
SMCSを摂取することで血液内の過剰なLDLコレステロールが肝臓で胆汁酸に代謝され、体外に排出されたため血中のコレステロール値が減少したと考えられています。
SMSCはキャベツやブロッコリーといったアブラナ科の植物に多く含まれています。
野菜からの摂取はもちろん効果的ですが、食べる量が多くなってしまうため毎日続けることが少々難しいでしょう。そのためお手軽にドリンクタイプの商品から摂取するのがおすすめです。現在では、SMCSを抽出・配合したトクホ(特定保健用食品)の飲料が発売されています。
DHA・EPA
DHA・EPAはn-3系脂肪酸に分類される脂肪酸です。ともに魚油に多く含まれており、体内では十分な量を合成することができないため一定量を食事から摂取する必要のある必須栄養素です。
血小板の凝固能を抑制し血栓ができるのを防いだり、血管に弾力性を持たせ動脈硬化を予防したりする効果があります。
2001年 The American journal of Clinical nutritionに掲載された「高濃縮のn-3系脂肪酸もしくはコーンオイルを心筋梗塞後、迅速に投与した場合の血清中のHDLコレステロールとトリアシタルグリセロールへの効果」という試験では、DHA・EPAを含むn-3系脂肪酸を投与したところ、HDLコレステロールの値が優位に上がり、逆にトリアシタルグリセロール(中性脂肪)の値は下がったという結果が出ています。
このため、悪玉コレステロールと善玉コレステロールのバランスの調整にDHA・EPAが効果的であると示唆されています。また、上述したように、血小板の凝固能の抑制や、血管への弾力性を向上させる効果も期待できるため、動脈硬化やそれに基づく心筋梗塞などへの予防効果も期待できるでしょう。
DHA・EPAの一日の摂取目安量は特に定められておりませんが、DHA・EPAを合わせて900mgほど摂取すると心筋梗塞の予防に効果があると言われています。サプリメントでの摂取のほか、一日のうち一食の主菜を魚にすると効果的でしょう。
リコピン
リコピンはカロテノイドの一種でトマトやスイカ、ピンクグレープフルーツ、グァバなどの赤い色素成分です。中でも特にトマトに豊富に含まれており「トマトが赤くなると医者が青くなる」のことわざの通り非常に多くの健康効果があります。
株式会社カゴメがリコピンを含む食品を摂取する群とプラセボ群を比較する試験を行ったところトマト由来のリコピンを1日に15mg以上、8週間以上の期間摂取するとHDL(善玉)コレステロールを上昇させる作用があると判明しました。
またリコピンをはじめとするカロテノイドは非常に強い抗酸化作用があるため血管内でLDL(悪玉)コレステロールが酸化しアテローム(粥腫)になるのを抑える作用もあると考えられています。
トマトからリコピン15mgを摂取しようとすると1日に3個ほどの食べる必要があります。なかなか1日に3個のトマトを食べるのは難しいため、サプリメントで摂取するのがおすすめです。
水溶性食物繊維
食物繊維は人間の消化酵素では消化することができない物質です。分類としては炭水化物に含まれます。ゴボウやレタスなどに含まれるいわゆる「繊維質」は水に溶けない不溶性食物繊維です。それらは腸の中で水分を吸収し、便のかさ増しや腸を刺激して排便を促す蠕動(ぜんどう)運動を活性化させ腸内環境の改善やデトックスに役に立ちます。
対して水溶性食物繊維はオクラやヤマイモといったネバネバした野菜やワカメやコンブなどのヌメりのある海藻類に多く含まれています。水溶性食物繊維は腸内で食品の中のコレステロールや胆汁酸を吸着し、便として外に排出する作用があります。そのためLDLコレステロールが吸収されたり胆汁酸から再合成されたりするのを防ぐ作用があります(結果コレステロール値が下がります)。
水溶性食物繊維は1日に6-10gほど摂取すると効果的ですがオクラでいうと1パック(100gほど)摂取しても2gに満たないほどの量しか摂取することができません。食事から十分な量を摂取するのはなかなか難しいため、難消化性デキストリンといった食物繊維の添加された飲料を利用するとよいでしょう。
ビタミンC、ビタミンE
LDL(悪玉)コレステロールは酸化することでアテローム(粥腫)を引き起こし動脈硬化の原因となります。ビタミンCは強い抗酸化作用を持つ物質のためLDLの酸化を防ぐ働きがあります。人間の体内でLDLコレステロールが酸化されるとビタミンEが酸化されたLDLから酸素を奪い、正常な状態に戻します。
その代わりビタミンEが酸化してしまうのですが、今度はビタミンCがビタミンEから酸素を奪い、酸化されます。ビタミンCは水溶性の物質のため酸化された場合、すぐに尿から排出されます。ビタミンCとEは共同で体を酸化から守るため同時に摂取すると効果が高くなります。
現代の日本の場合、ビタミンCとEともに不足することはありません。ビタミンCは野菜や果物といった食べ物やペットボトル飲料の酸化防止剤として幅広く使われており、ビタミンEは植物油に多く含まれています。
ただしビタミンCは水溶性のため過剰な分は体外に排出され、ビタミンEは1日の摂取目安が10mg程度なのに対し上限量は600mgほどとなっているためサプリメントなどで日常の食生活に+して飲むとさらに効果的でしょう。
症状の予防・改善・対策・対処法を医師がアドバイス
コレステロール値が高くなる高LDLコレステロール血症は脂質異常症の一つであり生活習慣病です。そのため予防や改善のためには生活習慣を改めることが必要不可欠です。
健康診断の結果が「経過観察」だった場合は食生活と運動習慣を改めましょう。再検査や要受診といった結果だった場合も医師との相談になりますが基本的には生活習慣の改善からコレステロール値を下げることが可能です。
食生活の改善
摂取するカロリーが多かったり飽和脂肪酸の摂取が多かったりするとコレステロール値は上がります。食生活を改善してコレステロール値を下げる場合は以下の3点を心掛けましょう。
- 適切なカロリー量を摂取する
- 飽和脂肪酸(主に肉類に含まれる脂肪酸)の量を減らして不飽和脂肪酸(魚や植物に含まれる脂肪酸)の量を増やす
- 飲酒量を減らす(※)
特に自分の適切なカロリー量を把握することは大切です。個々人の体型によっても変わりますが以下の表で概算を計算することができます。
A:年齢別基礎代謝基準値
男性の基礎代謝量 | 女性の基礎代謝量 | ||
---|---|---|---|
18-29歳 | 24 | 18-29歳 | 22.1 |
30-49歳 | 22.3 | 30-49歳 | 21.7 |
50-69歳 | 21.5 | 50-69歳 | 20.7 |
基礎代謝量 = A × 体重
B:身体活動レベル
低い:一日の大半を座った状態で活動する 1.5
普通:座位が中心だが通勤や家事程度は動く 1.75
高い:外回りや肉体労働、運動習慣がある 2.0
一日の必要カロリー = 基礎代謝量 × B
30歳体重50kgで外回りをしている女性ならば
基礎代謝量:21.7×50=1,085
一日に必要なカロリー:1,085×2.0=2,170Kcal
となります。
運動習慣の改善
適度な運動は血中の中性脂肪値を下げ、HDL(善玉)コレステロール値を増やす作用があります。
一日30分程度でいいのでウォーキングをするだけでも十分に効果があります。
継続することが重要なので辛い運動をする必要はなく、ウォーキングのほか水泳やサイクリングなどの有酸素運動をするのがよいでしょう。
薬物療法
食生活や運動習慣などの生活習慣の改善を行ったのにも関わらずLDLコレステロールの値が下がらない場合は薬物による治療も視野に入ります。
この際利用されるのは「HMG-CoA還元酵素阻害薬」という肝臓でコレステロールが合成されるのを抑制する薬です。
ただし他に処方されている薬や発症している病気との兼ね合いもあるため医師の判断が非常に重要になります。
- 既往症(特に心筋梗塞、狭心症)がないか
- 他に服用している薬はないか
- 現状の食生活や運動習慣
をしっかりと伝えるようにしましょう。
また薬物治療を行っても食事と運動習慣の改善は必要不可欠です。
閉経を迎えた女性の場合
閉経を迎えた女性の場合、女性ホルモンであるエストロゲンが減少します。エストロゲンはLDL(悪玉)コレステロールの値を下げ、HDL(善玉)コレステロールの値を上げる作用があります。
しかし、閉経後はエストロゲンの分泌量が下がるためコレステロール値が上昇しやすい傾向にあります。
閉経後、最初の健康診断ではコレステロール値が正常の範囲であるかどうかを確認し、もし昨年に比べて異常値が出た場合一度病院で診察を受けることをおすすめします。その際は内科、もしくは産婦人科になります。
性別・年代に共通すること
コレステロール値が高いかどうかは年に一度の健康診断で把握することが可能です。
コレステロール値が高くても即致命的なことになることはまずありません。一年かけて食生活や運動習慣を改善することにより数値をよくすることが可能です。
特に30歳を超えてからは男女ともにコレステロール値が高くなる傾向にあるため、健康診断を面倒くさがらずに毎年きちんと受けることがコレステロール値を正常に保つ秘訣です。
コレステロールに関するQ&A
コレステロールはホルモンや細胞膜、胆汁酸の材料になり中性脂肪は皮下脂肪などになりエネルギー貯蔵の役割があります。高LDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症は全て脂質異常症に含まれるため脂質に異常が出ているという意味では非常に似ています。また高コレステロールも高中性脂肪もどちらも動脈硬化を促進させ、くも膜下出血や心筋梗塞などの要因になるところも似ています。
コレステロール値が高い人は中性脂肪値が高い場合がほとんどなので、ほぼ同じと捉えてしまっても特に差支えはないでしょう。どちらも食生活の改善や運動習慣の継続で値が下がるのも共通です。
飽和脂肪酸(肉類に含まれる脂肪酸)はLDLコレステロールの値を上げてしまう効果があるため避けたほうがよいでしょう。ただし、気にしすぎてもよくないです。絶対に食べないなんてことはする必要がありません。何事もバランスなので肉類を多く食べてしまった次の日は野菜を多くする、運動を増やすなどといったことしてストレスのないようにしましょう。
コレステロール値を上げないため卵は1日1個まで、というのは昔からよく言われていることです。しかし現在では逆に卵は良質なコレステロールとタンパク質の摂取源なためたくさん食べても大丈夫という説もあります。あくまで個人的な見解ですが1日に2個くらい食べてしまっても大丈夫ではないでしょうか。
ただし高LDLコレステロール血症の人は念のため医師に相談をしましょう。
コレステロール値が高くても基本的に自覚症状はないため健康診断の数値が目安となります。健康診断は「(異常なし)、経過観察、医療機関での再検査、管理・治療中、再受診」の5つで判定されることがほとんどだと思いますが、医療機関での再検査より右側ならば一度病院で診察を受けてみることをおすすめします。
コレステロール値が高い状態が続けば続くほど動脈硬化のリスクは高まります。そのため積極的に改善をしていきましょう。食事制限と運動習慣を組み合わせてまずは標準体重まで痩せることをおすすめします。標準体重に戻すだけで次の健康診断の結果はよくなっていると思います。
低用量ピル(以下、ピル)は確かにコレステロール値を上げてしまう可能性があります。特にコレステロールの中でもLDL(悪玉)コレステロール値を上げてしまうため、使用には少々注意を払う必要があるでしょう。しかし、処方されたのならば医師による診断を受けているはずなのでそこまで気にしなくてもよいかと思われます。
ただし
・はじめてピルを処方してもらう
・ピルを個人輸入して利用している
・ピルを飲んだ後、コレステロール値が基準値を超えてしまった
などといった時は一度、医師に診断を受けるとよいでしょう。その際は健康診断の結果を持っていけばなおよいでしょう。
まとめ
コレステロール値が高い状態とは肝臓で合成されたコレステロールを身体の末梢組織に運搬するLDL(悪玉)コレステロールが高いことを指します。
LDLコレステロールが高い状態が続くと、アテローム(粥腫)を形成して動脈硬化を引き起こし、果てはくも膜下出血や心筋梗塞を招きます。コレステロール値が高い状態は生活習慣病の一つでもある脂質異常症であり、その名の通り生活習慣によってリスクが高まります。
DHA・EPAといった魚油やSMCSやトマトリコピンといった野菜の栄養素を摂取したり、摂取カロリーを制限したり、運動習慣をつけることによってコレステロール値を下げることが可能です。
年に1度の健康診断をよい機会と捉え生活習慣の改善を目指しましょう。
- 葛の花:葛の花の効果と効能 お腹の脂肪・内臓脂肪を減らす,皮下脂肪を減らす,中性脂肪を下げる
- DHA:DHAの効果と効能 コレステロール・中性脂肪を下げる・血液サラサラ効果など
- 桑の葉:桑の葉の効果と効能 糖尿病・高血圧の予防改善、中性脂肪・LDLコレステロールを下げる効果など
- ビタミンC:ビタミンCの効果と効能 美肌・骨形成・コラーゲン合成・免疫力強化・ダイエット
- ビタミンE:ビタミンEの効果と効能 抗ガン、血管の健康を保つ、肌荒れの予防、コレステロール低下
- 売り上げno1「サントリーDHA&EPA+セサミンEX」の体験レビュー。口コミや評判を検証。
- 人気上昇中のDHAサプリ「きなり」の体験レビュー。口コミや評判を検証。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。