体臭は、汗や皮脂そのものの臭いや汗や皮脂、垢といった老廃物が、表皮に存在する菌によって分解されることで発生する、物質の臭いなどが合わさり発生します。
自分で自分の体臭がどれくらいなのか判断することは難しいため、つい「自分は体臭がきついのかも・・・」という不安に駆られてしまうこともありますよね。
この記事では、体臭のセルフチェック方法と、体臭が発生するメカニズム、そして体臭を消す方法を解説していきます。
目次
もしかして臭うかも!?体臭セルフチェックの
自分の体の臭いは、強弱に関わらず慣れが生じるため、気づきづらいものですよね。
自分で自分の臭いをチェックする方法をお教えします。
シャワー、入浴後に着ていた服の臭いを嗅ぐ
体臭は体そのものではなく、汗や皮脂やそれらが分解された物質から発せられる臭いで
す。
そのため、シャワーを浴びて、体に付着した臭い物質を流し落したあとに、服の臭いを嗅いでみましょう。
背中や脇、首回りなど汗腺や皮脂腺が多い場所の臭いを嗅ぎ、強く臭うようならば、体臭が強めの可能性があります。
枕の臭いを嗅ぐ
首回りは汗腺と皮脂腺が多いため、首回りと直に接する枕は、臭いの原因物質が多く付着しています。
枕の臭いを嗅いでみて、臭いが強いようならば体臭が強めの可能性があります。
耳の後ろの臭いをチェックする
耳の後ろも汗腺と皮脂腺が強く、臭いが特徴的に発せられる部分です。
耳の後ろを指で擦り、臭いを嗅いでみると、自分の体臭がどのようなものかをチェックすることができます。
以上の方法はあくまで目安です。特に臭いの強く出やすい部分を利用したチェック方法なので、通常の体臭よりも臭いが強く出てしまう可能性が高いです。
体臭のセルフチェックは非常に難しいため、可能ならば親しい人に相談をしてチェックをしてもらいましょう。
また臭いの専門医に診断してもらうことでチェックを客観的にしてもらうことも可能です。
体臭はなぜ出てしまう?まずは原因を知ろう
体臭の主な原因は、汗と皮脂と表皮に存在する菌です。体臭の原因となる要素について解説します。
汗・皮脂による体臭
汗は、汗腺から分泌される老廃物を含んだ液体です。
汗腺には2種類存在し、それぞれ役割や成分が異なり、現れる臭いの質も異なります。
エクリン腺からの汗
エクリン腺は全身に分布する汗腺で、特に手のひらや背中に多いです。成分としては99%以上が水で、残りを塩化ナトリウムやカリウム、乳酸などが占めます。暑いときの体温調整や、精神的なストレスを感じたときにかく汗で、基本的には無臭です。しかし汗を放置したまま時間が経過することで、菌が繁殖して臭いが発生します。運動部の学生のような、いわゆる「汗臭さ」はこのエクリン腺からの汗がもとになっています。
アポクリン腺からの汗
アポクリン腺は、腋や性器の周りなどに存在する汗腺です。水は70-80%ほどと、エクリン腺と比較すると少なく、残りの20-30%はタンパク質や脂質、脂肪酸、鉄、アンモニアなどが占めます。フェロモンとして働き、思春期から活動が盛んになります。いわゆるワキガの原因となる汗を発します。
皮脂
皮脂は、皮脂腺から分泌される脂肪などを含む液体です。毛穴に存在し、皮膚や毛髪を保湿して保護する役割があります。しかし、皮脂は酸化することで特有の臭いを発生させます。また、加齢とともに増加する過酸化脂質とあわさり、加齢臭の原因となります。汗や皮脂自体は臭いが無い、もしくは臭いが弱いですが、それらを皮膚にいる菌が分解すると、体臭の原因となる特有の物質が発生し、臭ってきてしまいます。
ストレスによる体臭
また汗と皮脂以外にも、ストレスも体臭の原因となってしまいます。
ストレス
精神的なストレスは、異常に大量の汗をかいてしまう、多汗症の原因の一つとなります。多汗症によって分泌される汗は、エクリン腺からの汗なのでほぼ無臭ですが、拭き取ったりせずに放置すると臭いの原因となります。
体臭の出やすい体質・生活習慣
次のような体質の人や、生活習慣を行っている人は、体臭が出やすいと言えます。
当てはまるものがある人は、記事後半の対策を積極的に行っていき、自信をもって人前に出られるよう、頑張りましょう。
体臭が強くなりやすい6つの体質
- 耳垢が湿っている
- 脇毛が濃い
- 衣服の脇や首回り、枕などが黄色く着色される
- 家族、血縁にワキガの人がいる
- 男性の場合、中年以降の年齢である
- 女性の場合、閉経している
体臭が強くなりやすい7つの生活習慣
- トンカツなど肉料理が好きで、高脂質、高タンパクな食生活である
- 運動して汗をかく習慣がない
- 入浴は湯船に浸からず、シャワーで済ませてしまう
- 喫煙をする
- お酒をよく飲む習慣がある
- 汗をかいてもあまり拭かず、そのままにしてしまう
- 上半身の下着を身につけず、そのままシャツなどを着てしまう
以上の項目に当てはまる人は、体臭が出やすい状態です。
体臭の出やすい部位
体臭には、特に出やすい部位があります。特にこれらの部位に対しケアをしていくことで、効率よく体臭のケアができますので、デオドラントスプレーやシートなどでこまめに汗を拭きとるようにしてみてください。
頭皮、毛髪
皮脂腺は毛穴とともに存在しているため、頭皮・毛髪は臭いが強くなりがちです。できるだけ臭いがこもらないように、短くするのが対策として効果的です。
耳の後ろ
耳の後ろの部分はアポクリン腺が存在しているため、臭いが強くなりがちです。こまめに汗や皮脂を拭き取ってください。
首回り
首回りにはエクリン腺、アポクリン腺、皮脂腺が多く分布しています。特に男性は男性ホルモンによる皮脂の分泌が多いため、臭いが強くなります。
脇
脇にはアポクリン腺が多く分布しているため、ワキガ臭が強くなります。また脇毛の処理をしていない人は菌が繁殖しやすく、臭いもこもりやすくなっています。脇毛の処理が一般的ではない男性の方が、臭いが強くなりがちな場所です。
性器周辺
性器周辺は下着により通気性が悪く、陰毛で菌が繁殖しやすい場所なので、臭いが強くなりがちです。特に女性は経血やおりものが出るので、臭いが強くなる傾向にあります。
足
靴下や靴をはくため通気性が悪く、湿気が多いため菌が繁殖しやすい場所です。ブーツや長靴など通気性が極端に悪い靴を履くと、臭いは非常に強くなってしまいます。
体臭の対策方法 ~食事・栄養成分・サプリメント編~
にんにくやニラを食べた後は体臭が強くなるように、食べたものは体臭に大きく影響します。
体臭をよくしていく食事や栄養の摂り方を解説していきます。
腸内環境の改善を行う
腸内には、善玉菌、悪玉菌、日和見(ひよりみ)菌に分類される多数の菌が生息しています。
善玉菌は乳酸菌やビフィズス菌に代表される菌群で、有機酸を生産することで悪玉菌の増殖を抑えたり、ビタミンの合成をしてくれたりする、体にとって味方の働きをしてくれます。
反対に、悪玉菌は人体に害のある働きをし、有害物質を生産したり、食中毒の原因になったりします。
日和見菌は基本的には無害な菌群ですが、腸内環境が悪玉菌優位に傾くと、人体にとって有害な働きを行う方に変化してしまいます。
腸内環境が悪玉菌優位になると、タンパク質や脂質が腐敗し、アンモニアや硫化水素などの有害物質を生産します。
それらは腸壁から吸収されて血液へと混じり、汗とともに排出され、悪臭を放つ体臭となって現れてしまいます。
逆に腸内環境を善玉菌優位になると、悪玉菌の増殖が抑えられるので、アンモニアや硫化水素による体臭は軽減されます。
腸内環境改善のためには、次のような食品を積極的に摂りましょう。
・菌類のすみか「腸内フローラとは?」善玉・悪玉・日和見が人体に及ぼす影響
・乳酸菌(ビフィズス菌)の効果と効能 整腸効果や免疫力アップ・花粉症・アレルギー・便秘の予防改善など
・ビタミンの効果と働き
オリゴ糖
オリゴ糖は、ビートや玉ねぎ、ゴボウに含まれる糖の一種です。人間のもつ消化酵素ではほとんど消化できませんが、腸内の乳酸菌やビフィズス菌のエネルギー源となることができます。
乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌はオリゴ糖をエネルギー源として増殖し、腸内環境を善玉菌優位にすることができます。
この研究では、ラクツロース、ラフィノース、スタキオース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、キシロオリゴ糖、パラチノースなどの、難消化性オリゴ糖を摂取することで、腸内をビフィズス菌優位の環境にすることがわかりました。フラクトオリゴ糖を50-90歳の老人23人に2週間、1日1回摂取させたところ、糞便中のビフィズス菌が摂取前に比べて、約10倍に増加したことが示されています。人体によい乳酸菌は増加傾向を示し、人体に害のある大腸菌は減少傾向を示しました。
つまり、オリゴ糖を摂取することで悪玉菌が減少し、体臭の原因となるアンモニアや硫化水素の生成を抑えることができると考えられます。
抗酸化成分を摂取する
脂質が酸化した過酸化脂質は嫌な臭いの原因となります。過酸化脂質の体内での生成を抑えるためには、抗酸化物質の摂取がおすすめです。
代表的な抗酸化物質には、ビタミンCやビタミンE、βカロテンがあります。
カテキン
抗酸化成分を摂取するために飲み物を緑茶にすることも効果的です。緑茶にはカテキンと呼ばれるポリフェノールの一種が含まれています。
強い抗酸化作用があることが特徴です。体内で活性酸素が発生すると、脂質を酸化させることで過酸化脂質へと変化させます。
過酸化脂質は独特の臭いを発するため、体臭の形成に非常に強い影響を与えます。
強い抗酸化作用を持つカテキンを摂取することで、過酸化脂質の生成を抑え、体臭を軽減する作用が期待できます。
また、カテキンには口臭を軽減する作用もあります。カテキンは同時に抗菌・殺菌作用もあるため、口腔内の臭いの原因となる菌の増殖を抑制することができます。
食事のあとに緑茶を飲むことで、口腔内の菌を抑制し、口臭を軽減することもできるでしょう。
脂質を食べる頻度を減らす
脂質は腸内で腐敗し、アンモニアや硫化水素などを発生させます。脂質の摂りすぎは体臭の原因となるため、控えるとよいでしょう。
オリーブオイルなどの植物油は体内で腐敗しにくく、体臭を軽減させる作用があるので、油をオリーブオイルに変えてみると体臭の軽減に役立ちますよ。
タンパク質の摂りすぎをやめる
タンパク質は人間にとって必要不可欠な栄養素ですが、摂取しすぎると腸内でアンモニアや硫化水素を発生させる原因となります。
これらの匂い成分は、腸から血液、汗に混じって体臭として現れてきてしまいますので、過度のタンパク質の摂取を避けることで、体臭の軽減に効果があります。
辛い食べ物を摂取する
カプサイシン
カプサイシンは、トウガラシに含まれる辛み成分です。ほかにはコショウやサンショウといった香辛料にも含まれています。
カプサイシンを摂取すると、中枢神経を刺激しエネルギーの代謝を活発にする効果があります。
エネルギーの代謝が活発になることで発汗を促進させ、毛穴に詰まった皮脂などの汚れを排出する作用が期待できます。
毛穴には皮脂腺が存在しているため、汗を流す機会がないと皮脂が蓄積され体臭の原因となります。
普段、あまり汗をかかない人でもカプサイシンを摂取することで発汗が促進されるため、体臭の軽減を期待できるでしょう。
またカプサイシンには体臭の軽減のほか、以下のような効果も期待でき、おすすめの成分です。
- ダイエットの補助
- 血流の改善
- 冷え性の改善
- 便秘の解消
- 食欲増進
体臭の対策方法 ~生活・衣服・入浴のコツ編~
体臭は生活習慣で対策やケアを行うことが可能です。体臭が気になる場合は以下のようなことを試してみるとよいでしょう。
髪の毛を短くする
髪が長いと臭いの原因を作り出す菌の増殖を促してしまいます。また臭いをこもらせてしまう作用もあるため体臭が気になる場合は髪の毛を短くするとよいでしょう。
脇毛の処理を行う
脇は汗腺、皮脂腺ともに多く分布するので、臭いの発生源となりやすい部位です。脇毛の処理を行わないと、菌が増殖する温床になるほか、臭いをこもらせてしまいます。
体臭を軽減するためには脇毛の処理を行うと効果的です。剃ることができない人は短くカットするだけでも効果があります。
こまめに肌着、下着を変える
体臭は、菌が汗や皮脂を分解し、臭いの原因物質を作り出すことで発生します。
その臭いの原因物質が付着した肌着や下着を身につけていると、臭いがいつまでも消えません。こまめに肌着や下着を着替えましょう。
耳の裏、首回り、脇などをこまめに拭く
耳の裏や首回り、脇の下などは汗腺や皮脂腺が多いため、臭いの原因物質が多く生まれる箇所です。
デオドラントシートなどを使用し、こまめに原因物質を拭き取るとよいでしょう。
運動して汗をかく習慣をつける
毛穴には皮脂腺が存在するため、汗をかく習慣がないと、皮脂が詰まって臭いの原因となります。
日常的に運動をして汗をかくことで、毛穴に皮脂が詰まるのを防ぐ効果があります。
入浴は湯船に浸かる
入浴をシャワーだけで済ませてしまうと、十分に体は温まらず、汗をかきません。
入浴の際は湯船に浸かることでしっかりと汗をかき、毛穴の汚れを洗浄してください。また、お湯に浸かることによる消臭効果をアップさせる成分もあります。
重曹をお風呂のお湯に入れると消臭効果アップ!
重曹はベーキングパウダーなどとして食品添加物として使われるほか、胃薬や研磨剤として使用されていますし、ほとんどの入浴剤に含まれている、非常に身近な成分です。
重曹入りの入浴剤を使用すると、以下のようなメリットがあります。
皮脂や脂肪酸などの汚れを落とす
重曹は研磨剤として利用されているほど、汚れを落とす作用があります。
皮脂や脂肪酸といった体臭の原因となる汚れも除去してくれます。
発汗促進
重曹を入浴剤として利用することで、体の芯まで温まる作用が期待できます。
じっくりと温まれば汗をかき、毛穴に詰まった皮脂が除去されて、体臭の軽減が期待できます。
体臭の予防
重曹は弱アルカリ性の物質です。そのため、酸性の物質である脂肪酸や酪酸、乳酸といった体臭の原因となる物質と合わさるとそれらを中和し、臭いを軽減してくれる作用があります。
重曹はほとんどの入浴剤に含まれているほか、薬局に行けば重曹単体が売られています。
色々な香りやリラックス効果も狙いたいならば入浴剤を使用し、安価に入手したい場合は重曹単体を購入するとよいでしょう。
肌の体質によっては肌荒れを起こすこともあり得るので、重曹入りの湯船に浸かった後は、シャワーでしっかり落とすことが重要です。
体臭を消す石鹸・ボディーソープ・シャンプーの特徴
石鹸やシャンプーの選び方も、体臭軽減のために重要なポイントです。
皮膚に残った皮脂や脂肪酸、臭いの原因物質をしっかりと除去するものを選ぶためには、「炭」が配合されているかが非常に重要です。
炭入りの石鹸やシャンプーには、次のような消臭効果があります。
炭の消臭効果のメカニズム
炭は、樹木を高温で加熱することで得られる物質です。炭の構造を顕微鏡で見てみると、微細な孔(あな)がたくさん空いています。
この微細な穴が、皮脂や匂い物質を吸着して取り去ってくれるため、炭が配合された石鹸やボディーソープ、シャンプーには消臭効果があるのです。
また、殺菌、抗菌、保湿作用のある石鹸や、ボディーソープを使用することもおすすめです。
性別ごとの対策
総じて男性の場合は皮脂が多いため、次のポイントを守りましょう。
- 無駄毛の処理を行う
- 皮脂を落とすボディーソープやシャンプーを使う
- こまめに下着を変える
女性の場合は、次の方法がおすすめです。
- 性器周辺を清潔にする
- ブーツなどの気密性の高い履物を避ける
- 汗をかくようにする
体臭は医療機関で治療するべき?
体臭は、基本的には病気ではないため、治療の必要はありません。
体臭が強く出てしまう人であっても、生活習慣の改善や食生活の改善をすることで軽減することが可能ですので、基本的にはご自身でのケアが対策の中心となります。
しかし臭いの原因が次のような疾患である場合は、治療をする場合もあります。
ワキガは重症度によって治療対象になる場合あり
ワキガは、症状の度合いによっては健康保険を適用して治療ができます。詳細はワキガの項目を参照してみてください。
加齢臭はほとんどが治療不要だが、医療機関での相談は可能
加齢臭は疾患ではないため、基本的には治療の必要はなく、生活習慣や食生活の改善で臭いを軽減していきます。
ただしどうしても気になる場合は、「体臭外来」のあるクリニックや、美容クリニックで診察や治療ができることもあります。
多汗症は保険診療、または自由診療として治療の対象になる
多汗症による汗はエクリン腺から分泌されるもののため、そこまで強い臭いを発することはありません。
原因箇所が脇にある多汗症が重度の場合は保険を適用して、重度ではない場合は自由診療として治療することができます。ボトックス注射やレーザーによる治療を行います。
体臭があまりに強い場合、病気の可能性もあります
なんらかの病気により体臭が強まることもあり得ます。体臭に変化が生じる病気の代表的なものには、以下のようなものがあります。
糖尿病
糖尿病になると、インスリンというホルモンの分泌が十分にされなくなり、血糖値のコントロールがうまくできなくなります。そうなると、血中に脂質からエネルギーを取り出した際に生成される「アセトン」という物質が増えます。アセトンは甘い臭いがするため、糖尿病になると、体臭も甘いような臭いが現れるようになります。
腎臓病、腎機能低下
腎臓病や腎機能の低下が現れると、体内で発生したアンモニアが体外に排出されにくくなります。そのため体臭もアンモニア臭がするようになります。
肝臓病、肝機能低下
肝臓は、体内の有害物質を無害な物質へと代謝する解毒作用があります。肝臓病や肝機能の低下が現れると、有害物質を代謝することができず、体臭となって現れます。ドブやカビの臭いに例えられます。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺の機能が過剰に働く状態のことを指します。代表的な疾患にはバセドウ病があります。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて代謝が促進されることで皮脂の分泌が盛んになり、体臭も脂臭くなったり、脂が酸化した臭いを発したりするようになります。
便秘
便秘になると、便が腸内に長く留まることでアンモニアや硫化水素などの有害成分が吸収されて血液に入り、アンモニア臭や硫黄臭などの体臭が発生するようになります。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、皮脂腺から生じた脂質や脂肪酸が原因で皮膚が炎症を起こしてしまう疾患です。フケが生じるため、加齢臭を強めてしまうほか、脂肪酸の量を増やしてしまうため、脂臭い臭いを発するようになります。
急に体臭が変わったと思ったら何らかの疾患が原因である可能性があります。その場合は病院で相談することをおすすめします。
急な体臭の変化が現れた場合、独特な体臭が現れた場合はどんな病院に行けばいい?
上記の項目で解説しているように、特定の疾患により体臭が変化したり強くなったりすることもあり得ます。その場合は該当する診療科での診察が必要になります。
基本的には内科での診察で十分ですが、赤みやかぶれ、乾燥肌など皮膚疾患が現れている場合は皮膚科での診察を受けましょう。
「自分は臭うのではないか?」と精神的な不安が非常に強い場合の対処法
自分の体臭が強いのではないかという不安は、精神的なストレスを発生させ、体臭が強いという思い込みを強くしてしまいます。
不安が強い場合は、体臭専門のクリニックなどで一度診断を受けてみてください。
診断の結果、問題がないのにも関わらず体臭があると感じてしまう時は、精神的なカウンセリングを行う場合もあります。
自分の体臭には慣れてしまうため、どの程度、どんな匂いがしているかを正確に把握することは非常に難しいです。
悩んでいる方は、親しい人に勇気を出して聞いてみる、体臭専門のクリニックなどでカウンセリングを受けるなどをまず行い、客観的な判断をもらうとよいでしょう。
いわゆる体臭とワキガ、加齢臭の違いをおさらい
ワキガも加齢臭も体臭を構成する要因の一つです。ワキガと加齢臭には明確な違いがあるため、おさらいしておきましょう。
ワキガ
玉ねぎの臭い、カレーの臭い、鉛筆の芯の臭い、酢の臭いなどに例えられることが多いです。ワキガは汗腺の中のアポクリン腺から分泌される汗が原因で発生する臭いです。
アポクリン腺には水分が70-80%ほど含まれており、残りはタンパク質や脂質、脂肪酸、アンモニア、鉄などの成分が占めます。
フェロモンとしての働きがあり、思春期以降に盛んに分泌されます。
アポクリン腺の汗そのものにも臭いがあり、さらに含まれている成分を菌が分解することで強い臭いとなります。
加齢臭
加齢臭は、加齢とともに生じる過酸化脂質と皮脂腺から分泌される脂肪酸が結びつくことで発生する「ノネナール」という物質が原因で生じる臭いです。
皮脂腺が多いところから強く発せられるので、頭皮や首筋といった場所から強く発せられます。ろうそくや新聞紙、酸化した油、青臭いなどと感じられることが多いです。
これらのワキガ臭や加齢臭とエクリン腺から分泌される汗、服に付着した物質の臭い、香水などが複合的に合わさり発せられるのが体臭です。
体臭を消す方法 よくあるQ&A
アンモニアは通常腎臓で濾過され、無害な尿素になって尿として排出されます。アンモニア臭が出てしまう時は、腎臓が弱まっている可能性があります。仕事やスポーツによって一時的に過労の状態になると、腎臓の働きが弱まり、アンモニア臭が強くなる可能性があります。
基本的には栄養補給をして、一晩ぐっすりと睡眠を取ればよくなるでしょう。ただし継続してアンモニア臭が出る場合は、腎臓に異常が発生している可能性があります。その場合は内科で診察を受けることをおすすめします。
自分の体臭が強いのではということで軽い鬱状態になっている可能性があります。体臭は非常にデリケートな問題ですが、どんな人であれ大なり小なりあるものなので、気にしすぎないことが大切ですよ。
対策としては、まず家族など信頼できる親しい人に体臭をチェックしてもらうことから始めましょう。それでも不安な場合は、体臭専門のクリニックでカウンセリングを受けましょう。
どのような体臭がするかによって、体臭を軽減できるかどうかが異なるため、明確なお答えはできません。しかし病院でのカウンセリングを受けた上でワキガではないとわかっており、医師から特に何も言われていない場合は、体臭が問題にならないレベルだということでしょう。もしかすると、ご自身が自分の体臭に過敏になりすぎている可能性もあります。
ご相談のようなレベルの体臭でしたら、下記のような基本的な体臭改善方法で様子を見ましょう。
- こまめに汗を拭く
- こまめに下着や肌着を取り換える
- しっかりと汗を流す(スポーツや入浴など)
- 食生活を改善する
それでもどうしても不安な場合、別の病院でも一度カウンセリングを受けてみてください。
金属イオンを素材として利用している下着や肌着を利用するとよいでしょう。金属イオンは触媒として利用されます。臭いの原因物質の分解を速め、体臭の軽減に効果があります。
緊張時に分泌される汗は、エクリン腺から発せられるものです。エクリン腺から分泌される汗の成分は水が99%以上、残りをナトリウムやカルシウムなどの微量ミネラルや乳酸などの有機酸が占めます。水分が99%以上であることから分かるように、出た汗を何時間も放置しなければ、発汗してすぐはほとんど臭いませんので、心配は要りませんよ。気にしないようにしましょう。
体臭を消す対策のまとめ
体臭の原因は、汗や皮脂が表皮に存在する菌によって分解され発生する臭い物質です。汗や皮脂を放置すると時間に応じて、菌が臭い物質を作ってしまいます。
なるべく汗や皮脂は拭き取るようにして、下着や肌着をこまめに替えることが体臭の対策になります。また食生活で脂質やタンパク質を減らし、オリゴ糖や食物繊維で腸内環境を整えることでも、体臭を軽減することが可能です。
体の臭いは非常にデリケートな問題で、大きなストレスにもなってしまうかと思います。できる対策をひとつずつ始めていただき、安心して生活を送れるよう、アドバイスさせていただきました。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。