食事をしていてついうっかり、口の中を噛んでしまうとつらいですよね。
傷が痛む上に、そのあとに口内炎が発生しやすく、小さな傷でも大変なストレスになります。
口の中を噛まなくてもすぐに口内炎ができてしまう人もいます。
痛む前につらい口内炎を早く治す方法をお教えします。
目次
口内炎ってそもそも何?
口内炎を治すためには、まず口内炎がどのようなものかを知ることが重要です。
口内炎には実は様々な種類があります。
原因を知って予防するため、適切に治療をするため、口内炎の基礎知識を見ていきましょう。
その上で対処法をチェックすると、より原因に対して適切な対策がとれるようになりますよ。
口内炎の種類
口内炎は口の中の粘膜に起こる炎症です。
口の中(口腔)だけではなく、舌や唇、歯肉にできる炎症も口内炎です。
症状としては白っぽい腫れのようなものができて、ズキズキと痛むことが挙げられます。
患部に食事や歯磨きによる刺激が加わると、強い痛みが生じます。
アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は最も一般的な口内炎です。
白っぽい腫れのようなものができて、痛みが生じます。
口の中ならばどこにでも発生する可能性があります。
- ストレス
- 過労
- 免疫力の低下
- 睡眠不足
- 口の中を噛んでしまったこと
などが原因になると考えられています。
十分に栄養を摂取して、睡眠時間を確保すれば通常一週間程度で治ります。
痕が残ることはありません。
感染性口内炎
ヘルペスウイルスやカンジダ菌に感染することで発生する口内炎です。
この種類の口内炎は、白い腫れのようなものができるわけではありません。
例えばヘルペスウイルスによる口内炎の場合、白い水疱のようなものが現れ、痛みとともに発熱することもあります。
発生する場所は舌が多いですが、歯茎や唇の裏側、のどにまで現れることもあります。
また、カンジダ菌による口内炎の場合は白い苔のようなものが現れ、痛みや出血を伴います。
頬の内側、舌、口の中の天井部などに現れます。
免疫力の低下により感染することで発症し、治療には抗ウイルス薬や抗真菌薬を服用が必要です。
カタル性口内炎
カタル性口内炎は物理的な刺激によって起こる口内炎です。
例えば歯の矯正器具が接触してしまったり、やけどをしたり、歯周病や虫歯など口の中の衛生状態が悪かったりすると発生します。
口の中が赤く腫れてしまうほか、唾液の分泌量が増えたり、味覚が鈍ってしまったりします。
直接的な原因は物理的な刺激ですが、免疫力が落ちたときに発生しやすくなります。
矯正器具などによる刺激が原因の場合は、歯科で調整してもらうことが必要になります。
虫歯や歯周病なども原因となるため、口の中の清潔を保つことも予防と治療に重要です。
そのほか、アレルギーや喫煙による刺激で口内炎ができることもあります。
こんな人は口内炎ができやすい・・・免疫力の低下チェックリスト
口内炎は、基本的に免疫力が低下した時に現れやすくなります。
「最近なんだか口内炎ができやすい・・・」そう思ったら実は免疫力が低下しているかもしれません。
免疫力が低下していないか確認してみましょう。
- 睡眠不足である(睡眠時間が6時間未満、日中に眠気を感じる、起きたときに熟睡感がない)
- 野菜や果物の摂取量が少ない自覚がある
- 疲労が溜まっている
- ストレスが溜まっている
- 風邪を引きやすい
- 歯磨きをあまりしない
- 喫煙をする
- 口が乾く
睡眠不足、栄養不足(特にビタミン、ミネラル)、疲労、ストレスは免疫力を低下させる原因となり、口内炎をできやすくしてしまいます。
どれか一つでも当てはまるならば、生活習慣を改善しましょう。
口内炎を予防するためには口の中の清潔を保つことが重要です。
歯磨きをあまりしないという人は毎食後の歯磨きを習慣にしましょう。
喫煙も口内炎の原因になるため、なるべき禁煙することも重要です。
また、口が乾いていると、口の中に菌が増殖しやすく、これも口内炎を悪化させますので、こまめに水分補給などをすることが重要です。
口内炎をなるべく早く治すために役立つ食品・成分
口内炎ができてしまったときは、基本的な生活習慣を改善して体の調子を整えましょう。
自然と1週間程度で治るはずです。
なるべく早く口内炎を治したいときは、特に食事に気を付けるようにしましょう。
以下のような食べ物・成分がおすすめです。
マヌカハニー
マヌカハニーはニュージーランドに自生する「マヌカ」という植物から採取されるはちみつです。
マヌカはフトモモ科の低木で、ニュージーランドの先住民のマオリ族は古くからマヌカのエキスを抽出して、殺菌・抗菌のために使用してきました。
マヌカハニーには「メチルグリオキサール」という抗菌物質が含まれています。
抗菌作用に優れ、口の中の菌を抑制することで口内炎の治療に効果的です。
またマヌカハニーにはビタミンやミネラル、アミノ酸といった豊富な栄養素が含まれています。
体に足りない栄養素を補給することで、免疫力が高まり、自然治癒力が向上しますので、口内炎をより早く治す効果が期待できるでしょう。
マヌカハニーは食品のため、摂取量に目安などはありません。
購入する製品の説明に従い、摂取するとよいでしょう。
口内炎が多い時や、できやすい時、体調が悪い時、疲れ気味の時などに多めに摂取しても問題ありません。
また、劇的な効果ではありませんがマヌカハニーをはじめはちみつは、食べるだけではなく、口内炎に塗ることで、より早く治せることもあるようです。
方法としてはスプーンなどを用いて痛くないように口内炎に塗っていきます。
特にマヌカハニーは抗菌作用が強く、栄養素も豊富に含まれているため、気休め以上の効果を期待できます。
口内炎を早く治したい人はマヌカハニーを食べる・塗る、両方を行ってみてください。
ビタミンB2、B6
ビタミンB2、B6ともに必須ビタミンで、ビタミンB群に属しています。
ビタミンB2は脂質や糖質、タンパク質をエネルギーとして変換するのを助ける働き、ビタミンB6はタンパク質の代謝を助ける働きをするビタミンです。
ビタミンB2、B6ともに粘膜である口の中の細胞の再生に関わっており、口内炎ができたときに十分に摂取することで、早く治す効果が期待できます。
もちろん口内炎の予防のため、日常的にビタミンB2・B6が不足しないように摂取することが重要です。
ビタミンB2は動物のレバーや魚介類、乳製品、大豆加工食品などに豊富に含まれています。
ビタミンB6はレバー類やカツオ、マグロといった赤身の魚、サンマやサバといった青魚、大豆加工食品などに豊富に含まれています。
どちらも肉や魚、野菜、大豆などをバランスよく食べていれば不足することはありませんが、外食やコンビニのお弁当が中心な食生活の場合は不足してしまうことがあります。
心当たりがある方は、ビタミンB群のサプリメントかマルチビタミンのサプリメントの摂取がおすすめです。
ビタミンB群にはB1、B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、ビオチン、パントテン酸が属しています。
ビタミンB群の特徴は、それぞれが互いに助け合って相乗効果をもたらすことにあります。
そのため、どれか一つだけ多く摂取してもあまり意味がありません。
もしビタミンB群を効率的に摂取したいのならば、すべてのビタミンB群が含まれているサプリメントを利用するとよいでしょう。
ビタミンA
ビタミンAは必須ビタミンの一つで、粘膜の健康を維持する働きがあります。
ビタミンAが不足すると口の中の粘膜が弱くなり、ちょっとしたことで口内炎になりやすくなります。
どちらかというと口内炎になった後に治す目的よりも、口内炎になる前に予防の目的で十分に摂取することが重要な栄養素です。
ビタミンAには、動物性の食品(レバー、ウナギ、あん肝など)に含まれる「レチノール」と、植物性の食品(ホウレン草、人参、カボチャなど)に含まれる「βカロテン」があります。
βカロテンは厳密にいうとビタミンAではありませんが、体内でレチノールに変化し、結果的にビタミンAと同じ働きをします。
レチノールは過剰に摂取すると過剰症を引き起こします。
頭痛や吐き気といった症状のほか、妊娠初期に過剰摂取すると胎児の奇形を招いてしまうことがあります。
レバーやウナギなどを食べるときは量に注意するようにしましょう。
一方、βカロテンは体内で必要な分だけレチノールに変化します。
残りは抗酸化作用のあるβカロテンとして蓄積されるため、過剰症を起こす心配はありません。
特に妊娠の予定があり、ビタミンAの過剰摂取が心配な場合はβカロテンとしてビタミンAを補給すると口内炎予防によいでしょう。
βカロテンはホウレン草や人参などの緑黄色野菜に豊富に含まれています。
βカロテンは脂溶性(油に溶ける)性質を持っているため、油脂と一緒に摂取すると吸収率が上がります。
熱にも比較的強いため、緑黄色野菜がたくさん入ったスープや煮込み料理として食べるとよいでしょう。
もちろんほかに油を摂取すれば、緑黄色野菜のフレッシュジュースとして飲むのも有効です。
市販薬で口内炎を治す場合
口内炎ができて早く治したいときは、市販薬を利用するのも一つの手でしょう。
特に痛みが強く、日常生活に支障が出るときに利用するのがおすすめです。
内服薬(飲み薬)
エーザイ社から販売されている「チョコラBB」や第一三共社から販売されている「トラフル錠」が市販されている口内炎の内服薬です。
どちらもビタミンB2やビタミンB6が含まれており、口の中の粘膜を再生させることで口内炎を治療します。
特にトラフル錠は炎症を鎮めるトラネキサム酸やカンゾウエキスも含有されているため、痛みが強い時におすすめです。
外用薬(塗り薬、貼り薬)
大正製薬社から販売されている「口内炎パッチ 大正クイックケア」やブリストル・マイヤーズ スクイブ社から販売されている「ケナログA口腔用軟膏」が口内炎治療の外用薬です。
どちらもステロイド系の口内炎治療薬で、炎症を抑えることで痛みを和らげます。
ステロイドは効果が強いため、痛みが強い時におすすめです。特に口内炎パッチは歯磨きさえツライという時に刺激から保護されるのでおすすめです。
ただしウイルス性の口内炎(ヘルペスウイルス、カンジダウイルスなどによるもの)には使用することができません。
医療機関で口内炎を治療する場合
口内炎は通常、十分な栄養摂取や睡眠を取り、口の中の清潔を保てば一週間程度で治ります。
そのため、医療機関で治療を受けることは少ないでしょう。
ただし痛みが強い場合や長く続く場合、ウイルス性の口内炎の場合、カタル性口内炎の場合などは医療機関での治療が必要なことがあります。
アフタ性口内炎(もっとも多い口内炎)で痛みが強いだけの場合は、ステロイドを塗ることで、痛みを抑える治療を行います。
ウイルス性の口内炎の場合は原因がはっきりしているため、抗真菌薬や抗ウイルス薬を使用します。
カタル性口内炎の場合は、歯科治療の医療器具に問題がある可能性があるため、その調整を行います。
加えて、すべての口内炎に共通して、口の中の清潔を保つうがい薬を処方したり、ビタミン剤を処方したりすることもあります。
口内炎が長く続いたり、再発を繰り返したりする場合のみ注意が必要です。
難病指定されているベーチェット病や、免疫力が低下する糖尿病、AIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群(HIV)と呼ばれることも)、白血病などの可能性も疑われます。
目安として2週間以上、口内炎が続いていたり、治ったと思ってもすぐに同じところに口内炎ができたりする場合は病院に行きましょう。
診療科は、耳鼻咽喉科もしくは内科が当てはまります。
口内炎によくあるQ&A
口内炎の部分に酸っぱいものや熱いものが触れると痛みが生じてしまいます。
また口内炎ができている部分は盛り上がっていて、再び噛んでしまいやすいため、食事をすることで悪化することもあります。
おかゆやスープなどをぬるくして食べるようにするとよいでしょう。
そのほかヨーグルトなどもおすすめです。口内炎が痛いからと言って食事量が減ると、ビタミンやミネラルの摂取量も減り、治るのが遅くなってしまいます。
負担にならないものをしっかりと食べることが重要です。
毎食後の歯磨きをしっかりするようにしましょう。歯磨きができない状況なら、せめてうがいだけでもすると効果的です。
そのほか、ガムを噛むのもよいでしょう。ガムを噛むことで唾液の分泌量が増加し、口の中の雑菌を洗い流す効果が期待できます。
口内炎の治療には通常、一週間程度かかります。1日や2日で治すことは非常に難しいでしょう。
ただし痛みがつらい場合はステロイド系の塗り薬を使うことで、比較的すぐに緩和されます。薬を使うほどではない・・・というときは、マヌカハニーを塗る・食べる両面から活用することで、治るのが早まり、結果的に痛みの軽減につながります。
口内炎は患部に潰瘍(粘膜の傷のようなもの)ができます。そのためボコッとした穴のように感じることもあります。
口内炎が治療するにつれ、その部位の潰瘍も元に戻るので過剰な心配は必要ありません。
ただし2週間以上続いたり、同じ場所に何回も繰り返したりするときはほかの病気の可能性があります。
内科か耳鼻科への受診をおすすめします。
口内炎のまとめ
口内炎は口の中の粘膜に起きる炎症のことです。
特に免疫力が低下した時にできやすいことが特徴です。
睡眠不足、栄養不足、ストレス、過労などの免疫力が低下する要因を改善することが予防や治療のために重要です。
またビタミンB2やB6を始めとするビタミンB群を十分に摂取することも重要です。
これらの栄養素は粘膜を再生させて口内炎の予防と治療の両方に役に立ちます。
抗菌作用のあるマヌカハニーやはちみつ、粘膜の健康を維持するビタミンAも重要な成分です。
口内炎を1日で治す劇的な方法は残念ながらありませんが、口内炎を早く治したい人、口内炎ができやい人はこれら3つの成分の摂取を心がけてください。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。