脇のムダ毛をきれいに処理しても、次に気なってしまう脇の黒ずみ・・・
特に夏は気になる女性が多いのではないでしょうか?
脇の黒ずみはなぜ起きるのか、そしてケアのためにはどのようなことをすればよいのか、脇の黒ずみの疑問点を解説していきます。
目次
脇の黒ずみはなぜ起こる?
- メラニン色素の沈着
- 皮脂や角質などの詰まり
メラニン色素の沈着による脇の黒ずみ
メラニン色素は黒ずみやシミの原因となるものですが、悪いものではありません。
紫外線や化学物質、物理的な刺激などの皮膚へのダメージを防御するための、本来体にとって必要な色素です。
脇は紫外線に当たることは少ないですが、ムダ毛を処理するためにカミソリで剃ったり、毛抜きで抜いたり、制汗剤を付けたりと刺激が加わりやすい部位です。
また腕と体が擦れることによる刺激も常に加わっています。
そのため、色素は沈着して黒ずみやすい部位と言えるでしょう。
皮脂・角質の詰まりによる脇の黒ずみ
脇は汗腺や皮脂腺が多く、汚れが溜まりやすい部位の一つです。
人間の皮膚はターンオーバーにより古い角質や皮脂が排出されていきますが、不規則な生活や偏った食生活、ストレスなどによりターンオーバーが乱れると汚れが溜まり、酸化して黒ずみとなってしまいます。
メラニン色素の沈着と皮脂・角質の詰まり、それぞれどのような対策をするべきか見ていきましょう。
セルフケア「メラニン色素の沈着」による場合
- ムダ毛処理(カミソリ、毛抜き)を頻繁に行う
- 紫外線
- 衣服や下着の衣擦れ
これらをなるべく減らすことが脇の黒ずみ対策になります。
それぞれの具体的な方法を見ていきましょう。
ポイント1. 皮膚の刺激を抑えたムダ毛処を
まずはポイントとしてムダ毛処理をしたあとにケアをきちんとすることが挙げられます。
刺激があるからと言ってムダ毛処理をしないわけにはいきませんよね。
脇の皮膚の刺激を少しでも弱めるように、ムダ毛処理をしたあとは保湿ケアをすることが重要です。
また脇のムダ毛を剃る際に必要以上に刺激を与えないように、石鹸などではなく脇に適したシェービングクリームを使うことも重要です。
ポイント2. 脇にもUVケアをする
脇に紫外線が当たることはほとんどありませんが、ノースリーブなどを着る際は注意が必要です。
脇はもともと薄く、紫外線に弱い部位でもあるためしっかりとUVケアをするようにしましょう。
ポイント3. ゆとりある服を選ぶ
きつめの衣服や下着を着ないことも重要です。
きつい衣服を着ているとその分、衣擦れが激しくなり脇に刺激が加わってしまいます。
「どうしてもこの服を着たい」という時以外はなるべくゆとりのある服を着るようにしましょう。
セルフケア「皮脂・角質の詰まり」による場合
- 脇はもともと汗腺と皮脂腺が多い
- 脇は蒸れやすい部位である
- 制汗剤の使用が刺激になる
- ムダ毛処理をしたあとに保湿ケアをしない人が多い
ポイント4. 脇は清潔にする
脇はもともと汗腺や皮脂腺が多い部位です。
汗や皮脂による汚れで毛穴が詰まってしまうと、脇の黒ずみの原因となってしまうため清潔を保ちましょう。
入浴の際にきれいに洗うほか、汗が気になったらウェットティッシュなどで拭くとよいでしょう。
ポイント5. 通気性をよくする
脇は汚れやすいのに加えて下着や衣服の影響で蒸れやすいことも特徴です。
通気性が悪くいつまでも汗が乾かないと脇に汚れが付着しやすくなってしまいます。
通気性の良い下着や吸水性の強い下着を着用して蒸れ対策をすることも重要です。
ポイント6. 制汗剤を使いすぎない
制汗剤は汗と反応して汗腺を塞ぎ、汗を防ぎます。
過剰に制汗剤を使用してしまうと毛穴や汗腺が詰まってしまい、皮脂や古い角質が溜まりやすくなります。
制汗剤を1日に何回も使うのは避け、できるだけウェットティッシュなどで拭くことで脇汗対策をしましょう。
ポイント7. ムダ毛処理後は保湿ケアを
ムダ毛処理をした後は毛穴が開いています。
ムダ毛処理後にしっかりとケアを行わないと毛穴の開きがそのままになり、汚れが溜まりやすくなってしまいます。
ムダ毛処理後は保湿ケアをしてキュッと肌を引き締めることが重要です。
原因を問わず行ってほしいセルフケア
メラニン色素の沈着と皮脂・角質の蓄積両方の改善に言えることが「皮膚のターンオーバーを正常に保つ」ことです。
- タンパク質、亜鉛、ビタミンCなど肌のターンオーバーに必要な成分を摂取する
- 睡眠時間をきちんと確保する(最低6時間)
- ストレスはうまく発散する
生活習慣の面ではこの3点を意識しましょう。
ポイント8. 栄養バランス
肌のターンオーバーのためにはタンパク質、亜鉛、ビタミンCが必要です。
特にダイエットをしているとタンパク質が不足しやすく、また亜鉛は日本人全体で不足しがちな栄養素なので積極的に摂取するようにしましょう。
ポイント9. 睡眠時間
肌をターンオーバーさせるための成長ホルモンは、就寝中に特に活発に分泌されます。
22時から26時の間は成長ホルモン分泌のゴールデンタイムと言われているので、夜更かしはせず、しっかりと睡眠時間を確保するようにしましょう。
適切な睡眠時間は個人差がありますが、最低でも6時間の睡眠時間を確保することが大切です。
ポイント10. ストレス発散
ストレスを受けると人間は血管が収縮して皮膚への栄養素や酸素の供給が滞ってしまいます。
肌のターンオーバーを遅らせる原因となるため、ストレスは適度に発散するようにしましょう。
スポーツやカラオケ、おいしいものを食べるなど自分なりのストレス解消法を見つけることが重要です。
脇の黒ずみ改善に適した美容クリームや石鹸
脇をただきれいに洗うだけでは、脇の黒ずみの改善はできません。
脇のケアをするためのクリームや洗うための石鹸には選び方のポイントがあります。
美白成分が含まれていること
脇の黒ずみを改善するためには美白作用のある成分が含まれていることが必要です。
脇の黒ずみに効果的な美白成分には、以下のようなものがあります。
プラセンタエキス
プラセンタは哺乳類の胎盤から抽出したエキスのことです。
天然のアミノ酸や脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれており、皮膚に塗ることで肌のターンオーバーを促進させる働きがあります。
肌のターンオーバーが促進されることでメラニン色素や汚れの排出が促進され、美肌効果が期待できるでしょう。
グリチルリチン酸2K
グリチルリチン酸2Kは、正確に言うと美白成分ではありません。
漢方薬の一つである甘草に含まれている成分で、高い抗炎症作用を示します。
肌荒れを改善して、健康な肌を保つ効果があります。
肌の健康を維持することはターンオーバーを正常にすることに繋がるため、結果的に美白効果が期待できます。
甘草フラボノイド
甘草の根には非常に様々なフラボノイド(ポリフェノールの一種)が含まれています。
甘草の根から抽出されたフラボノイドを皮膚に塗ると、メラニン色素の生成に関わるチロシナーゼという酵素の働きを阻害します。
メラニン色素生成自体が抑制されるため、美白効果が期待できます。
脇の黒ずみのケアのためには上記のような美白成分が含まれていることが重要です。
製品を購入する前にしっかりと確認するようにしましょう。
保湿成分が含まれていること
脇はムダ毛処理や衣擦れにより刺激を受けやすく、肌にダメージを受けやすい部位です。
肌のダメージを軽減して、ターンオーバーを正常にするためにはしっかりと保湿をすることが重要です。
- セラミド
- コラーゲン
- ヒアルロン酸
- エラスチン
などの成分が肌になじみやすく刺激も少ないためお勧めです。
余計な添加物が含まれていないこと
脇の皮膚は薄いため、刺激に弱いです。そのため、刺激のある余計な添加物が含まれていないものを選ぶようにしましょう。
特に石油系の着色料や界面活性剤(青色〇号、黄色〇号、ラウリン酸硫酸Naなど)、紫外線吸収剤、アルコールなどは肌に対して刺激性を持つので注意が必要です。
脇脱毛をすると黒ずみができてしまうの?
例えば自分で毛抜きや除毛クリームを使用した脱毛をしてしまうと、色素沈着が発生して脇に黒ずみができてしまう場合があります。
これは毛抜きや除毛クリームの肌の刺激が強すぎることでメラニン色素が過剰に生成されるためです。
美容皮膚科などで医療脱毛を行う場合は刺激が少なく、本人の肌質にあった脱毛方法を選ぶことができるので、メラニン色素の生成は少なく、脇の黒ずみが生じにくいです。
脱毛をする場合は自分で行うのではなく、クリニックに相談するとよいでしょう。
美容クリニックでの脇の黒ずみの治療
美容クリニックで行う脇の黒ずみの治療は主に3つです。どんな方法で治療するのか見ていきましょう。
ハイドロキノン&トレチノイン
ハイドロキノンは美白作用がとても強い物質です。
メラニン色素を作り出すチロシナーゼの働きを阻害して、メラニン色素の生成を抑制する働きがあります。
そのほかメラニン色素を作り出す細胞であるメラノサイトという細胞の活性を弱める働きをします。
トレチノインは体内でビタミンAに変化する物質です。
ビタミンAは皮膚や粘膜のターンオーバーを正常に保つために必要な栄養素で、ターンオーバーを正常にすることで蓄積したメラニン色素をどんどん排出することができます。
ハイドロキノンとトレチノインは併用することで効果が高まります。
ハイドロキノン自体は市販の化粧品にも含まれていますが、クリニックだとより高濃度で効果の高いものを処方できます。
ハイドロキノンは効果が高いですが、その分肌への刺激性もあるため、通常3か月ほどを限度に治療をします。
3か月分で1万円半ばから3万円くらいが相場でしょう。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、サリチル酸などの酸性の薬剤を皮膚に塗ることで古い角質を除去することで汚れを落とすほか、新陳代謝を活発にする方法です。
皮膚に蓄積した汚れを落とせますし、ターンオーバーを正常にする効果もあります。
ケミカルピーリングは1回だけではあまり効果がなく、月に1-2度継続的に行うことで効果が高まります。
費用は1回当たり1-2万円といったところです。
クリニックだけではなくエステでも行うことができますが、基本的にクリニックの方が効果の高い薬剤を使用できます。
レーザー治療
メラニン色素の沈着が原因の場合、レーザーでの治療も行うことができます。
メラニン色素の色に反応するレーザーを照射して熱を発生させ、メラニン色素を破壊する方法です。
メラニン色素に反応させるため、ほかの部分への刺激は少ないことが特徴です。
1回だけの照射で完全にメラニン色素を破壊できるわけではなく、複数回行うことで徐々に色を薄くしていきます。
片脇1回の照射が1万円台のことが多いでしょう。
クリニックによってはこれらの治療を組み合わせて行うこともあります。
その分費用は高くなってしまいますが、効果は高まります。
脇の黒ずみによくあるQ&A
重曹には確かに研磨作用があり、ピーリングと同等の効果が発揮できることもあります。
しかしその分、皮膚に対する刺激も大きく、肌荒れの原因となってしまうこともあります。
重曹をボディソープなどに混ぜて脇を洗う方法だと思いますが、ボディソープの成分を変性させてしまう可能性も考えられます。
重曹は決してスキンケアのアイテムではないため、あまりおすすめできる方法ではありません。
ムダ毛を処理するだけで皮膚にとっては刺激になってしまうため、無刺激で処理する方法はありません。
ただし刃が直接皮膚に当たらない電気シェーバーや豆乳ローションなどの抑毛ローションは、比較的低刺激でムダ毛の処理ができます。
ワキガの原因であるアポクリン腺から分泌される汗はアミノ酸や脂肪酸、ミネラル分など水以外の成分が豊富に含まれています。
そのため汚れとして毛穴に詰まってしまいやすく、脇の黒ずみが発生しやすいです。
ワキガと脇の黒ずみならば、どちらかというと黒ずみの原因にもなってしまうワキガから先に治療した方が良いでしょう。
すぐに脇の黒ずみを解消することはできません。美容クリニックでも1日できれいな脇に戻すのはできないと思います。
そのためすぐに脇の黒ずみに対処したいときはファンデーションなどで隠すことが基本となります。
ただしファンデーションはきちんと落とさないと毛穴の詰まりの原因になってしまうことには注意しましょう。
脇の黒ずみのまとめ
脇の黒ずみは日々の生活習慣の積み重ねで現れていきます。
日ごろから脇への刺激を少なくして、清潔を保てばある程度予防することができるでしょう。
一度沈着してしまった脇の黒ずみを元に戻すのは大変なので、日ごろの生活習慣を改善することが重要です。
また美白成分と保湿成分が含まれた美容クリームや石鹸を日常的に使用することも有効なポイントです。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。