ビタミンB2とは
ビタミンB2は水溶性のビタミンであり、エネルギー代謝や物質代謝の補酵素として働きます。
TCA回路(エネルギー産生の回路)・電子伝達系・脂肪酸のエネルギー代謝に関与し、ビタミンB2が不足すると、子どもの場合は成長障害を引き起こします。
また、ビタミンB2は皮膚や粘膜を保護し、不足すると、口内炎・口角炎・舌炎・脂漏性皮膚炎などの症状があらわれます。
現代の日本人の食生活では、ビタミンB2の欠乏症は認められていません。
スポーツ選手や肉体労働が多い方などエネルギー消費量が多いほど必要量が増えます。
目次
ビタミンB2を多く含む食べもの
ビタミンB2は次のような食品に多く含まれています。
- 豚レバー 1人前 50g:1.8mg
- 牛レバー 1人前 50g :1.5mg
- うなぎ蒲焼 1人前100g:0.74mg
- 鯖 1人前100g :0.28mg
- 銀鮭 1切れ100g:0.14mg
- 納豆 50g1パック:0.29mg
- 鶏卵 50g 1個:0.24mg
- 牛乳 コップ1杯200ml :0.30mg
- プロセスチーズ 3個 50g: 0.20mg
- アーモンド 10粒:0.17mg
ビタミンB2の生理作用・メカニズム
生細胞中のビタミンB2はリン酸が一つ結合したフラビンモノヌクレオチド(FMN)、および、FMNにアデノシン一リン酸(AMP)が結合したフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)として、酵素タンパク質と結合して存在しています。
体内に入ると小腸粘膜の酵素により加水分解されてビタミンB2にまで消化され、小腸上皮細胞から体内に取り込まれます。
その後、ビタミンB2は小腸粘膜でリン酸化されてFMNとなり、血液により肝臓や腎臓に運ばれてFADに変換されます。
酵素タンパク質と結びつき、補酵素としてエネルギー代謝や物質代謝に関与します。
ビタミンB2の摂取
↓
小腸で吸収される
↓
補酵素型への変換(リボフラビン(RF),FMN)
↓
補酵素型への変換(FMN,FAD)
↓
酵素タンパク質との結合
↓
酵素反応
↓
ビタミンB2の生理作用発揮
ビタミンB2の効果・効能
ビタミンB2には次のような効果・効能があります。
- 脂質代謝の促進
- 皮膚・粘膜の保護作用
- 成長ホルモンの合成
- 生活習慣病の予防
- ダイエット効果
ビタミンB2が不足すると生じる症状
ビタミンB2が不足すると、
- 口内炎や舌炎
- 肌荒れ
- 目の充血
- 子どもの成長障害
などの症状があらわれます。
普段の食生活でビタミンB2が不足することはありませんが、栄養バランスが偏るときはサプリメントを利用し、体調管理に役立ててください。
潜在性欠乏症・欠乏症とは?
潜在性欠乏症とは、慢性的にミネラルが欠乏している状態です。
「なんとなく体調が悪い」という症状が続き、この状態が長く続くと、生活習慣病にかかるリスクが高くなります。
欠乏症とは体内のミネラル分が欠乏している状態です。
よくおこる症状としては、ヨウ素欠乏による甲状腺腫や鉄欠乏による貧血、カルシウム不足による骨粗鬆症、亜鉛不足による味覚障害、カリウム不足による循環器疾患です。
ビタミンB2の推奨量と摂取量・上限量
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)にて以下の表が公開されています。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
年齢等 | 推定 平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 | 推定 平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 |
0~5(月) | – | – | 0.3 | – | – | 0.3 |
6~11(月) | – | – | 0.4 | – | – | 0.4 |
1~2(歳) | 0.5 | 0.6 | – | 0.5 | 0.5 | – |
3~5(歳) | 0.7 | 0.8 | – | 0.6 | 0.8 | – |
6~7(歳) | 0.8 | 0.9 | – | 0.7 | 0.9 | – |
8~9(歳) | 0.9 | 1.1 | – | 0.9 | 1.0 | – |
10~11(歳) | 1.1 | 1.4 | – | 1.1 | 1.3 | – |
12~14(歳) | 1.3 | 1.6 | – | 1.2 | 1.4 | – |
15~17(歳) | 1.4 | 1.7 | – | 1.2 | 1.4 | – |
18~29(歳) | 1.3 | 1.6 | – | 1.0 | 1.2 | – |
30~49(歳) | 1.3 | 1.6 | – | 1.0 | 1.2 | – |
50~69(歳) | 1.2 | 1.5 | – | 1.0 | 1.1 | – |
70以上(歳) | 1.1 | 1.3 | – | 0.9 | 1.1 | – |
妊婦(付加量) | – | – | – | +0.2 | +0.3 | – |
授乳婦(付加量) | – | – | – | +0.5 | +0.6 | – |
特記事項:推定平均必要量は、ビタミンB2の欠乏症である、口唇炎,口角炎,舌炎などの皮膚炎を予防するに足る最小摂取量から求めた値ではなく、尿中にビタミンB2の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定。
耐容上限量、目標量は設定されていません。
ビタミンB2の効果的な摂り方
ビタミンB2の効果をアップさせる摂り方を紹介します。
効果・吸収率をアップさせる摂り方
ビタミンB2は熱に比較的安定しているので、加熱調理に向いています。
光には弱いため、ビタミンB2を含む食材やサプリメントは直射日光を避けて保存、保管して劣化を防ぐようにしてください。
ビタミンB2とあわせて摂りたいビタミン・ミネラル
ビタミンB2は他のビタミン類の代謝にも関与しています。
三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の代謝の補酵素として働くビタミンB1、ビタミンB6、また、子どもの発育に関与する葉酸はあわせて摂りたいビタミンです。
- ビタミンB1:糖質の代謝を促進
- ビタミンB6:アミノ酸の代謝を促進
- 葉酸:子供の発育に関与
ビタミンB2の作用を邪魔するビタミン・ミネラル
特にありません。
摂取期間の目安
ビタミンB2は水溶性ビタミンのため体に溜めておくことができません。継続的に摂っていくことが必要です。
ビタミンB2摂取の注意点
ビタミンB2摂取の際は次の点にご注意ください。
ビタミンB2の副作用
ビタミンB2は水溶性のビタミンです。過剰摂取した場合でも、体内での必要量以上は、尿として排泄されます。
通常の食事では、過剰摂取による健康障害を引き起こすことはありません。
ビタミンB2を摂ってはいけない人・注意を要する人
特にありません。
一緒に摂ってはいけない成分・食品・薬など
抗生物質・副腎皮質ホルモン剤・精神安定剤・経口避妊薬の多量摂取はビタミンB2の働きを阻害します。
長期間併用すると、ビタミンB2欠乏の症状を引き起こす可能性がありますのでご注意ください。
ビタミンB2のよくある疑問Q&A
天然ビタミンはビタミンが高濃度に含む動植物から抽出されているので、食品として捉えることもできます。素材により生産工程にコストがかかるため、天然ビタミンは一般的に高価です。食事での不足分を補給する目的として、長期的に摂取することがすすめられています。
合成ビタミンは安価な材料を用いて大量生産が可能です。医薬品ビタミンの多くは分子構造を変えて合成され、低価格で利用されています。 疾病の回復を目的に、短期間のみ集中的に利用することがすすめられています。
ビタミンB2は水溶性のビタミンであり、体内での必要量を超えると、尿として排泄されます。体に有害ではありません。成人の場合、1日の必要量の約1.1mg/日を超えると、尿中に排泄されるビタミンB2量は増えます。
低用量ピルとビタミン剤の併用は特に問題はありません。
低用量ビルとの併用に注意する薬は抗生剤や抗てんかん薬等、サプリメントではセントジョーンズワートです。
ビタミンB2のまとめ
ビタミンB2は水溶性のビタミンであり、三大栄養素(糖質,脂質,タンパク質)の代謝に関与しています。
レバー・魚・卵など動物性食品に多く含まれ、不足すると口唇炎や口角炎・肌荒れ・髪のトラブル、子どもでは成長障害を引き起こします。
ビタミンは相乗的に働くため、一種類を多量に摂取するより、それぞれのビタミンをバランスよくとることで、効能が高まります。
毎日の食事の栄養バランスを整えることが大切ですが、栄養が偏るときや食事が十分に摂れない時は、サプリメントを活用して体調管理に役立ててください。

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米国にて高等教育終了後帰国し、食物栄養学部を卒業。大学研究室にて秘書、翻訳を経験後、現在管理栄養士として栄養関連記事の執筆、栄養指導、英日・日英翻訳に従事。
「シンプルな食スタイルで元気になりたい」こんな思いを伝えていきたいと、日々探求しています。