目元のシワはなぜ起こる?デリケートな目の周辺
目元は特にシワができやすく、目立ちやすい部位です。
しかしなぜ目元はシワができやすいのでしょうか?目元にシワができてしまう原因と、シワを発生させやすくする生活習慣を解説します。
目次
目元のシワの原因とは?
目の周辺の皮膚は人体でも特に皮膚が薄い部分です。そのため刺激に弱く、すぐにダメージを受けてしまいます。
シワを発生させる原因は様々です。加齢による皮膚の保湿力やコラーゲン合成能力の低下、乾燥、紫外線、活性酸素、ストレスなど様々な要因が複合的に重なり合いシワが発生します。
以下のチェックに複数当てはまる人は目元にシワが発生しやすいといえるでしょう。
- 目元のUVケアに気を使っていない
- メイクを落とさないまま寝てしまうことが多い
- つけまつげを良くつける
- パソコンや執筆など目をよく使う仕事をしている
- ストレスが多い
- 空調の効いた部屋にいることが多い
- 食生活に気を使っていない
- 冷え性である
- 喫煙習慣がある
- 生活が不規則である
- 睡眠不足を感じる
これらの理由とシワの原因を解説していきます。
目元のシワの原因は?
目元のシワの原因となってしまう要因にはこんなものがあります。すべてを一気に改善できなくても、少しずつ改善していくことで将来的なシワの発生を予防することができます。
加齢
人間は加齢とともにコラーゲンやヒアルロン酸といった肌のハリや保湿に関わる成分を合成する皮膚繊維芽細胞の働きが弱くなります。
そのため皮膚から弾力性が失われ、シワができやすい状態になってしまいます。
紫外線
太陽から放出される紫外線は皮膚に当たることでビタミンDを合成します。
その点では人間の健康に寄与しているでしょう。しかし同時に紫外線は皮膚に対する刺激でもあり、過度に浴びてしまうとダメージの原因となります。
紫外線は表皮の奥にある真皮を傷つけ、皮膚のハリを保つのに重要なコラーゲンを損傷させてしまいます。その結果、皮膚の弾力が失われシワが生じます。
同時にコラーゲンを合成する皮膚線維芽細胞にもダメージを与えてしまいます。紫外線といえば「シミ」「日焼け」のイメージが強いですが、実はシワにも影響を及ぼしているのです。
メイクを落とさないまま寝てしまうことが多い
メイクを落とさないで寝てしまうと皮膚の乾燥を招いてしまいます。皮膚から水分が減少すると角質が硬く厚くなってしまいます。皮膚から弾力性が失われ、シワが生じやすい状態になってしまいます。
つけまつげをよくつける
目の周辺の皮膚は身体の中でも特に薄いことが特徴です。
つけまつげの重みにより皮膚が下方向に引っ張られてしまうことでたるみやすくなってしまいます。そのためつけまつげをよくつける人はシワができやすくなります。
パソコンや執筆など目をよく使う仕事をしている
目を酷使することで眼精疲労を招きます。眼精疲労が発生すると目の周辺の血流が悪化し、周辺の皮膚へ十分に栄養素や酸素を供給することができなくなってしまいます。
そのため新陳代謝がスムーズに行われなくなり、シワが発生しやすくなります。
ストレスが多い
人間はストレスを感じると自律神経のうちの交感神経が優位になります。
交感神経は活動や緊張、興奮などに関わる神経で日中に仕事や勉強、スポーツなどを行うのに非常に重要な神経です。
しかし反面、身体を緊張させてしまう働きもあるため常に交感神経が優位だと血流の悪化を招きます。
血流の悪化は酸素や栄養素の供給を滞らせてしまうので、皮膚の新陳代謝を遅らせてシワの原因となってしまいます。
空調の効いた部屋にいることが多い
空調が効いている空間は空気が乾燥しがちです。空気が乾燥していると皮膚からも水分が奪われてしまうため、角質が硬くなりシワができやすくなってしまいます。
食生活に気を使っていない
皮膚が新陳代謝を行い、健康な状態を維持するためには十分な栄養素が必要です。肉や魚、大豆などに含まれるタンパク質、牡蠣や牛肉に多く含まれる亜鉛、野菜や果物に多く含まれるビタミンCなどが皮膚の新陳代謝に必要になります。
外食やファーストフード中心で栄養バランスを意識していない食生活が続いている場合、シワができやすくなります。
冷え性
冷え性の人は身体の血流が悪化している傾向にあります。血流が悪化していることによって、皮膚に酸素と栄養素が十分に供給されず、健全な新陳代謝を損ねてしまいます。
結果、皮膚の健康を維持できずシワの原因となってしまいます。
喫煙習慣がある
喫煙をすることで身体内で活性酸素が発生します。
活性酸素は細菌やウイルスなどから身を守るために必要なものですが過剰になると細胞に対して害をもたらします。
皮膚の保湿やハリを保つ皮膚繊維芽細胞を攻撃してしまうため、シワができる原因となってしまいます。
生活が不規則である、睡眠不足を感じる
不規則な生活は自律神経のバランスを乱してしまいます。皮膚の新陳代謝は夜、就寝中に分泌される成長ホルモンが大きく関わっていますが、自律神経が乱れることで睡眠の質が低下します。
新陳代謝が健全に行われないことでシワやニキビの原因になります。睡眠不足でも同様のことが発生します。
目元のシワの予防策・改善策
目元のシワが発生するのは加齢や紫外線による自然な老化現象です。そこまで気にする必要はありませんが、どうしても気になってしまう人もいるはず。自宅でできる目元のシワの予防・改善策には以下のような方法があります。
シワ予防のケア用品の選び方
シワは皮膚の弾力がなくなること、紫外線によるダメージが蓄積すること、皮膚が乾燥することが大きな原因となります。それらの原因を対策出来るケア用品を選ぶようにするとよいでしょう。
化粧水、化粧品、美容液、美容クリームなどの選び方のポイントは以下になります。
皮膚を保湿する成分が含まれていること
目の周辺の皮膚は薄いため乾燥しやすい部位でもあります。化粧水や美容液、化粧品などを利用するときは保湿成分が含まれているものを選ぶとよいでしょう。
目元は刺激にも弱いため、保存料や着色料など刺激の原因になる物質が添加されていないものを選びましょう。効果の高い保湿成分には以下のようなものがあります。
- セラミド
- コラーゲン
- ヒアルロン酸
- 天然保湿成分(NMF)
- エラスチン
- 尿素
特にセラミドは保湿力が高く、乾燥を抑えたい部位に使うには非常におススメです。化粧品には成分表示が義務付けられているため、パッケージに書かれている成分表示をしっかりと確認しましょう。
セラミドとは?
セラミドはもともと皮膚の角質層に含まれており、水分を保持してお肌を保湿している物質です。肌のバリア機能を維持して細菌やウイルスから体を守る働きもしています。セラミドはもともと肌に存在している成分であるため、お肌への刺激が少ないことが特徴です。
セラミドが含まれるスキンケア製品を使うことによってお肌のハリや弾力が保たれシワを予防する作用が期待できます。セラミドを選ぶ際はその分子量(物質の大きさ)に注目するとよいでしょう。分子量の小さいナノ化されたセラミドを利用することによって皮膚に効率的に浸透します。
皮膚線維芽細胞を活性化させる成分が含まれていること
皮膚線維芽細胞とは表皮の奥にある真皮に存在する細胞です。「芽」という名の通りに皮膚が健康を保つのに必要なコラーゲンやヒアルロン酸、セラミドなどを合成する働きをします。
皮膚線維芽細胞が作り出す各種の成分は皮膚を保湿させる作用が強いため、肌の弾力性を保ちシワを予防する働きがあります。皮膚繊維芽細胞は紫外線や乾燥、加齢によりその働きが衰えていきます。
皮膚線維芽細胞を活性化させる働きのある成分にはFGF(繊維芽細胞増殖因子)、ビタミンC誘導体、CVアルギネートなどが存在します。
化粧水、美容液、美容クリームなどセットになっているものを利用する
スキンケア製品を使用する際は1つのブランドで必要なものがセットになっているものを利用する方がよいでしょう。セットになっている商品は保湿や線維芽細胞の活性化、角層のサポート、抗炎症など必要な効果が複合して高まるように設計されています。
それぞれ単品で別のメーカーやブランドのものを利用するより、1つのメーカーやブランドでセットとして販売されているものを利用するとよいでしょう。
目元への刺激は可能な限り少なく
目元は皮膚が薄いため刺激に対してとても弱い部位です。目元への刺激は可能な限り少なくするように心がけましょう。
メイクを落とすためのクレンジング剤は皮膚に対して刺激性を持っています。また皮脂を必要以上に落としてしまうこともあるため、皮膚の乾燥を招いてしまいます。
なるべく刺激の弱いクレンジング剤を利用して、目元周辺を優しく洗うようにしましょう。水やお湯で落とせるタイプのマスカラや化粧品を利用することも刺激を最小限に抑えるために有効でしょう。
目元のシワを防ぐ自宅でできるケア
目元のシワを防ぐために有効な自宅でできるケアには以下のようなものがあります。まずはどれか一つ試してみるとよいでしょう。
熱いおしぼりで目元をリラックス
熱いおしぼりを利用して目元の周辺の血流をよくすることはシワ予防に効果的です。熱いおしぼりはタオルを濡らして絞ってお店で出てくるおしぼりのようにぐるぐると丸めてレンジでチンすると簡単にできます。
レンジのワット数によっても加熱時間は変わりますが、およそ1分から1分半の加熱で熱いおしぼりが出来上がるでしょう。
ただし熱すぎるおしぼりを利用するのは厳禁です。手で持って熱さが問題とならないくらいの温度に調整しましょう。目元に熱いおしぼりを当てて1分ほど置くと血流がよくなり、目元の皮膚への栄養素や酸素の供給が活発になります。
ツボを押す
目の周辺には多数のツボがあります。ツボを押すことで血の巡りがよくなり、シワを予防したり改善したりする働きが期待できます。代表的なシワに効果的なツボには以下のようなものがあります。

攅竹は眉毛の鼻側の端にあるツボです。その周辺を手で触ってみると少しへこんだ部位が攅竹です。鼻に沿わせて人差し指を当て、人差し指の先端で攅竹を押し上げるように圧力を加えます。30秒から1分ほど圧力を加えたままにしましょう。シワのほか眼精疲労にも効果が高いツボです。
清明(せいめい)
清明は鼻の少し上の部分の目と目の間にあるツボです。人が目の疲れを感じた時に無意識に親指と人差し指で抑える箇所というとわかりやすいでしょうか?親指と人差し指で10秒ほど圧力を加え、それを3セットくらい行います。この時に眼球に圧力が加わらないように注意をしましょう。このツボも眼精疲労に効果があります。
太陽(たいよう)
太陽は目尻から少し上に位置するツボです。こめかみとほぼ同じ位置です。親指を太陽に当て、そのまま痛みを感じないくらいの力で30秒ほど圧力を加えましょう。シワのほか目のクマにもう効果のあるツボです。
医療機関での目元のシワの治療
目元のシワは美容皮膚科で改善することができます。ただし病気ではないため全額自己負担の自由診療扱いになります。代表的な目元のシワの治療法には以下のようなものがあります。
レーザーによる治療
レーザーによる治療は表皮の奥の真皮部分で熱を発生させ、皮膚線維芽細胞を活性化し、ヒアルロン酸やコラーゲンといった皮膚のハリを保つための成分の合成を促進させる治療法です。
それらの成分が促進されることによって、弱まった皮膚が健康な状態に戻りふっくらとして目元に戻してくれる働きが期待できます。
レーザーの場合は切開する必要がなく麻酔のリスクもないため、比較的気軽に行うことができます。
施術時間は10分から20分ほどのことが多く、月に数回治療を受けることによって目元周辺の皮膚の調子がどんどん高まっていきます。目元の場合、2万円から5万円ほどで施術を受けることができるため比較的気軽に行えます。
ただし、レーザーを当ててからしばらくは紫外線に弱くなってしまうため、普段より厳重なUVケアが必要になります。
ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸を注射することによってシワができた皮膚を物理的に盛り上がらせることで、ハリのある目元をよみがえらせる治療法です。
ヒアルロン酸はもともと体内に存在する成分のため、安全性が高いことが特徴です。
目元や額、眉間のシワに効果的で即効性が高いことも特徴です。施術時間も20分ほどで完了するため、気軽に行えます。
ただし効果は時間の経過とともに徐々に落ちて行ってしまうため半年から1年ほどで再度打つ必要があります。また目元のたるみやクマにも効果が期待できます。
ボツリヌス注射
ボツリヌス注射はボツリヌス菌という細菌が生産する毒素を注射する治療法です。
本来、ボツリヌス毒素は非常に有害な毒ですが、人間に害をなさないレベルまで無毒化されているものを使用します。ボツリヌスを注射することによって筋肉が弛緩させます。
そうすることでシワができるのを防ぐ作用があります。目尻や眉間のシワに特に効果があります。注射をするだけなので施術時間は10分程度で済みます。効果は半年から1年ほど持続します。
目尻ならば4万円から6万円ほどで注射を受けることができます。
目元のシワのクリニックを選ぶ際のポイント
目元のシワのクリニックを選ぶ際は以下のポイントに気を付けて選びましょう。
症例数が多数あること
シワを改善するのに有効なヒアルロン酸やボツリヌス菌の注射は打つ位置や量によって仕上がりが異なります。症例数が豊富なクリニックで治療を受けることで自然な表情をデザインすることができるでしょう。
アフターケアが受けられること
目元のシワは自然の老化現象でもあるので、治療を受けたとしても時間の経過とともに効果は薄れて行ってしまいます。そのため、改善効果を持続させるためには継続的に通院することが必要です。アフターケアを行ってくれるクリニックで次の治療などを親身に相談できるところが信頼できるでしょう。
費用が明確であること
美容の施術は費用が高額になりがちです。必要以上に負担にならないように費用が明確で、追加の費用を払う場合はしっかりと理由を説明してくれるクリニックで施術を受けるのが安心でしょう。
目元のシワによくあるQ&A
目元はほかの皮膚と比べて薄く、刺激に弱かったり乾燥しやすかったりするという特徴があります。そのため他の美容クリームと比べ、保湿のための油分が多く含まれていたり低刺激な原料を使用したりしています。そのため美容クリームと比べ費用が高くなる傾向にあります。目元はデリケートな部位なので全身に対応できるクリームではなく、アイクリームの使用をおすすめします。
共通するところはありますが、同じではありません。ほうれい線は加齢により顔の筋力が衰えることで皮膚が重力に負け、垂れてきてしまうことが原因となります。一方シワは筋力不足自体はあまり関わっていません。しかしどちらも加齢により皮膚の弾力性が失われることで発生しやすくなるため、繊維芽細胞を活性化させたり保湿成分を補ったりすることは共通しています。
男性にも目元のシワは発生します。むしろUVケアや皮膚の保湿などのスキンケアを女性と比べてあまり行わないため、目元のシワが目立ちやすいといえるでしょう。男性が目元のシワを予防する場合、まず継続できる簡単なことから始めるとよいでしょう。洗顔後に化粧水を利用する、温かいおしぼりで目元の血流を良くするなどの手軽な方法を試してみましょう。
目元のシワのまとめ
目元のシワは自然な老化現象です。しかしどうしても気になってしまうもの。目の周辺の皮膚はほかの皮膚に比べて薄いため、乾燥や紫外線によるダメージに弱い傾向にあります。
目元のシワを防ぐためには皮膚繊維芽細胞を活性化させ、きちんと保湿し、紫外線によるダメージを避けることが有効です。

POLA ORBIS ディセンシア アヤナス ★おすすめ★
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。