妊娠線はなぜできる?妊娠線のメカニズムと予防ケア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

妊娠線妊娠の過程でかなりの数の妊婦さんに生じる妊娠線。とても目立つことが多く、悩みの種になりがちです。

妊娠線はどうしてできるのか、妊娠線は治るのか、出産後の妊娠線はどんなふうになるのか、など気になる妊娠線について解説します。

妊娠線はなぜできる?妊娠線のメカニズムとは

妊娠線妊娠線は妊婦さんの5割から7割に発生するものです。

妊娠線が発生しない人もいますがどちらかといえば稀なケースでしょう。

妊娠線はお腹を中心に胸や太もも、お尻や二の腕にまで現れることがあります。

妊娠線を一言で言ってしまえば「真皮の断裂跡」です。妊娠をすると胎児が成長していくにつれてお腹が大きくなっていきます。

人間の皮膚は表皮は柔軟に伸びることができますが、表皮の下に存在する真皮やコラーゲン、エラスチンなどは柔軟に伸びることができず裂けてしまいます。

その結果、断裂が発生して妊娠線が現れます。

また妊娠中は副腎皮質ホルモンの分泌量が増加します。

いわゆるステロイドホルモンですが、皮膚のターンオーバーを抑制する働きがあります。

表皮や真皮の下にある皮下組織はコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などが繊維状となっています。

しかしターンオーバーが正常に行われないことで弾力性が失われ断裂しやすくなってしまいます。

妊娠線によって断裂した皮膚は毛細血管が透けて見えるようになるため赤紫色をするようになります。

いなづまのようにギザギザだったり、スイカの縞のようにくねっていたり、ほぼ直線だったりと模様は人それぞれです。

胎児が急激に大きくなる妊娠5か月目頃から発生することが多いようです

妊娠線が発生しやすい生活習慣とは?

妊娠線はかなりの割合の妊婦に発生する症状です。

しかし中には妊娠線が発生しやすくなる生活習慣もあるようです。

妊娠線が発生しやすい習慣には以下のようなものがあります。
  • もともと小柄な人、もともと痩せている人
  • 10kg以上の急激な体重増加が現れた場合
  • 35歳以上の高齢妊娠をしている場合
  • アトピー体質の場合
  • 乾燥肌の場合
  • 双子や三つ子を妊娠している場合
  • 経産婦である場合

なぜこれらの生活習慣・体質が妊娠線を招く?

なぜこれらのチェックリストの項目に当てはまると妊娠線が発生しやすくなるのでしょうか?

その理由を解説します。

もともと小柄な人、痩せている人

小柄な人もともと小柄な人や痩せている人は皮膚の皮膚組織が狭いため妊娠によって伸びる割合が高くなります。

そのため皮膚の断裂が起きやすく妊娠線ができやすい傾向にあります。

10kg以上の急激な体重変化がある場合

膨らむ急激な体重変化がある場合、胎児の発育以外にも皮下脂肪が増加していると思われます。

皮下脂肪が増加すると皮膚は引っ張られ、より断裂が起きやすい状態になります。

10kg以上の急激な体重変化がある場合は妊娠線ができやすいと言えるでしょう。

35歳以上の高齢妊娠をしている場合

高齢妊娠加齢とともに人間の皮膚からは弾力性が失われて行きます。

その結果、妊娠による腹部の膨らみで皮膚が断裂しやすくなります。

35歳以上の高齢妊娠の場合、妊娠線ができやすくなります。

アトピー体質の場合

ステロイド剤アトピーの治療にはステロイド剤が用いられることが多いです。

ステロイド剤には皮膚の弾力を失わせる作用があるため、妊娠線ができやすくなってしまいます。

妊娠時には副腎皮質ホルモン(ステロイド)の分泌量が増えるため、さらに皮膚の弾力性が失われてしまいます。

乾燥肌の場合

乾燥肌乾燥肌の人は皮膚の水分量が少なくなっています。

皮膚が水分不足だと皮膚の弾力性が弱まり断裂しやすくなってしまいます。

双子や三つ子を妊娠している場合

妊娠双子や三つ子を妊娠している場合、一人のみの妊娠の時よりもお腹は大きくなります。

そのため皮膚が断裂して妊娠線ができやすくなります。

経産婦である場合

経産婦妊娠の経験があり、妊娠線が発生したことがある場合、その箇所は再び妊娠線が出やすくなっています。

また跡に残りやすくもなっているため注意が必要です。

妊娠線を予防する方法とは?

妊娠妊娠線はお腹が急激に大きくなり始める妊娠五か月目から臨月にかけて現れることが多くなります。

妊娠線が発生するのは自然なことなので完全に予防するのは難しいかもしれません

しかし適切なケアを行うことで目立つのを防ぐことが可能な場合もあります。

妊娠線を予防する方法には以下のようなものがあります。

しっかりと保湿を行うこと

保湿皮膚が乾燥すればするほど弾力性が失われて、妊娠線が現れやすくなります。

反対にしっかりと保湿を行えば皮膚に弾力性が増し、妊娠線を予防する効果が期待できます。

妊娠中は胎児に水分を送る必要があるため、皮膚が乾燥しやすくなります。

そのため、妊娠初期~中期からの継続的な保湿ケアが重要になります。

妊娠線は腹部だけではなく、胸部やおしり、太ももにも現れやすいです。

それらの部位の保湿ケアもしっかりと行うようにしましょう。

妊娠中におすすめな保湿成分には以下のようなものがあります。

アスパラ銀酸メチルシラノールヒドロキシプロリン

保湿アスパラ銀酸メチルシラノールヒドロキシプロリンはシラノール誘導体とも呼ばれる成分です。

皮膚の奥にあるコラーゲン層を再構築する働きがあり、肌の弾力性を維持したり修復したりする効果に優れています。

シラノールはケイ素化合物のことを指します。

ケイ素は人間の皮膚や骨、細胞壁などに含まれる成分です。

ケイ素はコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった皮膚の保湿に関わる成分を生産する皮膚線維芽細胞を活性化させる作用があります。

皮膚の内側から不足しがちな水分をとどまらせる働きがあるため、妊娠期の保湿に最適な成分です。

ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン

美容クリームヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンは真皮の奥で繊維状の構造をして皮膚に水分を保持させる働きをします。

人間の皮膚にはこれらの物質を生産する皮膚線維芽細胞が存在していますが、加齢や乾燥、生活習慣の悪さなどで生産能力は低下します。

妊娠中はどうしてもホルモンバランスが落ち着かず、皮膚繊維芽細胞の働きが弱まりこれらの物質の分泌量が少なくなります。

そのため美容クリームなどで外部から補給する必要があります。

アラントイン

化粧品アラントインはかたつむりの粘液のなかにも含まれている成分です。

化粧品原料としては通常、尿素から合成されることが多いようです。

アラントインは表皮の細胞を活性化させる作用があり、肌のターンオーバーを正常にしてくれる働きがあります。

乾燥の原因にもなる古い角質を新しい細胞に生まれ変わらせる作用があるため、皮膚の保湿におすすめな成分です。

とくに妊娠中は皮膚のターンオーバーが乱れるため、正常なターンオーバーに整えてくれるアラントインは効果が高いと言えるでしょう。

妊娠中の保湿ケア製品の選び方

保湿ケア製品妊娠中はデリケートな時期です。

妊娠線をケアするクリームを選ぶ際は以下のポイントに注意するようにしましょう。

無添加のものを選ぶ

敏感化粧品はよい香りにするためや保存性を増すため、肌触りをよくするためなどの目的で香料や保存剤などの添加する場合があります。

しかし妊娠中は皮膚が刺激に対して敏感になってしまいがちです。

皮膚が敏感な時期に刺激の強いケア製品を使用してしまうとかえって乾燥肌を招き、妊娠線ができやすくなってしまいます。

デリケートな時期は無添加の刺激の弱いものを選ぶようにしましょう。

真皮まで有効成分が届くものを選ぶこと

コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生産する皮膚線維芽細胞は真皮に存在しています。

真皮の乾燥はこれらの物質の生産を阻害して、より乾燥を招いてしまいます。

真皮まで保湿成分が届き、皮膚線維芽細胞の働きを活発にするものを選ぶようにするとよいでしょう。

真皮まで到達して皮膚線維芽細胞の働きを活発にする成分は様々あります。

見分けるのは難しいですが「真皮 浸透」などのキーワードを使用しているものや、メーカーに直接問い合わせるなどするとよいでしょう。

できてしまった妊娠線を消すことは可能か?

できてしまった妊娠一度できてしまった妊娠線を消すことは基本的にはできません。

完全に消すことは非常にむずかしいですがなるべく目立たないようにすることは可能です。

新陳代謝を活発にする

飲むサプリメント断裂した組織は細胞が破壊されている状態です。

正常な新陳代謝(ターンオーバー)を活発にすることで薄くすることができる場合もあります。

その際に特におすすめなのが葉酸です。

葉酸は栄養素として摂取することも、化粧品の成分として皮膚に塗ることもできる成分です。

人間が体内でタンパク質やDNA、RNAを合成する際に必要になる必須ビタミンで皮膚の新陳代謝を活発にする働きがあります。

葉酸が含まれている飲むサプリメントと塗るクリームのどちらも利用するとなお効果が高まるでしょう

そのほか新陳代謝を活発にする成分には口から摂取するビタミンB群亜鉛、タンパク質などがあります。

妊娠期や妊娠後は胎児や授乳の影響で女性の栄養素の必要量が増加するためマルチビタミンやミネラルのサプリメントを飲むのもいいかもしれません。

美容クリニック、美容皮膚科での施術

美容クリニック妊娠線を目立たなくしたいとき、最も効果が高いのはやはり美容クリニックや美容皮膚科での施術です。

妊娠線の改善のための施術は現在、様々な手段をとることができます。その一例を紹介します。

赤外線照射

赤外線照射赤外線を照射することにより皮膚線維芽細胞を刺激して、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの保湿物質の生産を促進させる方法です。

肌を若返す働きが期待できるため、妊娠線のほかたるみや弾力不足を解消することもできます。

自由診療であるため費用はクリニックによって差がありますが、1回あたりおよそ5万円から7万円ほど必要になります。

1度で妊娠線が劇的に解消されるわけではなく、複数回継続していくことで徐々に目立たなくなっていきます。

イントセラル

イントセラル微細な針を皮膚に挿入することで真皮にラジオ波を照射することで熱刺激を与える施術です。

皮膚を引き締める作用があるため、妊娠線により断裂した皮膚組織を引き締めて目立たなくすることができます。

真皮にのみ熱を与えるため表皮へのダメージがないことが特徴です。

1回の照射でも効果がありますが、継続して行うことでなお効果が高まります。

費用は1回あたりおよそ15万円から20万円になります。

炭酸ガス治療

炭酸ガス治療真皮に炭酸ガスを注入することによって血流量を改善し、新陳代謝を活発にする治療法です。

血流が改善すると酸素や栄養素の供給量が増加し、真皮や表皮の再生が早まります。

妊娠線は真皮の断裂が原因となっているので、再生することで妊娠線の跡を目立たなくすることが可能です。

費用は1回あたりおよそ1万円から5万円と幅が広くなっています。

妊娠線の発生している部位や広さによって変わります。

この治療法も1回ですぐに効果が現れるわけではなく、複数回の継続で徐々に改善させていくものになります。

妊娠線によくあるQ&A

妊娠中のお腹にクリームを塗る際、マッサージをした方がよいのでしょうか?

妊娠線を薄くするためのマッサージも存在します。

その効果は幅広く議論がされていますが、個人的には行わないほうがいいと思います。

妊娠線は皮膚の断裂が原因で発生します。マッサージを行って刺激を与えてしまうと悪化させてしまうかもしれません。

もしマッサージをしたい場合は産婦人科医や美容皮膚科医に相談してからにするとよいでしょう。

妊娠中期の妊婦です。お腹がだんだん大きくなってきてかゆいのですが、妊娠線のできかけなのでしょうか。かゆみのあるときにおすすめのケアを教えていただけませんか?

PMSや更年期障害の典型的な症状にかゆみがあるように、女性ホルモンの乱れはかゆみを生じさせます。

妊娠線ができかけというよりも体内で女性ホルモンのバランスがうまく取れていないのかもしれません。

妊娠中は女性ホルモンが多く分泌されますが、反対に男性ホルモンが少なくなるため皮脂の分泌量は減少します。

そのため乾燥しやすくかゆみが発生しやすい状態となります。

できるだけかくのは我慢して、どうしてもかきたいときは爪ではなく指の腹などでやさしくしましょう。

十分に保湿することも重要です。

妊娠線の予防のために塗るクリームは、単なる保湿剤(ワセリンなど)よりも、妊娠線専用のクリームの方がやはり適しているのでしょうか?

ワセリンは保湿作用がメインですが妊娠線の対策クリームの場合は保湿のほかに皮膚の血行を促進させたり、皮膚を引き締めたりする働きをもつ成分も含まれています。

妊娠線の予防の場合は妊娠線用にデザインされた製品を利用するほうがいいでしょう。

産後半年経つのですが、まだ妊娠線が赤っぽく残っています。色を薄くする方法はありますか?完全に消せなくてもいいのでせめて色だけでも薄くしたいです…

皮膚の新陳代謝を活発にしましょう。

運動を行ったり半身浴で血流を高めたり、ビタミンCや亜鉛、ビタミンB群といった栄養素をしっかりと摂取することも重要です。

また美白作用をもつ美容クリームを塗るのも効果があるかもしれません。

ただし個人での治療だとなかなか効果が現れない場合があります。

なかなか薄くならない場合は美容クリニックで施術を検討してもよいでしょう。

妊娠線の対策のまとめ

妊娠線妊娠線は大半の女性に発生します。

珍しいものでもないですし、不自然なものでもありません。

気にしないならば気にしなくても大丈夫ですし、皮膚が正常に新陳代謝をする過程で目立たなくなっていくこともあるでしょう。

しかしどうしても気になってしまう場合、予防することも改善することも可能です。

完全に消失させることは難しくてもほとんど目立たないようにすることは十分に可能であるので、本記事に記載されていることをぜひ試してみてください。



【執筆者】大見 貴秀医師

大見貴秀医師帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。

「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。

フォローすると、最新のサプリメント情報を簡単に購読できます。