サプリメントはビタミンのような身近なものから、初めて名前を聞くようなものまでさまざまな種類があり、また形状もいろいろなので、何をどのように選べば良いのか迷ってしまうという人も多いのではないでしょうか。そんなあなたのために、ここではサプリメントの働きや形状別にカテゴリー分けして紹介したいと思います。
働き・目的による分類
3つの働きで健康を育むサプリメント・ツリー
サプリメントはその働きや目的によって、3つのカテゴリーに分けることができます。NPO日本サプリメント協会では人の体を1本の大きな木に例え、健康を育むためのサプリメントを、
- 健康な体の土台をつくるためのベース・サプリメント
- 健康維持・増進を目的とするヘルス・サプリメント
- 特定症状の改善などの目的で摂るオプショナル・サプリメント
の3つに分類して紹介していますので、サプリメント選びの参考にして下さい。
サプリメント・ツリー
サプリメント・ツリーで大切なことは健康な木を育てる土壌、つまり「食事、睡眠、休息、運動」などの生活習慣です。日常生活を健康的に過ごしたうえで、サプリメントはあくまでも補助的に用いましょうというメッセージがこの図には込められています。
1)ベース・サプリメントとは
体を構成する細胞の働きや、各器官の健やかな営みを支える基本となる栄養素です。ビタミン(ビタミンE、葉酸など)やミネラル(亜鉛など)、アミノ酸、乳酸菌、食物繊維、プロテイン、必須脂肪酸のDHAやEPAなどがこれに該当します。いずれも食事に含まれる栄養素で、食事だけでは不足しがちなものを補給することを目的に、有効成分を抽出・濃縮してつくられています。栄養バランスが乱れ、食生活が偏りがちな現代人にとっては、70~80%の人が必要なサプリメントと言えるでしょう。
健康づくりの基本となる栄養素ですから、思いついた時ではなく、毎日少しずつでも長く続けていくことが大切です。ただし妊娠中・授乳期の女性、病院で薬を処方されている人など特別な場合は、摂るのを控えるべきものもありますので、主治医や薬剤師に相談してください。
2)ヘルス・サプリメントとは
健康の維持・増進に役立てるサプリメントです。免疫力や抗酸化力を高め、体の調整機能を整えるためのもので、青汁、黒酢、イソフラボン、ローヤルゼリー、プルーンエキス、プロポリス、クロレラ、ビール酵母、カテキン、セサミン、発酵玄米など豊富な種類があります。
これらの食品の成分は単一ではなく、複合的な健康効果を持っているため、現在の段階では効果効能が科学的に証明されていないものもありますが、長い食の歴史や民間伝承などで健康づくりに役立つものと考えられているものです。優先順位としてはベース・サプリで土台をつくり、さらにヘルス・サプリで補強するものと考えると良いでしょう。
「健康食品」のくくりで、多種多様な商品が販売されているのがこのジャンルです。中には品質や安全性について、疑問のあるものも交じっている場合がありますので要注意。賢い消費者になるには、ある程度サプリメントについて勉強をして、良質なものを見きわめる目を身につけることが大切です。
3)オプショナル・サプリメントとは
体調の回復や特定の症状改善のために摂るサプリメントです。ハーブや薬草由来のものが多く、イチョウ葉エキス、ウコン、マカ、ノコギリヤシ、霊芝、高麗人参、キチン・キトサン、ブルーベリー、グルコサミン、冬虫夏草などがこれに当たります。いずれも普段の食事で目にするようなものではなく、伝統医療や民間医療などで古くから利用されてきたものや、薬効を期待して抽出された成分で、海外では医師が治療薬として処方しているものもあります。
特定の目的のために摂るものですから、食事をとる感覚で誰もが不用意に摂って良いものではありません。また医薬品に近い作用があるため、他の医薬品と併用したり、妊娠中・授乳中の女性が摂取すると、成分によっては弊害が出る場合もありますので、必ず主治医に相談するようにしましょう。
形状による分類
サプリメントにはさまざまな形状があり、それぞれ特徴がありますので押さえておきましょう。
タブレット(錠剤)
粉末や顆粒の有効成分を飲みやすく圧縮・成型したもので、日本で市販されているサプリメントの大半がこのタイプです。品質の保存性が高く、簡単に一定量を摂取できるのが特徴。小粒で無味無臭、携帯に便利なので、水さえあればどこでも飲める手軽さが大きなメリットです。最近では水なしで噛んで摂取する、チュアブルという錠剤も開発されていて、高齢の方など錠剤を飲みこむのが苦手な方にもおすすめです。弱点としては、結合剤や滑沢剤などが使われるので純度がやや低く、高圧により圧縮するため成分が損なわれるという点があげられます。
粉末(パウダー)
有効成分をパウダー状にしたのがこのタイプ。コラーゲンや青汁などでよく見られるもので、純度が高く有効成分が体内にすばやく吸収されるのが特徴です。高圧・高熱を長時間加えるという工程が少ないため、成分が損なわれる割合も低く、比較的手頃な価格で購入できる点もメリットと言えるでしょう。弱点としては携帯に向かないこと、湿気に弱いことなどのほか、味や匂いがストレートなので苦手な人には辛いかも知れません。水に溶けやすい特徴を生かして、牛乳やジュースなどに溶かしたり料理に混ぜて使えるので、料理好きの人におすすめです。1日分を個包装したものや、計量スプーンで計るタイプなどがありますので、ライフスタイルに合せて選びましょう。
ハードカプセル
セルロース・ゼラチンなどの皮膜でできたカプセルに、粉末や顆粒などの成分を詰めたもの。飲みやすく、必要な栄養素を効率よく摂取できるのが特徴です。コスト的には一番高くなりますが、純度が高く、外気から有効成分を守っているため、安全性・保存性ともに高いのがメリットです。味や匂いが苦手な成分を摂りたい場合、有効成分を加工せずそのまま摂取したいという人におすすめのタイプです。最近ではキャップとボディを一体化して気密性を高めたもの、胃で溶けず腸まで届くもの、油性の液体も封入できるものなど機能が広がっています。
ソフトカプセル
ゼラチン・グリセリン・でんぷんなどの皮膜で液状の成分を包んだもので、成分が安定しやすく、密封性・安全性が高いのがこのタイプです。トロッとした液状の成分や固形油脂などに適し、ビタミンEやDHA・EPAサプリメントなどに多く見られます。内部の成分の純度は高いのですが、ハードカプセルに比べ皮膜部分が厚いため、中に入れる成分は全体の50%程度が限界なので、摂取量が多い素材には向きません。カラフルで見た目が美しく、飲むのが楽しくなるのも人気になっているポイントの一つです。
ドリンクタイプ
錠剤やカプセルタイプと違い携帯するにはあまり適しませんが、液体なので吸収がよく、どのタイプよりも即効性があるのが特徴です。そのため疲労回復、滋養強壮、ビタミン補給やお酒に備えるドリンクなどのほか、美容効果のあるコラーゲンなども、即効性が欲しい人にはおすすめです。このタイプのもう一つの特徴は、食事と一緒に摂る必要がなくいつでも飲めること。ただ一見同じドリンクに見えても、健康食品のドリンクは清涼飲料水に、栄養ドリンクは医薬品・医薬部外品に分類されますので、きちんとチェックして、栄養ドリンクの場合は用法・用量を守るようにしましょう。
ゼリータイプ
最近サプリメント市場にさっそうと登場、TVCMなどでタレントが歩きながらカッコよく摂取するシーンが紹介され、人気を集めているのがゼリータイプです。水なしで摂取でき、やわらかくすっとのどに通る食感も新鮮。錠剤やカプセルが飲み込みづらいという人にもおすすめできます。ジューシーなスイーツ感覚で楽しめる美味しさも特徴で、いつでもどこでもおやつ感覚で摂取できるスタイルが新しいと言えます。スティックタイプになっているものもあり、片手で手軽に食べられるので便利。コラーゲンゼリーなど、お洒落な女性の新しい美容習慣として人気が高まっています。
ペーストタイプ
有効成分をペースト状にして、1回分ずつ個包装したもので、このタイプのサプリメントはあまり多くなく、酵素サプリメントなどがその代表的なものです。食品衛生法で加熱が義務づけられているドリンクタイプと異なり、加熱せず水分量も約30%に抑えられているため、発酵食品のパワーを損なわず濃度が高いのが特徴です。
サプリメントのことをもっと知れば、必要なものが見えてきます!
いかがでしたか? 「ひと言でサプリメントといっても、こんなに種類があるなんて!」と、目からウロコの人も多いのではないでしょうか。サプリメント選びに迷ったら、「サプリメント・ツリー」を思い出して、自分にとって何が必要かをもう一度考えましょう。