目の疲れとは?疲れ目が発生するメカニズム
現代社会とパソコンや携帯電話、スマートフォンは切っても切れない関係にあります。
しかし日常的にそういった電子機器を使うことで知らず知らずのうちに目が疲れてしまうのも確か。
疲れ目がどうして現れて日常生活の中でどうやったらケアできるかを解説していきます。
目次
疲れ目の原因とメカニズム
疲れ目は目を酷使することで症状が現れます。眼球の構造はこのようになっています。
このうちピントを合わせる働きを持つ「水晶体」と眼球を支える筋肉である「外眼筋」が疲れ目に関係しています。
水晶体の働き
水晶体はピントを合わせる働きを持つ機関です。水晶体はカメラのレンズのような働きをします。水晶体は近くのモノを見るときは厚く、遠くのモノを見るときは逆に薄くなります。水晶体の厚さを変える筋肉が毛様体筋と言います。
毛様体筋は近くのモノを見る際に緊張することで水晶体に負担をかけて厚くします。近くのモノを見続ける状態が続くと毛様体筋が緊張し続けるため筋肉疲労を起こし、疲れ目の症状が現れます。
外眼筋の働き
外眼筋は眼球を支えるための筋肉です。ほかに眼球を動かす役割も担っています。パソコンや読書などで近くのモノを見続けたり、あるいは遠くのモノを見続けたりすることで外眼筋が一定の状態で固定されてしまうと筋肉疲労を起こし、疲れ目の症状が現れます。
疲れ目は足や腕などと同じく筋肉を酷使することで発生する症状です。
疲れ目になりやすい生活セルフチェック
こんな生活を送っている人は疲れ目になりやすいと言えるでしょう。
- PCや文字を書く、本を読むといった近いモノを見続けることが多い環境である
- 睡眠時間が少なく、目を休ませる時間があまりない
- メガネ、コンタクトレンズなどが目に合っていない
- 長い間、眼科で診察を受けていない
- ドライアイ(※後述)である
- 更年期障害がある
- 冷え性である
- 老眼である
- 自律神経失調症の傾向がある
現代社会に生きている以上、仕方ない部分もあるため疲れ目になりやすい生活を送っていても適切なケアをすることが必要です。
疲れ目の症状セルフチェック
疲れ目には以下のような症状が発生します。自覚のある場合は後半に解説するケアの方法を積極的に取り入れましょう。
- 目がショボショボする
- (一時的に)モノが見えづらい、ピントが合わないような感じがする
- 目が痛い
- 目が充血している
- まぶたが重い
- 目が乾燥している感じがする
- 流涙
これらの症状は目を酷使した際に発生します。PCや読書などを長時間続けた際に出やすく、基本的には慢性的なものではなく一時的な症状になります。十分な休息や血流の改善、リラックスなどで改善させることが可能です。
疲れ目を放置するとどんな危険が?
疲れ目は「眼疲労」と「眼精疲労」と2種類に分けることができます。上で挙げた症状は主に眼疲労に属します。あくまで目の酷使による一時的な症状で休息によって回復するのが特徴です。
対して眼精疲労は眼疲労の症状に加えて
といった身体・精神的な症状も発生します。眼疲労に比べて症状が重く、休息をとっても回復しない慢性的な症状であることが特徴です。眼疲労を治療せず放置することで眼精疲労に悪化する場合があるため、たとえ目の疲れが一時的なものでも積極的なケアが必要です。
ドライアイとは?
人間の目は泣いていなくても常に涙で覆われています。涙には
- 目の乾燥の防止
- 目の汚れの洗浄
- 細菌からの防御
- 目への栄養補給
- 目への酸素補給
といった作用があります。ドライアイの場合は目が十分に潤わないことによって目が疲れたり乾燥したり、霞んで見えたりゴロゴロとした不快感が発生したりといった症状が現れます。
長時間近くのモノを見続けることによるまばたきの回数の低下やコンタクトレンズの使用やエアコンによる空気の乾燥によって涙の分泌や目の表面からの蒸発が発生することでドライアイを発症します。
ドライアイは疲れ目の原因の一つになるうえ、その裏には目の疾患が隠れている可能性すらあります。たかだドライアイと思わず、不快感が気になるようなら積極的に眼科で診療を受けましょう。なお、日常生活においては以下のようなことに気を付けると改善できます。
- PCや書き物、読書などを行う際はコンタクトではなくメガネを装着する
- 目に直接エアコンの風が当たらないようにする
- デスクなどに加湿器を置く
- 涙の分泌を促すため目薬を使用する
- 意識的にまばたきをする
特にコンタクトレンズは涙を蒸発させる作用が強いため、使用者はこういった対策をとりましょう。
日常生活での疲れ目の解消方法
疲れ目は現代社会で生活するうえでは避けられない問題です。そのため日常生活の中で少しずつケアすることで予防したり症状を軽くしたりすることが必要です。
デジタルデバイスの扱い方
VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群というパソコンやスマホ、テレビなどのディスプレイを長時間見続けることによる健康被害が現代人にとって深刻なものになっています。長時間の目の酷使によりドライアイの原因となったり眼疲労を引き起こしたりすることもあります。ちょっとデジタルデバイスの使い方を変えるだけで目への負担を減らすことができるため、その方法を知っておきましょう。
デジタルデバイスを使用する際はメガネで
コンタクトレンズはメガネと比べて目の水分を蒸発させやすいという特徴があります。そのため作業中はコンタクトレンズからメガネに変更すると目への負担が少なくなります。コンタクトレンズでないと不都合がある場合はモイスチャータイプのコンタクトレンズを使用しましょう。
1時間ごとに休憩をとる
長時間、作業を続けるのではなく1時間に10-15分程度は休憩を取るようにしましょう。目への負担が減るほか、集中力も向上します。休憩の際に目元を抑えるといったマッサージや首を回してコリをほぐすなどといったことをするのもおすすめです。
デスクには目薬の常備を
目の乾燥はドライアイや疲れ目の原因となります。デスクには目薬を常備して目の乾燥を感じたら差すようにしましょう。使用する目薬に関しては医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
ディスプレイはまっすぐか少し下がる程度の目線で
ディスプレイを見る際は視線をまっすぐか少し下がる程度にしましょう。上向くとより目の乾燥を促進させるためドライアイ、疲れ目の原因となります。
ディスプレイと目の距離は40cm以上
ディスプレイと目の距離は40cm以上取るようにしましょう。A4用紙の長辺はほぼ30cmなので、それを目安に距離を把握するとよいでしょう。
室内とディスプレイの明暗を調整しましょう
室内とディスプレイの明暗を調整することで、室内に対してディスプレイが眩しすぎる・暗すぎるということがないようにしましょう。
以上のようなことに注意するだけで目への負担は軽くなります。
食事やサプリメント
目によい食べ物には以下のようなものがあります。事務員やシステムエンジニアのように目を酷使する職業の人は積極的に摂取するようにしましょう。
ブルーベリー(ビルベリ―)
ブルーベリー(ビルベリー)は小粒なブルーベリーの一種)は青紫色の果実が特徴的なツツジ科の植物です。日本ではあまり日常的に食べられることはありませんが、アメリカや北欧などではとてもポピュラーな食材です。
ブルーベリーの特徴的な青紫色はポリフェノールの一種である「アントシアニン」によるものです。このアントシアニンが視機能の改善や異常の予防のために働くことから目によい食べ物としてジャムやジュース、健康食品として販売されています。アントシアニンの働きを説明する前にまず、ロドプシンという光に反応する細胞について説明をします。
ロドプシンは暗い光にも反応するけれども色の識別ができない視細胞です。水晶体を通って光が網膜に達すると光のエネルギーによってロドプシンが分解されます。
ロドプシンが分解されることによって刺激が脳に伝わりモノが見えるようになります。分解されたロドプシンはレチナールとオプシンという物質になりますが、暗所で再びロドプシンに再合成されます。
レチナールトオプシンの再合成に支障が生じると目がショボショボする、目がかすむなどといった疲れ目の原因となります。長時間の目の酷使はロドプシンの再合成に支障を生じさせるため、疲れ目を発生させます。
ブルーベリーに含まれているアントシアニンはロドプシンを再合成する働きを促進させる働きがあるため、視機能の改善や異常の予防に効果があると考えられています。
アントシアニンは視機能に対する作用のほか、抗酸化作用や血中コレステロールの低下、抗腫瘍作用もあるため生活習慣病の予防にも適しています。PCや読書などで目を酷使している生活習慣の人は運動量が不足している傾向にあるため、日常的な健康維持に役立つでしょう。
ブルーベリーは日本においては一般的な食品ではなく、ジャムや菓子類など加工食品として利用されることがほとんどです。また、アントシアニンの含有量はブルーベリーよりもビルベリーの方が多いのですが、ブルーベリー以上に一般的ではない食品です。アントシアニンを加工食品として摂取しようとすると高カロリーによる肥満を招く危険性もあるうえ、フレッシュな果実は手に入りにくいためサプリメントでの摂取が勧められます。
ルテイン
ルテインはβカロテンやリコピンなどと同じくカロテノイドの一種です。黄色をしている物質で強い抗酸化作用を持っています。自然界においてはほうれん草や人参、トマト、ケールといった緑黄色野菜やマリーゴールドといった黄色の強い花、卵黄などに含まれています。
生体内では特に水晶体や黄斑部といった目の中に含まれています。ルテインは光によるダメージを軽減する作用があり、目を日光やパソコン、テレビといった光線から保護する役割を果たしています。光によるダメージを軽減するため疲れ目を防ぐ効果が期待できるほか
黄斑変性症:光の刺激による黄斑部へのダメージや加齢による劣化によって視力が低下する病気。症状が進むと失明の可能性もある。
白内障:水晶体が濁ることによって光が網膜にうまく届けることができないため視力が低下する病気。薬によって症状の進行を抑えることが可能だが、症状が重い場合手術する必要もある。
といった疾患を予防する効果も期待できます。ルテインを視機能改善や疾患の予防目的で摂取する場合、1日に6-10mgほどの摂取が効果的と言われています。
<ルテインを多く含む食品>
パセリ100g | — | 10mg |
ほうれん草100g | 約半分 | 10mg |
ブロッコリー100g | 約1/3株 | 1.9mg |
グリーンピース100g | — | 1.7mg |
カボチャ100g | スライス5枚 | 1.3mg |
現実的に考えるとほうれん草が最も現実的な摂取の仕方だと思われます。またサプリメントではマリーゴールド由来のルテインが豊富に含まれていて酸化対策が行われているため、それもおすすめです。
ビタミンA
ビタミンAは皮膚や粘膜、目の健康を維持するのに必要なビタミンです。ブルーベリーの項目で説明したように水晶体を通した光は網膜でロドプシンが分解されることによって刺激となり脳へ伝わりモノを見ることができます。
ロドプリンはレチナールとオプシンという物質に分解されますが、そのうちレチナールはビタミンAから作られる物質であり、ビタミンAを十分に摂取することでロドプシンへの再合成を促進させることができます。
逆にビタミンAが不足するとロドプシンの再合成がうまくいかず暗所での視力が極端に低下する「夜盲症」になる可能性があります。
ビタミンAはビタミン B群やビタミンCとは異なり脂溶性のビタミンです。人間にとって必要不可欠な栄養素ではありますが、過剰に摂取すると毒性を発揮し嘔吐や頭痛を引き起こしたり脂肪肝の原因となったりすることもあります。
妊娠中に過剰に摂取する状態が続くと胎児の奇形が増えることも確認されています。ビタミンAの前駆体(体内でビタミンAに変わる物質)の一つにβカロテンがあります。βカロテンはニンジンやカボチャ、ほうれん草に多く含まれるカロテノイドの一種です。βカロテンは体内で必要量のみビタミンAに変換され、余った分は皮膚や脂肪細胞に蓄積されるため害をなしません。そのためビタミンAの過剰症が心配な場合はβカロテンから摂取することをおすすめします。
<ビタミンAの1日あたりの必要量>
男子 | 女子 | |||||||
推定平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 | 耐用 上限量 |
推定平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 | 耐用 上限量 |
|
0-5(月) | – | – | 300 | 600 | – | – | 300 | 600 |
6-11(月) | – | – | 400 | 600 | – | – | 400 | 600 |
1-2(歳) | 300 | 400 | – | 600 | 250 | 350 | – | 600 |
3-5(歳) | 350 | 500 | – | 700 | 300 | 400 | – | 700 |
6-7(歳) | 300 | 450 | – | 900 | 300 | 400 | – | 900 |
8-9(歳) | 350 | 500 | – | 1200 | 350 | 500 | – | 1200 |
10-11(歳) | 450 | 600 | – | 1500 | 400 | 600 | – | 1500 |
12-14(歳) | 550 | 800 | – | 2100 | 500 | 700 | – | 2100 |
15-17(歳) | 650 | 900 | – | 2600 | 500 | 650 | – | 2600 |
18-29(歳) | 600 | 850 | – | 2700 | 450 | 650 | – | 2700 |
30-49(歳) | 650 | 900 | – | 2700 | 500 | 700 | – | 2700 |
50-69(歳) | 600 | 850 | – | 2700 | 500 | 700 | – | 2700 |
70以上(歳) | 550 | 800 | – | 2700 | 450 | 650 | – | 2700 |
<ビタミンAの多い食品>
モロヘイヤ50g | 半袋 | 420 |
人参50g | 1/2本 | 380 |
ほうれん草100g | 半束 | 300 |
豚レバー10g | 一切れ | 1300 |
うなぎかば焼き120g | 一人前 | 1800 |
アンコウの肝50g | – | 4150 |
動物性食品でビタミンAを摂取する場合、あっという間に必要量や許容量を超えてしまうので注意しましょう。
アスタキサンチン
アスタキサンチンは上述したβカロテンやルテインと同じくカロテノイドの一種です。自然界ではサケやマス、いくら、エビ、カニといった赤色が強い魚介類に含まれています。水中に生息する藻の一種であるヘマトコッカスが食物連鎖により生物濃縮されて、より上位の生物であるサケやマスの筋肉中に含有されていきます。
アスタキサンチンは最強の抗酸化物質と言われていて、抗酸化ビタミンの代表であるビタミンEの1000倍の抗酸化力を持っているといわれています。抗酸化作用によって過酸化脂質や活性酸素の除去をするだけではなく、視機能の改善にも効果的であるという研究データが多数存在しています。
水晶体は毛様体筋という筋肉によって厚みを変化させ、近くのモノや遠くのモノにピントを合わせます。アスタキサンチンを摂取することで毛様体筋のピントを調整する力が強まり、疲れ目の改善に効果があると考えられています。
目は脳と神経で直結したデリケートな部位です。脳には「脳血管関門」と呼ばれる脳に余計な物質を通さない関所のような器官が存在しますが、目にも同じく「血液網膜関門」と呼ばれる同様の役割をもつ器官が存在します。アスタキサンチンはこれらの器官を通過することができるためダイレクトに視機能の改善をすることができます。
アスタキサンチンは強力な作用をもつカロテノイドですが、サケやマス、いくら、エビ、カニなど摂取できる食品が限られています。また塩分や核酸、プリン体が多い食品も多く日常的な摂取は健康に対して悪影響を与える可能性もあります。そのため健康維持の目的のため継続的摂取する場合はサプリメントがおすすめです。
ビタミンB12
ビタミンB12は必須ビタミンであるビタミンB群の1つで造血や脳機能、神経機能に関わります。主に動物性食品に含まれますが腸内細菌によっても作り出されるため通常の食生活を送っている限り不足することはまずありません。
動物性食品を一切取らないベジタリアンの人の場合は不足することがあります。ビタミンB12は経口摂取する栄養素としての側面もありますが、点眼薬として外用する眼科用剤としての側面も持っています。
市販されている目薬の中に赤い色をしたものがあるのを見たことある人も多いと思います。あの赤い色は着色料などではなくビタミンB12の色です。ビタミンB12が点眼されることによって水晶体を調節する機能を改善する作用があります。
市販の目薬を使用する場合
疲れ目の症状の緩和のため市販の目薬を利用する場合のポイントは以下になります。
コンタクトレンズを使用している場合
コンタクトレンズを使用している場合の疲れ目の最大の影響は目の表面から涙が乾くことによる目の乾燥です。この場合は涙液の補助を目的としたものを利用するとよいでしょう。以下のような商品が候補として挙げられます。
- 千寿製薬株式会社
- ロート製薬株式会社
- 参天製薬株式会社
マイティアシリーズ(涙液補助)
新なみだロート
ソフトサンティア
不足している涙を補うため塩化カリウムや塩化ナトリウムが成分として使用されています。
目のかすみ、目のショボショボ感など疲れ目の症状が気になる場合
近くのモノを長時間見ることで毛様体筋が緊張状態を持続している場合、緊張を緩和し毛様体筋の疲労を軽減する作用をもつ目薬を使用するのがよいでしょう。水晶体のピントを合わせる機能を調節する作用をもつメチル硫酸ネオスチグミンを含有したものが候補として挙げられます。
- ロート製薬
- 千寿製薬株式会社
- 参天製薬株式会社
ロートV11
マイティアフレッシュ40
ソフトサンティア ひとみストレッチ
目薬は製品によって刺激が異なります。無理なく快い範囲で差せるものを選びましょう。
※どの目薬にも言えることですが防腐剤不使用の製品を使う場合はなるべき早めに使い切ることが重要です。各製品の案内にも書かれているはずですが、開封後10日前後で使い切ることを推奨されているはずです。防腐剤不使用ゆえに細菌の類が繁殖しやすくなっているため必ず使用期限は守りましょう。
目が疲れた時の対処法
気を付けていてもついつい忙しくて目が疲れてしまうことはよくあると思います。そういったときに役に立つ一時的な目の疲れの対処法を解説します。
晴明(セイメイ)
目の疲れを解消するツボです。目の疲れを解消するツボは多数ありますが、おそらく一番有名なツボです。
片手の親指と人差し指を使って鼻筋に力を入れましょう。目のかすみやショボショボ感が楽になるはずです。
攅竹(サンチク)
晴明と同じく目の疲れを解消するツボです。生命から垂直に上がった眉の部分にあります。両手の親指を使って攅竹に当てギュッと上の方向に持ち上げるように力を入れましょう。
風池(フウチ)
上記2つとは異なり後頭部にあるツボです。うなじの生え際付近に存在していて少しくぼんでいるのが特徴です。両手の親指を風池に当て押し込むように力を入れます。
ツボは優しく力を入れて痛くしないのがポイントです。5秒ほど力を入れて、同じくらいの時間をかけてゆっくりと力を抜きましょう。一か所のツボにつき5回ほど繰り返します。
遠くを見る
現代の疲れ目はそのほとんどが近くのモノを長時間見続けることによって発生します。そのため目が疲れてきたら遠くを見ることが有効です。水晶体を調節する毛様体筋の緊張がほぐれて目の不快感を軽減する効果があります。
まばたきの回数を増やす
同じモノばかり見ているとまばたきの回数が減り、目の表面が乾燥します。そのため意識してまばたきの回数を増やすことも効果的です。まばたきの回数を増やすことが難しい場合は目の疲れを感じたら目を10秒ほど閉じるのもおすすめです。
温かいタオルを目元に当てる
温かいタオルを目に当てることで血流を促進し、筋肉の疲労を散らすことができます。温かいタオルを用意することが難しい場合は温水で顔を洗うことでも効果を得ることができるでしょう。
疲れ目で病院に行くときの準備
たかが疲れ目といっても放置しておくと悪化し頭痛や吐き気、肩こりといった身体的な症状やイライラやうつ、倦怠感といった精神的な症状にまで発展します。疲れ目で以下の症状に悩んでいるときは一度眼科での診察を検討してもよいかもしれません。
- ゆっくり寝たのにも関わらず目の疲労感が消えない
- 慢性的に目が充血している
- 以前より視力が落ちている気がする
- 目やまぶた、目元が痙攣する
- 長時間のPC使用や読書で頭痛や吐き気を生じる
眼科で診断を行う前に以下の情報をまとめていくとよいでしょう。
- 1日のディスプレイ(PC、テレビ、スマートフォンなど)を見ている時間
- 目の既往症
- 1日の睡眠時間
- 使用しているメガネやコンタクトレンズの商品情報
- 市販の目薬などを使用している場合はその製品情報
基本的に眼科には定期的に受診を受けたほうがよいです。個人輸入などでコンタクトレンズなどを処方箋なしで購入できたり、問題がないからと放置したりと疎かになりがちですが問題が出る前に定期的な受診を心掛けましょう。
Q&A
基本的には温めるほうをおすすめします。温めることで血流が促進し、外眼筋に溜まった疲労物質を散らす作用が期待できます。冷やすと一時的に当該の箇所の感覚が鈍るため疲れ目が解消されたように感じてしまいますが、すぐに元に戻ってしまいます。
目がかすんでしまうのは水晶体と毛様体筋の働きが疲労によって衰え、ピントを合わせる働きが弱まることで発生します。【目が疲れた時の対処法】の項目に対処法があるので試してみてください。
疲れ目によって吐き気や頭痛といった身体的症状が発生する明確な理由はまだ解明されていません。しかしモノがよく見えないことによるストレスやよく見えるようにするため不自然な姿勢になってしまうことなどで身体に対して負担がかかってしまうと言われています。
近年よく聞くようになったブルーライトという光があります。その名の通り青い色をした光のことですが可視光線の中で最も紫外線に近い波長をしているという特徴があります。
紫外線は皮膚にシミを作ったり日焼けの原因にもなったりする刺激の強い光ですが、ブルーライトは可視光線の中で最も紫外線に近いため刺激も強いと考えられています。
こういったメガネはブルーライトを軽減するため刺激を弱め疲れ目を発生させにくくすると考えられています。PCやスマートフォン、携帯ゲームなどをよく行う人は使用を検討するのもよいでしょう。
一日中PCを使う環境にいる場合はどれだけ目に負担が少ない環境を作り上げられるかどうかで疲れ目の症状の度合いが異なります。 空間に対してディスプレイが眩しすぎるor暗すぎることはないか、室内の湿度は適切か、十分にディスプレイから離れて見ているかなどを気にしつつ、どうしても疲れたらマッサージやツボ押し、しばらくの間ぐっとまぶたを閉じるなどの簡単なケアを試してみましょう。
まとめ
疲れ目は基本的に一時的なもので十分な休息をとることで回復します。
しかし慢性的に疲れ目が続くことで症状が重くなり眼精疲労を引き起こすこともあります。
眼精疲労は目の不快感のほか、肩こりや頭痛、イライラや倦怠感など身体、精神に対する悪影響を及ぼします。
たかだか疲れ目と思わず適切なケアと治療を行いましょう。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。