意外なようですが女性だけではなく男性にも更年期は存在します。
男性の更年期の特徴的な症状として精力減退が挙げられます。
なぜ加齢とともに精力減退が起きるのでしょうか?
また精力減退の対策にはどのようなものがあるのでしょうか?
目次
精力減退・EDの原因とは?
精力減退・EDともに男性ホルモンである「テストステロン」が大きく関わっています。
テストステロンは男性の生殖器の発育や男性らしい体格の発育に必要になるホルモンです。
思春期の頃に起こる第二次性徴では、声変わりや生殖器の発育促進などの役割を果たし、性成熟を促します。
また筋肉を発育させる働きもあり、がっしりとした体格を作るためにも必要になります。
男性は第二次性徴を経て性成熟すると生殖年齢に達します。
テストステロンは性欲にも大きく関わり、性的興奮をもよおしたり勃起したりするのに必要になります。
またそのほか、意欲や集中力、活動性にも大きく関わるホルモンです。
テストステロンはそのほとんどが男性の精巣内で合成されます。
しかし加齢とともに精巣の働きが低下し、テストステロンの合成量も低下していきます。
そのため性的興奮や勃起力が低下することで、精力減退やEDといった症状が現れるようになります。
そのほか気力や集中力が低下したり、意欲がなくなったりする精神的な症状も見られます。
テストステロンの分泌量は20代をピークに徐々に低下していきます。
またテストステロンの分泌量が低下していくペースには、個人差があります。
あなたは大丈夫?男性更年期のセルフチェック
以下のチェックに複数当てはまる場合は、男性更年期(正式名称は「LOH症候群」)の症状が現れている可能性があります。
- なし・・・(1点)
- 軽い・・・(2点)
- 中等度・・・(3点)
- 重い・・・(4点)
- 非常に重い・・・(5点)
総合的に調子が思わしくない | |
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関節や筋肉の痛み | |
ひどい発汗 | |
睡眠の悩み | |
よく眠くなる、疲労を感じる | |
イライラする | |
神経質になった | |
不安を感じる | |
活動の低下、行動力の低下 | |
筋力の低下 | |
憂鬱な気分 | |
「人生の山は通り過ぎた」と感じる | |
力尽きた、どん底にいるように感じる | |
ヒゲの伸びが遅くなった | |
性的能力の衰え | |
起床時の勃起の回数の減少 | |
性欲の低下 |
精力増強に効果的な3つの成分
加齢とともに精巣の機能が低下することは自然な老化現象です。
男性更年期障害(LOH症候群)の症状は誰にでも現れる可能性があります。
これに対しては、性機能を改善する働きのある成分を摂取することで、ある程度の改善が可能であると示唆されています。
男性の性機能を改善させるおすすめの成分を3つご紹介します。
1.アルギニン
アルギニンはアミノ酸の一種です。
人間は体内で合成することができるため、非必須アミノ酸に分類されます。
成長ホルモンの分泌を促進させ、成長期に健全な発育をするために必要になるアミノ酸です。
子どもは体内でアルギニンを十分に合成することができないため、子どものうちは食事から摂取する必要がありますが、アルギニンは肉や魚肉、大豆、牛乳といったタンパク源に豊富に含まれるため、通常は不足することはありません。
成人の場合も、性機能が落ちているとしても通常の生活ではアルギニン不足にはなりません。
性機能の改善のために追加すると考えてください。
アルギニンは体内で一酸化窒素の合成を補助します。
一酸化窒素には血管を拡張する働きがあり、男性が勃起する際に必要になる物質です。
一酸化窒素が体内で放出されることにより陰茎の血管が弛緩し、血流量が増え海綿体に血液が溜まることによって勃起が起こります。
そのためアルギニンを摂取することで、勃起力が改善される可能性が示唆されています。
2.シトルリン
シトルリンもアルギニンと同じくアミノ酸の一種です。
人間は体内で合成することができるため非必須アミノ酸に分類されます。
スイカから発見されたアミノ酸で、そのほかキュウリやメロン、冬瓜などのウリ科の植物に多く含まれています。
アルギニンと同じく体内で一酸化窒素の合成を補助する働きがあります。
一酸化窒素が血管を拡張させ勃起を促すため、シトルリンを摂取することで男性機能の改善が期待されています。
一酸化窒素の合成サイクルではアルギニンもシトルリンもどちらも必要になります。
アルギニンのみ、シトルリンのみよりも両方を摂取したほうが効果が高まるでしょう。
3.亜鉛
亜鉛は必須ミネラルに分類される栄養素です。
DNAやタンパク質の合成に必要不可欠なため、成長や皮膚、髪、爪などの健康の維持、味覚や免疫機能の維持、傷の修復、ホルモンの合成など体内の様々な代謝活動に関わっています。
また性機能を維持・向上させる働きもあることが特徴です。
男性の場合、男性ホルモンの合成や精子の合成に関わります。
亜鉛が不足すると精子の数が減少したり、性ホルモンの合成が不十分になることで性機能の低下を招いたりする可能性があります。
亜鉛は日本人の食生活の中では特に不足しやすいミネラルで、腸管での吸収率も10から30%程度と少ないため意識的に摂取することが必要です。
必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐用上限量 | |
---|---|---|---|---|
0-5(月) | – | – | 2 | – |
6-11(月) | – | – | 3 | – |
1-2(歳) | 3 | 3 | – | – |
3-5(歳) | 3 | 4 | – | – |
6-7(歳) | 4 | 5 | – | – |
8-9(歳) | 5 | 6 | – | – |
10-11(歳) | 6 | 7 | – | – |
12-14(歳) | 8 | 9 | – | – |
15-17(歳) | 9 | 10 | – | – |
18-29(歳) | 8 | 10 | – | 40 |
30-49(歳) | 8 | 10 | – | 45 |
50-69(歳) | 8 | 10 | – | 45 |
70以上(歳) | 8 | 9 | – | 40 |
必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐用上限量 | |
---|---|---|---|---|
0-5(月) | – | – | 2 | – |
6-11(月) | – | – | 3 | – |
1-2(歳) | 3 | 3 | – | – |
3-5(歳) | 3 | 4 | – | – |
6-7(歳) | 4 | 5 | – | – |
8-9(歳) | 5 | 5 | – | – |
10-11(歳) | 6 | 7 | – | – |
12-14(歳) | 7 | 8 | – | – |
15-17(歳) | 6 | 8 | – | – |
18-29(歳) | 6 | 8 | – | 35 |
30-49(歳) | 6 | 8 | – | 35 |
50-69(歳) | 6 | 8 | – | 35 |
70以上(歳) | 6 | 7 | – | 35 |
妊婦(付加量) | 1 | 2 | – | – |
授乳婦(付加量) | 3 | 3 | – | – |
牡蠣 | 大きめ3-4個65g | 約8mg |
---|---|---|
タラバガニ | 足1本100g | 4.2mg |
豚レバー | カット5-6枚100g | 6.9mg |
牛肉 | シチュー用肉5-6個100g | 4.6mg |
ビーフジャーキー | 半袋50g | 4.4mg |
チーズ | スライスチーズ5枚100g | 3.2mg |
油揚げ | 2枚100g | 2.4mg |
納豆 | 半パック50g | 1.9mg |
豆腐 | 1丁300g | 1.8mg |
亜鉛は牡蠣に圧倒的に多く含まれています。
また牛肉の赤身部分や乳製品、大豆加工食品にも含まれています。
亜鉛は1日の推奨摂取量と比べて耐用上限量が大きいため、性機能の維持のためには多目に摂取するのもよいでしょう。
耐用上限量が大きく、また日常的に不足しやすい栄養素なので、サプリメントから摂取するのも効果的です。
精力をアップさせるために気をつけたい生活習慣
男性の精力減退やEDを引き起こすLOH症候群はテストステロンの分泌量が低下することで症状が現れます。
LOH症候群を予防して精力をアップさせるためにはテストステロンの分泌量を向上させることが重要です。
日常生活の中でテストステロンの分泌量を向上させるポイントには以下のようなものがあります。
有酸素運動、筋力トレーニングをする
ジョギングやランニングなどの有酸素運動を行うと、直後のテストステロンが上昇することが確認されています。
また筋力トレーニングなどの無酸素運動でもテストステロンが上昇します。
必ずしもベースのテストステロン量が増加するわけではありませんが、LOH症候群の症状である意欲や集中力の低下の改善に効果的です。
睡眠をしっかりとる
睡眠不足はテストステロンの低下を招きます。
テストステロンを維持して精力をアップさせるためには十分な睡眠時間を確保することが重要です。
睡眠時間は個人差が大きいですが、最低でも6時間は睡眠を取るようにしましょう。
食事で亜鉛を摂る
テストステロンの低下を阻止するためには亜鉛の十分な摂取が重要であると考えられています。
毛髪中の亜鉛の濃度が高ければテストステロンも高い傾向にあります。
節酒、禁酒をする
アルコールを日常的に摂取するとテストステロン値は低下する傾向にあります。
性力アップのためにはなるべくアルコールを摂取しない、もしくは摂取量を控えることが重要です。
精力増強の悩みによくあるQ&A
勃起力が低下し、性行為に支障がでてパートナーに不満が溜まるくらいならばバイアグラを服用したほうがよいと思われます。
だたしバイアグラは性欲を亢進させるものではないことに注意が必要です。
バイアグラは血流を改善させることによって勃起を促進させるための薬です。
またバイアグラには併用禁忌薬が存在します。
最悪の場合、意識障害や死に至る可能性もあるため注意が必要になります。
バイアグラは個人輸入をすることが可能な薬ですが、思わぬ健康被害を招く可能性もあります。
安全を確保するためにも医師による処方を受けたほうがよいでしょう。
正しい利用法で服用するならばきわめて安全性の高い薬です。
性行為に支障が出て改善したいと思ったならば医療機関で一度診察を受けるべきでしょう。
「また加齢とともに精力減退?なぜ精力が衰えるのか?」の項目のAMSスコアに従いチェックを入れて50点以上の場合、相当に重い男性更年期(LOH症候群)である可能性があるため、ED外来や男性更年期外来などの専門科のある医療機関で診察を受けるようにしましょう。
LOH症候群はQOLを低下させたり心筋梗塞や骨粗鬆症のリスクを上げたりする可能性もあります。
適切に治療することが重要です。
残念ながら現在のところ、EDや精力減退の治療は保険適用外のため全額が自己負担となります。
診察代と処方薬でおよそ1万円ほどかかるのが相場でしょう。
バイアグラにはジェネリック薬品もあるためそれを選べば負担が軽く済みます。
「うまく勃起できなかったらどうしよう」という精神的な不安により勃起力が低下することはよくある症状です。
この場合男性機能自体には問題がないことが多いです。
あくまで精神的な問題なので精神安定剤の服用で改善する場合があります。
バイアグラと一緒に精神安定剤を処方してくれるクリニックも多数あるため、一度診察を受けてみるのもよいでしょう。
精力増強のまとめ
加齢とともに精力が減退していくことは自然な老化現象です。
しかし精力減退は生活習慣やサプリメントなどで改善することも可能です。
またEDで性生活に支障が出る場合もバイアグラを始めとする勃起薬を服用することで対策が可能です。
気にしすぎは悪影響を及ぼすため、いざとなればどうにでもなるくらいの気持ちでいるとよいでしょう。
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帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。