パントテン酸とは
パントテン酸は水溶性ビタミンB群の一つで、ビタミンB5とも呼ばれています。糖質代謝,脂質代謝の補酵素として働きます。
また、コラーゲンの合成に必要なビタミンCの働きを助けて、肌の健康を維持しています。
肉類,魚類,豆製品,種実類,乳製品,キノコ類などさまざまな食品に含まれ、腸内細菌からも合成されます。
通常の食事を続けている場合、パントテン酸が不足することはありませんが、不足すると肌荒れや倦怠感,副腎障害,末梢神経障害などを引き起こしやすくなります。
目次
パントテン酸の生理作用・メカニズム
パントテン酸は生細胞中で補酵素のコエンザイムA(CoA)の誘導体であるアセチルCoA,アシルCoAの形として存在しています。また、酵素タンパク質と結合したホスホパンテテインの形でも存在します。
これらは消化管で遊離し、腸内の酵素によりパントテン酸にまで消化され、体内に吸収されます。
パントテン酸は140種類以上の酵素の補酵素として働き、さまざまな代謝やホルモン合成に関与します。
糖質代謝: | ピルビン酸がアセチルCoAに変換されるとき、ピルビン酸脱水素酵素の補酵素として働きます。 |
---|---|
脂肪酸代謝: | 脂肪酸がアシルCoAに変換されるときの酵素の構成成分となります。 |
酵素にはタンパク質のみと、タンパク質に補酵素が結合している場合があります。補酵素は酵素の作用を助ける非タンパク質性の低分子物質です。タンパク質と非共有的に結合している場合、補酵素は主にビタミン(とくにビタミンB群)が構成しています。
パントテン酸の効果・効能
パントテン酸の効果・効能は以下です。
- エネルギー代謝に関与
- 肌の健康維持
- 副腎皮質ホルモンの合成
- HDLコレステロールの生成を促進
- ストレスの緩和
パントテン酸が不足すると生じる症状
パントテン酸はバランスの良い食事を摂っている場合、不足することはあまりありません。
しかし、不足すると
- 皮膚炎
- 倦怠感
- 免疫力低下
- ストレス
- 成長障害
などを引き起こす要因となります。
パントテン酸の目安量
それでは、パントテン酸はどのくらい摂取できていればいいのでしょうか?パントテン酸の目安量は以下の通りです。
パントテン酸の食事摂取基準(mg/日)
年齢等 | 男性 目安量 |
女性 目安量 |
---|---|---|
0~5(月) | 4 | 4 |
6~11(月) | 3 | 3 |
1~2(歳) | 3 | 3 |
3~5(歳) | 4 | 4 |
6~7(歳) | 5 | 5 |
8~9(歳) | 5 | 5 |
10~11(歳) | 6 | 6 |
12~14(歳) | 7 | 6 |
15~17(歳) | 7 | 5 |
18~29(歳) | 5 | 4 |
30~49(歳) | 5 | 4 |
50~69(歳) | 5 | 5 |
70以上(歳) | 5 | 5 |
妊婦 | – | 5 |
授乳婦 | – | 5 |
パントテン酸の効果的な摂り方
パントテン酸の効果的な摂り方をご紹介します。
パントテン酸を豊富に含む食品
パントテン酸は次のような食品に豊富に含まれます。
鶏レバー | 40g(1人前) | 4.4mg |
---|---|---|
子持ちカレイ | 130g(1人前) | 3.1mg |
納豆 | 50g(1パック) | 2.14mg |
うなぎ | 100g(1人前) | 1.29mg |
牛乳 | 200cc(1カップ) | 1.04mg |
玄米 | 150g(1膳) | 0.85mg |
効果・吸収率をアップさせる摂り方
栄養素は腸から吸収され、一緒に食べる食品や腸内の環境にも影響を受けます。
腸内環境を健康に保つことで、パントテン酸の効果・吸収率があがります。
バランスの良い食事を続けることが大切です。
パントテン酸とあわせて摂りたい成分
エネルギー代謝に関与するビタミンB群はあわせて摂りたい栄養素です。
パントテン酸の作用を邪魔する成分
特にありません。
摂取期間の目安
食品のため、毎日継続して摂ることが大切です。
パントテン酸摂取の注意点
パントテン酸を摂取する際に注意したいのは以下の点です。
パントテン酸の副作用
通常の食事で過剰摂取による健康被害は報告されていません。
パントテン酸を摂ってはいけない人,注意を要する人
特にありません。
一緒に摂ってはいけない成分,食品,薬など
特にありません。
パントテン酸のよくある疑問Q&A
パントテン酸はさまざまな食品に含まれ、通常の食生活で過剰に摂取することはありません。しかし、不足すると毛髪の健康を損ねる可能性があります。サプリメントを利用して過剰摂取しても、水溶性ビタミンのため過剰分は体内に吸収されず、尿に排泄されます。そのため、パントテン酸の過剰摂取と薄毛の関連性は明確ではありません。
食品の可食部100gあたりにパントテン酸量が5mgを超える食品は肝臓以外にはありません。サプリメントを1日の用量を大幅に超えて摂るといった場合を除き、通常の食生活により、パントテン酸を過剰摂取することはありません。そのため、普段の食事で摂取するパントテン酸と肌の乾燥の関連性は心配をしなくてよいでしょう。また、現在、耐容上限量を設定できるだけの研究データが十分にでていないため、上限量は設定されていません。
それぞれのオススメのタイプは以下の通りです。
パントテン酸単体のサプリ:
皮膚炎に困っている方,毛髪の健康に困っている方,イライラなど倦怠感がとれない方などにおすすめです。
ビタミンB群のサプリメント:
エネルギー消費の多い方,疲れやすい方,ストレスの多い方などにおすすめです。
マルチビ タミン・ミネラルのサプリメント:
食事バランスが偏る方、野菜不足の方、外食が多い方、アルコールや甘いものをよく摂る方などにおすすめです。
パントテン酸のまとめ
パントテン酸は水溶性ビタミンB群の一つです。三大栄養素(糖質,脂質,タンパク質)がエネルギーに変わるときに関わる補酵素の構成成分となります。
また、コラーゲンの合成に必要なビタミンCの働きを助けて、肌の健康維持にも関与します。
肉類,魚類,豆製品,種実類,乳製品,キノコ類など多くの食品に含まれています。
パントテン酸は腸内細菌からも合成され、吸収利用されるため、通常の食事を摂っている場合、パントテン酸が不足することはほとんどありません。
不足した場合、肌荒れや倦怠感、睡眠障害が発生することがあります。
健康増進や疾病予防、美容には日々の食事が基本となります。様々な食品を摂るようにし、単一の栄養素に偏らないことも大切です。
外食や偏食が続いてしまうときや、食事が十分に摂れず、栄養バランスがくずれる時は、サプリメントを補助として利用し、健康づくりに役立ててください。
米国にて高等教育終了後帰国し、食物栄養学部を卒業。大学研究室にて秘書、翻訳を経験後、現在管理栄養士として栄養関連記事の執筆、栄養指導、英日・日英翻訳に従事。
「シンプルな食スタイルで元気になりたい」こんな思いを伝えていきたいと、日々探求しています。