健康な体をつくるための”7つの栄養素”と”必須栄養素”について

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7つの栄養素

「3大栄養素」から「エネルギー産生栄養素」へ

日本人の食事摂取基準2015年版厚生労働省)」によると、これまで「3大栄養素=タンパク質、脂質、炭水化物(糖質)」と呼ばれていた3つの栄養素が、国際基準に合せて「エネルギー産生栄養素」と名称が変わりました。
7大栄養素の概念図
これにビタミン、ミネラルを加えたものを5大栄養素、さらに食物繊維、ファイトケミカルを加えたものを7大栄養素と呼びます。

これら7大栄養素はチームを組んで働き、どれが不足しても体は円滑に活動することができません。

エネルギー産生栄養素(旧3大栄養素)の働き

タンパク質の働き

タンパク質は、皮膚、筋肉、臓器、骨、毛髪や爪、血液など体のあらゆる組織をつくる主成分になる、エネルギー産生栄養素の中でも筆頭格といえる栄養素です。

1gで4kcalのエネルギーを生み出し、英語ではProtein(プロテイン)と呼ばれますが、これはギリシャ語の「最も大切なもの」に由来しています。それ以外にもタンパク質は、酵素や免疫抗体、精神伝達物質、ホルモンの生成にも利用されるなど、生命活動に関わる重要な役割を担っています。

  • 生命活動の触媒として働く、酵素の原料になる。
  • 免疫システムの根源となる免疫グロブリン(抗体)の原料になる。
  • 赤血球のメイン成分・ヘモグロビンの原料になる。
  • 各種ホルモンをつくる原料になる。
  • 傷ついた細胞を修復し、生活習慣病を予防する。
  • ストレスを緩和する精神伝達物質の素になる。
  • 鉄分と一緒に摂ることで、その吸収率を高める。


《含まれる食品》

牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類、ハム・ソーセージ・ベーコン、大豆製品(納豆、豆腐、ユバ、油揚げ、きな粉など)、ナッツ類、ゴマ  など

《欠乏症と過剰症》
タンパク質が不足すると免疫力や抵抗力が低下し、感染症などの病気にかかりやすくなります。また思考力や記憶力が減退し、成長期の子供の場合発育障害になる危険があります。

逆に過剰に摂取すると、尿として排出されるため腎臓に負担をかけることになります。その際尿中のカルシウム排泄量もふえ、カルシウム不足につながりますので注意が必要です。

脂質の働き

脂質はタンパク質、炭水化物と並び、体内でエネルギー源となる重要な栄養素です。1gで9kcalのエネルギーを生み出し、他の2つに比べて効率の良いエネルギー源と言えます。

それ以外にも、脂質には組織を形づくる原料になったり、体の機能を円滑にする次のような働きがあります。

  • 細胞膜や脳神経組織、ホルモンなどをつくる原料になる。
  • 皮膚表面から水分が蒸発するのを防ぎ、肌を傷やばい菌から守る。
  • 脳や目の網膜、神経系統の機能を高め、精神を安定させる働きをする。
  • 栄養素を体に運ぶ、血管のしなやかさと健康を守る。
  • ビタミンAやEなど脂溶性ビタミンの吸収を高める。
  • 消化や吸収、排せつなどの活動がスムーズに行われるよう手助けをする。
  • 肌の潤いを守り、体のしなやかさを保つ。

《含まれる食品》
肉の脂身、ラード、鶏皮、青魚、植物の油(オリーブ、エゴマ油、ナタネ油など)、バター、マーガリン、生クリーム、アボカド、ゴマ、ナッツ類  など

《欠乏症と過剰症》
脂質が不足すると、体温を保つ熱や活力が低下し、体の消耗が激しくなります。肌のみずみずしさが失われ、乾燥やシワなどの肌トラブル、生理不順などさまざまな弊害が起こります。

また脳も脂質でできているため、脂質不足の人にうつ病が多いとの報告もあります。逆に摂り過ぎると、皮下脂肪や内臓脂肪がふえ肥満になるだけでなく、中性脂肪悪玉コレステロールが増加し、動脈硬化や心臓病のリスクが高まります。

炭水化物(糖質)の働き

炭水化物(糖質)は体内で消化・吸収され、最終的にブドウ糖に分解されて、脳や筋肉など体の主要なエネルギー源として使われます。使われなかったブドウ糖は脂肪組織に運ばれ、体脂肪として蓄えられます。

1gで4kcalのエネルギーになり、脂質やタンパク質に比べすぐさまエネルギー源として使えるのが特徴です。また脳のエネルギー源になるのはブドウ糖だけなので、1日がスタートする朝食には、ご飯やパンなど炭水化物をしっかり摂ることが必要です。

《含まれる食品》
ご飯、パン、麺類、パスタ、いも、果物、砂糖、ハチミツなど

《欠乏症と過剰症》
炭水化物が不足すると、体力が低下し疲れやすくなったり、倦怠感やイライラ、集中力が落ちるなど精神面にも影響を与えます。特に脳にとってブドウ糖は唯一のエネルギー源ですから、不足すると仕事や勉強の効率にも悪影響を及ぼします。一方摂り過ぎると、肥満や糖尿病など生活習慣病を招くおそれがあります。

エネルギー産生栄養素の摂取バランス(旧PFCバランス)

前述の「日本人の食事摂取基準2015年版」では、かつてPFCバランスとして総摂取カロリーに占めるタンパク質・脂質・炭水化物の推奨摂取比率を示していたものを、現代の日本人向けに「エネルギー産生栄養素バランス※1」として見直し、新たな指標を示しています。新しく示された数値(18歳~69歳)は、タンパク質13~20%、脂質20~30%、炭水化物(アルコールを含む)50~65%(18歳~69歳)ですので、栄養摂取の参考にして下さい。
※1 詳しくは厚生労働省「エネルギー生産栄養素バランス」を参照してください。

ビタミン・ミネラルの働き

エネルギー産生栄養素(旧3大栄養素)にビタミン、ミネラルの微量栄養素を加えたものを「5大栄養素」といいます。

ビタミンの働き

ビタミンは、体の働きを助けその調子を整えてくれる重要な栄養素です。必要量はごくわずかですが、体内で合成できないため食品やサプリメントから摂るしかありません。

タンパク質、脂質、炭水化物のように体をつくる原料やエネルギー源にはなりませんが、ごく微量で各組織の活動を正常に保ったり、他の栄養素がスムーズに働けるよう助けるなど潤滑油のような役割を果たしています。

《欠乏症と過剰症》
ビタミンが不足すると、体内の代謝が円滑に行われず、さまざまな体の不調や弊害を引き起こします。バランスの良い食生活を送っていれば欠乏症の心配はありませんが、外食やインスタント食品の利用が多い人は注意が必要です。

また通常の食生活では過剰摂取を心配する必要はありませんが、サプリメントや飲料などから摂る場合摂り過ぎになることもありますので、上限値を守るようにしましょう。ビタミンは互いに助け合いながら働くものですから、1種類を大量に摂るよりバランスよく摂取することが大切です。

脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンについて

ビタミンは脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの二つに分けることができます。

脂溶性ビタミンは油脂に溶け、水には溶けません。脂質と一緒に吸収されます。多くとりすぎた脂溶性ビタミンは肝臓や脂肪細胞に溜まってしまします。食事からの摂取では過剰摂取になることはほぼありませんがサプリメントで摂る場合は注意しましょう。
ビタミンA、D、E、Kがこれにあたります。

水溶性ビタミンは水に溶けやすく、油脂には溶けません。
腸で吸収された水溶性ビタミンは肝臓の門脈血まで入っていくことができます。体内に留まることが出来ないので、タンパク質(トランスポーター)と結合して体内に残ります。不要な水溶性ビタミンは汗や尿と一緒に排出されてしまいます。必要な量を常に摂り続ける必要があります。
ビタミンB群、ビタミンCなどがこれにあたります。

主なビタミンの働きと含まれる食品

主なビタミンの働きと含まれる食品について解説していきます。

脂溶性ビタミン
ビタミンA(βカロテン、レチノール)
主な働き:皮膚や粘膜を丈夫にし、目の機能を正常に保つ効果があります。

含まれる食品:シソ、ニンジン、モロヘイヤ、レバー、ウナギ、チーズ、牛乳など

ビタミンD
主な働き:カルシウムやリンの吸収を助け、丈夫な歯や骨を作ります。

含まれる食品:レバー、キノコ類、煮干し、卵黄、バター、鮭、サバ、サンマなど

ビタミンE
主な働き:細胞の老化を抑え、生活習慣病を予防します。肩こり、冷え症、更年期症状を改善する効果があります。

含まれる食品:紅花油、アーモンド、ピーナッツ、タラコ、カボチャなど

ビタミンK
主な働き:血液の正常な吐血・凝固作用を保ちます。骨の健康を保ちます。

含まれる食品:小松菜、春菊、納豆、ヨーグルト、卵黄、ベニバナ油など

水溶性ビタミン
ビタミンB1
主な働き:糖質の代謝を促します。脳の栄養源となり、中枢神経や末梢神経の働きを正常に保ちます。

含まれる食品:豚肉、ハム、ベーコン、ウナギ、タラコなど

ビタミンB2
主な働き:酵素の働きを助け、脂肪をすばやく燃焼させます。細胞の再生を促し、目・口・皮膚など粘膜の働きを正常に保ちます。

含まれる食品:牛乳、ヨーグルト、レバー、鶏肉、ブロッコリー、ほうれん草など

ビタミンB3(ナイアシン
主な働き:糖質や脂質の代謝を促し、血行を良くします。脳神経の働きを高め、情緒を安定させます。

含まれる食品:マグロ、カツオ、サバ、鶏肉、豚レバー、緑黄色野菜、豆類など

ビタミンB6
主な働き:脂肪やタンパク質の代謝を促進します。脳の神経伝達物質の合成を助けます。

含まれる食品:バナナ、アボカド、ニンニク、ギンナン、クルミ、鶏肉、マグロなど

ビタミンB12
主な働き:葉酸と共にヘモグロビンの合成を助け、貧血を予防します。神経を保護する働きがあります。

含まれる食品:アサリ、シジミ、牡蠣、海苔、スジコ、タラコ、マグロなど

葉酸
主な働き:体内にある約20種類の酵素と協力し、DNAの合成や細胞分裂をサポートします。

含まれる食品:アスパラガス、キャベツ、ほうれん草、レタス、うずら豆など

パントテン酸
主な働き:免疫力を強化し自律神経の働きを高める効果があります。抗生物質の副作用を減らす働きも確認されています。

含まれる食品:レバー、納豆、大豆、卵、さつま芋、キノコ類、鮭など

ビオチン
主な働き:脂肪酸やアミノ酸の代謝を助け、皮膚や神経組織、生殖器官の機能を正常に保ちます。

含まれる食品:玉ネギ、大豆、ピーナッツ、ビール酵母、牛乳、トウモロコシなど

ビタミンC
主な働き:毛細血管、歯、骨などの結合組織を強固にします。活性酸素を無毒化し免疫力を高める効果があります。抗ストレス作用や、鉄分の吸収を高める働きがあります。

含まれる食品:キウイ、グレープフルーツ、イチゴ、ブロッコリー、ピーマンなど

※他にもビタミンB15、ビタミンB17、ビタミンH、ビタミンK、ビタミンP、コリンなどがあります。


ミネラルの働き

ミネラルは体液の中の電解質として生命活動のベースとなるもので、ビタミン同様に体の機能保持や調節に欠かすことのできない必須微量栄養素です。ミネラルの働きを大別すると以下のようになります。

  • 体を構成する原料となる・・・カルシウム、鉄など
  • 生体機能の調節を行う・・・カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど
  • タンパク質と結合して酵素の補助因子として働く・・・マグネシウム、マンガン、銅、鉄など

《欠乏症と過剰症》
ミネラルの欠乏症としては、カルシウムが不足すると骨粗しょう症、骨軟化症、不眠、イライラなど、亜鉛では味覚障害、免疫機能低下、男性の性機能低下、女性の生理不順など、鉄では貧血、無力感、息切れ、めまい、慢性疲労などが上げられます。穀物や野菜をキチンと摂る食事をしていれば充分に摂れる栄養素ですが、不足しがちな人はサプリメントで補うのも良いでしょう。

また日本人の食生活では塩分(ナトリウム)の摂取量が多くなりがちです。減塩に努めるとともに、過剰に摂った塩分を排出してくれるカリウムを含む食品を摂るようにしましょう。

主なミネラルの働きと含まれる食品

主なミネラルの働きと含まれる食品について解説していきます。

主要ミネラル ※ 1日の必要所要量が100mg以上
カルシウム
主な働き:骨や歯をつくる働きをします。緊張や興奮をやわらげ精神を安定させる効果があります。筋肉の収縮をスムーズにします。血液を弱アルカリ性に保ちます。

含まれる食品:煮干し、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)、大豆製品、ヒジキ、ゴマ、ブロッコリーなど

カリウム
主な働き:心臓機能、筋肉機能を調節します。摂り過ぎた塩分(ナトリウム)を体外に排出します。

含まれる食品:イモ類、メザシ、バナナ、プルーン、干しアンズ、トウモロコシなど

ナトリウム
主な働き:生命維持に不可欠な成分です。体内の水分量を一定にして、筋肉や神経の働きを助ける効果があります。

含まれる食品:食塩、しょう油、味噌、梅干しなど

マグネシウム
主な働き:カルシウムと共同して精神を安定させます。筋肉の収縮を抑え脳梗塞や心筋梗塞を予防効果があります。

含まれる食品:ナッツ類、玄米、納豆、アボカド、海藻、タラ、イカなど

リン
主な働き:骨や歯の発育を助け、糖質の代謝を高める効果があります。ビタミンB3の吸収を高めます。

含まれる食品:シラス干し、イワシ丸干し、キンメダイ、イクラ、卵黄、ナッツ、玄米など

微量ミネラル ※ 1日の必要所要量が100mg未満
鉄分
主な働き:赤血球のヘモグロビンの成分になり、酸素を運びます。肌色を良くし、疲労を防ぐ働きがあります。

含まれる食品:ほうれん草、ヒジキ、レバー、貝類、ウナギ、ゴマ、緑黄色野菜など

亜鉛
主な働き:酵素やホルモンの働きを助けます。新陳代謝を促し、男性の生殖機能を高める効果があります。

含まれる食品:牡蠣、牛肉、レバー、卵黄、ナッツ類、ゴマ、米ぬかなど

主な働き:鉄の吸収を助け、ヘモグロビンの生成を促します。高血圧の予防に役立ちます。

含まれる食品:生レバー、ココア、グリーンピース、ソラマメなど

マンガン
主な働き:タンパク質、脂質、炭水化物を消化吸収する酵素を活性化します。骨の生成を促進する効果があります。

含まれる食品:抹茶、煎茶、ゴマ、玄米など

ヨウ素
主な働き:免疫力を高める、抗酸化作用があり細胞の老化を防止する効果があります。

含まれる食品:ハマグリ、シジミなど貝類、ワカメ、ヒジキ、昆布などの海藻など

※他にもイオウ、塩素、クロム、ケイ素、コバルト、臭素、セレン、フッ素、ホウ素などがあります。

第6の栄養素――食物繊維

食物繊維の働き

コレステロールや腸内の有害物質を吸着して体外に排出したり、糖質の消化吸収を抑えて血糖値の上昇を防ぐ働きがあります。また胃や腸で水分を吸収してふくらみ、便の量を増やすことで大腸を刺激してスムーズな便通を促します。

さらに食物繊維は、噛みごたえがあり満腹感が得られやすいため、ダイエットにも効果的。特に高脂肪食に偏りがちで、農薬や食品添加物など有害物質の危険にさらされた現代人にとって、欠くことのできない栄養素です。

《含まれる食品》
ゴボウ、セロリ、竹の子、蓮根、さつま芋、コンニャク、海藻など

《欠乏症と過剰症》
食物繊維が不足すると、便秘や痔になりやすくなります。また腸内が汚れ、動脈硬化や高脂血症、大腸がんのリスクが高まります。

血流も悪くなり高血圧・虚血性心疾患の危険性が高まります。一方摂り過ぎると消化器官が疲労して働きが鈍り、かえって便秘になることもありますので、程度を見きわめて摂るようにしましょう。

第7の栄養素――ファイトケミカル

ファイトケミカルの働き

ファイトケミカルは、植物の「色・香り・苦み・辛み・えぐみ」など栄養素以外の成分から発見された化学物質の総称で、最近になってその重要性がクローズアップされている機能性成分です。

これまで顧みられることのなかったファイトケミカルが注目されるようになったのは、活性酸素の害から体を守る、強力な「抗酸化作用」があることが分かってきたからです。

ファイトケミカルの全容はまだ解明されていませんが、今後さらに研究が進めば、医薬品として、また病気予防や治療にも活用されることが期待されています。
※ファイトケミカルの”phyto”はギリシャ語で植物、”chemical”は化学物質の意味です。

《ファイトケミカルの種類》
ファイトケミカルは大きく分類すると、ポリフェノール系、カロテノイド系、硫黄化合物、テルペン類、グルカン類などがあります。いずれも厳しい自然環境の中で、植物がさまざまな外敵からわが身を守るため生成した物質で、人の体内でも強力な抗酸化物質として働くことが明かになっています。

主なファイトケミカルの種類と含まれる食品

主なファイトケミカルの種類と含まれる食品について解説していきます。

ポリフェノール系 ※植物の表皮、種子などに含まれる色素や苦味・渋味成分
アントシアニン
含まれる食品:赤ワイン、ブルーベリー、赤シソ、紫いもなど
イソフラボン
含まれる食品:豆腐、納豆、きな粉、油揚げ、大豆飲料、味噌、醤油など
フラボン
含まれる食品:セロリ、パセリ、ピーマンなど
フラバノール(カテキン)
含まれる食品:緑茶、番茶、ほうじ茶など日本茶全般、カカオなど
フラボノール
含まれる食品:そば、玉ネギ、ブロッコリー、大豆、レモンなど
フラバノン
含まれる食品:柑橘類の外果皮の白色部分など
ケルセチン
含まれる食品:玉ネギ、ほうれん草、ソバ、ブロッコリー、モロヘイヤなど
カロテノイド系
α-カロテン
含まれる食品:ニンジン、さつま芋、カボチャ、マンゴー、メロンなど
β-カロテン
含まれる食品:モロヘイヤ、ニンジン、アシタバ、カボチャ、春菊、小松菜など
β-クリプトキサンチン
含まれる食品:唐辛子、温州みかん、パパイヤ、ビワ、柿、赤ピーマンなど
リコペン(リコピン)
含まれる食品:トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツ、柿など
ルティン
含まれる食品:トウモロコシ、ほうれん草、ブロッコリー、ケールなど
ゼアキサンチン
含まれる食品:ほうれん草、ブロッコリー、トウモロコシ、レバー、卵黄など
硫黄化合物
スルフォラファン
含まれる食品:ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ケールなど
アリルイソチオシアネート
含まれる食品:ワサビ、大根、カブ、からし菜、カリフラワー、ケールなど
システィンスルホキシド
含まれる食品:ニンニク、玉ネギ、キャベツなど
テルペン類
リモネン
含まれる食品:みかんの皮、グレープフルーツ、ベルガモット、レモンなど
リモニン
含まれる食品:グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど
ショウガオール
含まれる食品:生姜など
グルカン類
β-グルカン
含まれる食品:干し椎茸、キクラゲ、シメジ、ヒラタケ、アガリクス茸、大麦など

 

必須栄養素って何?

必須栄養素とは人が健康的に生きていく上で必要不可欠な栄養素のことです。

先に紹介した18種のビタミン、20種のミネラルの他に、9種類の必須アミノ酸、5種類の必須脂肪酸があり、そのほとんどは体内で生成されないため、日々の食事やサプリメントで摂るしかありません。必須栄養素はバランス良く摂ってこそ、本来の健康効果を発揮します。

偏った摂り方をすると、逆に摂取できていない栄養素の欠乏症を起こす場合もありますので、バランスの良い摂取を心がけましょう。

必須アミノ酸の働きと含まれる食品

必須アミノ酸の働きと含まれる食品について解説していきます。

イソロイシン
主な働き:タンパク質、特に筋肉をつくるのに重要な働きをします。神経の働きを助け判断力や反射速度を向上させる効果があります。ヘモグロビンの生成に不可欠な成分です。運動をする人には欠かせない分岐鎖アミノ酸(BCAA※2)の一つです。
※2 分岐鎖アミノ酸BCAA(branched-chain amino acid)とは、必須アミノ酸「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の総称で、筋肉のエネルギー代謝に深く関与するアミノ酸です。

含まれる食品:マグロ、豚ロース赤身、牛肉、鶏肉、鮭、レバー、カツオ、大豆タンパク、高野豆腐、湯葉、シラス干しなど

ロイシン
主な働き:肝機能を高める、集中力を高めるなどの効果があります。BCAAの一つとして筋肉の成長を促し運動時のエネルギー源になります。

含まれる食品:カツオ、鶏肉、鶏卵、レバー、大豆、カッテージチーズ、アジ、トウモロコシなど

バリン
主な働き:BCAAの一つです。筋肉の成長を助け運動能力を高める、肝機能を高める、食欲不振を改善するなどの効果があります。

含まれる食品:マグロ、牛・豚レバー、プロセスチーズ、豆腐、スキムミルクなど

リジン
主な働き:抗体の原料になり免疫力を高める、感染症に対する抵抗力を高める、脂肪酸やブドウ糖の代謝を促進する、肝機能を高める、細胞の修復や発育を助ける、などの効果があります。

含まれる食品:肉類、牛乳、レバー、カツオ、アジ、高野豆腐、大豆タンパク、シラス干し、湯葉など

スレオニン
主な働き:新陳代謝を高め、成長を促進する効果があります。肝臓への脂肪蓄積を防ぐ効果があります。体内でのコラーゲン合成時の原料になる成分です。

含まれる食品:マグロ、カツオ、豚ロース赤味、鶏ムネ肉、高野豆腐、湯葉、シラス干しなど

メチオニン
主な働き:アレルギーを引き起こすヒスタミンを体外に排出する効果があります。記憶の低下を防ぎます。発毛を促進する効果があります。

含まれる食品:マグロ、鶏ムネ肉、豚ロース赤身、無調整豆乳、小麦全粒粉、レバーなど

フェニルアラニン
主な働き:脳内伝達物質の原料になり記憶力を高める効果があります。血圧を正常に保ちます。鎮痛効果、抗ストレス効果、抗うつ効果があります。

含まれる食品:牛レバー、カツオ、マグロ、鶏ムネ肉、アーモンド、大豆製品、ソバなど

トリプトファン
主な働き:鎮痛、催眠、精神の安定などに関わる神経伝達物質「セロトニン」の原料になります。

含まれる食品:ピーナツ、バナナ、卵黄、大豆、大豆製品、乳製品、牛乳など

ヒスチジン
主な働き:大人には合成できますが子供には合成できません。成長促進、神経機能の補助、脂肪燃焼効果があります。血管を広げ血圧を安定させます。ヘモグロビン・白血球の生成に関わる成分です。

含まれる食品:カツオ、マグロ、ブリ、イワシ、サンマ、大豆タンパク、鶏肉、ドライミルク、チェダーチーズなど

必須脂肪酸の働きと含まれる食品

必須脂肪酸の働きと含まれる食品について解説していきます。

オメガ3(n-3系)
α‐リノレン酸
主な働き:細胞膜の成分になります。中性脂肪を減らし、血栓や高血圧の予防、老化防止、アレルギーを抑えるなどの働きがあります。

含まれる食品:エゴマ油(シソ油)、亜麻仁油、クルミなど

DHA・EPA
主な働き:中性脂肪や悪玉コレステロールを減らし血管の若さを保ちます。DHAには脳の働きを活発にする効果もあります。

含まれる食品:サバ、サンマ、イワシ、マグロなどの魚脂

オメガ6(n-6系)
リノール酸
主な働き:現在の日本では摂りすぎが問題視されている脂肪酸です。摂りすぎると、血栓症や動脈硬化の原因となります。

含まれる食品:サフラワー油(紅花油)、ヒマワリ油、大豆油、コーン油、綿実油、ゴマ油、スナック菓子など

γ‐リノレン酸
主な働き:血糖値や悪玉コレステロール値を下げ、生活習慣病を予防する。皮膚の炎症を抑え、月経前症候群(PMS)の症状をやわらげる効果があります。

含まれる食品:月見草油、カシス種子油、母乳など

アラキドン酸
主な働き:乳児の脳や体の発達に不可欠。学習能力・記憶力の向上、免疫機能や血圧を調整する働きがあります。

含まれる食品:卵、牛レバー、豚レバー、イクラ、タラコ、母乳など



栄養や食生活の基礎知識についてさらに詳しいことが知りたい方は、こちらをご覧ください。
厚生労働省「栄養指導」について
厚生労働省「平成25年 国民健康栄養調査結果の概要」について

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