ビタミンCは水溶性のビタミンであり、野菜や果物に多く含まれます。血管・皮膚・粘膜・骨に必要となるコラーゲンの生成を助けて、肌トラブルを予防する作用や、鉄分の吸収を高めたり、傷の治りを早めたりする作用があります。
また、多量に摂取することで、免疫力が高まり、強い抗酸化作用と合わせて、風邪や感染症の予防・生活習慣病の予防の効果が期待されています。
ビタミンCが不足すると、コラーゲンの生成が衰え、毛細血管がもろくなり、出血しやすくなります。肌荒れ・歯茎の出血・傷の治りの遅れ・免疫力低下・疲労などの原因となります。
アルコールをよく飲む方や喫煙する方、ストレスが多い方はビタミンCの消費量が増えるため、意識して摂取しておきたいビタミンです。
目次
ビタミンCを多く含む食べもの
ビタミンCは、次のような食品に多く含まれています。
- アセロラジュース コップ1/2杯 :120mg
- レモン 2/3個:100mg
- キュウイ 1個 :69mg
- いちご 5粒 :62mg
- オレンジ 1個:40mg
- パプリカ 1個 :170mg
- ブロッコリー茹で 1/2株:54mg
- カリフラワー茹で 1/2株:53mg
- キャベツ生 1枚:41mg
- パセリ 5枝 25g:30mg
- じゃがいも 水煮 小1個 :21mg
- さつまいも 蒸し 1/2本 :20mg

ビタミンCは熱・酸素・光に弱く、水に溶けやすい性質があります。生で食べるか、調理する際は煮汁ごと食べられる調理法で摂取すると効率よく摂ることができます。野菜不足が気になる方は、食事に合わせてサプリメントや栄養ドリンクで補いましょう。
ビタミンCの生理作用・メカニズム
ビタミンCは体内に入ると、消化管の中では消化されず、小腸上皮細胞で生成されるSVCT1(ビタミンCトランスポーターの1つ)により吸収され、血流を介して組織や臓器に運ばれます。
1日あたり30~180mgのビタミンCを経口摂取すると、約70~90%が吸収されますが、1,000㎎以上まで摂取量を増やすと、吸収率は50%未満に低下し、過剰分は尿中に排泄されます。
通常、ビタミンCは体内に約1,500mgが貯蔵され、そのうち約3%が毎日代謝されます。1日約100mg程度を摂取することで、その分量は維持されますが、2~3か月ほど、ビタミンCを全く含まない食生活を送っていると、貯蔵ビタミンC量が300mg以下にまで低下すると示唆され、壊血病を引きおこす要因となります。
ビタミンCの効果・効能
ビタミンCには次のような効果・効能があります。
ビタミンC不足をセルフチェック
次のような場合、ビタミンCが不足している可能性があります。
不足はしていないが、多めに摂った方がいい人
次にあてはまる場合、ビタミンCを多めに摂るよう心がけて下さい。
- 野菜不足の方
- 加工食品・インスタント食品・甘いものを良く食べる方
毎日の献立に手作りの野菜と果物のジュースを加えたり、間食には果物を摂ったりして、1日の野菜と果物の摂取量を増やしていきましょう。
ビタミンCがやや不足していると生じる症状(潜在性欠乏症)
次にあてはまる場合、ビタミンCが不足している可能性が高いです。積極的な摂取が必要です。
厚生労働省が定める「健康日本21(第二次)」では、成人の野菜摂取の目標は1日350g以上とされ、そのうち緑黄色野菜は120g以上とすすめられています。しかし、食生活の多様化や偏食により、多くの方が目標量を満たせていません。
ビタミンCは野菜や果物の他に、穀類(とうもろこし)や芋類、根菜、豆類(枝豆、空豆)にも含まれています。野菜が苦手な方は、献立にとうもろこし・じゃが芋・さつま芋・かぼちゃ・かぶ・れんこん・枝豆なども活用して、ビタミンCの摂取量を増やしていきましょう。
また、野菜不足が続くときは、サプリメントや栄養ドリンクを利用することで、ビタミンCを摂取するようにして下さい。
ビタミンCが完全に不足していると生じる症状(欠乏症)
現在の日本の食生活ではビタミンC欠乏症の心配は少ないですが、心身にかかるストレスの増大、大気汚染などにより、ビタミンCの消費は増えています。ビタミンCが完全に欠乏すると次のような症状が現れます。
- 歯肉や皮下、粘膜からの出血
- 消化管・尿路からの出血
食生活の改善とともに、サプリメントや栄養ドリンクを利用して、意識的にビタミンCを摂取していくことが、健康維持に必要です。
潜在性欠乏症・欠乏症とは?
潜在性欠乏症とは、慢性的にミネラルが欠乏している状態です。「なんとなく体調が悪い」という症状が続き、この状態が長く続くと、生活習慣病にかかるリスクが高くなります。
欠乏症とは体内のミネラル分が欠乏している状態です。よくおこる症状としては、ヨウ素欠乏による甲状腺腫や鉄欠乏による貧血、カルシウム不足による骨粗鬆症、亜鉛不足による味覚障害、カリウム不足による循環器疾患です。
ビタミンCの推奨量と摂取量・上限量
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)にて以下の表が公開されています。
年齢 | 推奨量(男性) (mg/日) | 推奨量(女性) (mg/日) | 目安量 | 上限量 |
---|---|---|---|---|
0~5か月 | – | – | 40mg | – |
6~11か月 | – | – | 40mg | – |
1~2歳 | 35mg | 35mg | – | – |
3~5歳 | 40mg | 40mg | – | – |
6~7歳 | 55mg | 55mg | – | – |
8~9歳 | 60mg | 60mg | – | – |
10~11歳 | 75mg | 75mg | – | – |
12~14歳 | 95mg | 95mg | – | – |
15~17歳 | 100mg | 100mg | – | – |
18~29歳 | 100mg | 100mg | – | – |
30~49歳 | 100mg | 100mg | – | – |
50~69歳 | 100mg | 100mg | – | – |
70歳以上 | 100mg | 100mg | – | – |
妊婦(付加量) | +10mg | – | – | |
授乳婦(付加量) | +45mg | – | – |
ビタミンCの効果的な摂り方
ビタミンCの効果をアップさせる摂り方を紹介します。
効果をアップさせる摂り方
ビタミンCは野菜と果物に多く含まれています。毎日の食事でメインのおかずに野菜を添えること、生の果物を加えることを意識しましょう。
野菜と果物の彩(緑・黄・赤・橙・紫など)が豊かな献立は、ビタミンCを多く摂取できる目安となります。食事から十分量が摂れない場合は、サプリメントや栄養ドリンクを活用してみてください。
吸収率をアップさせる摂り方
ビタミンCは熱に弱いため、生のまま食べる方が効率よくとれます。加熱調理する場合、調理時間はなるべく短くします。水に溶けだすため、煮汁ごと食べられる調理法も吸収率をあげる摂り方です。
ビタミンCとあわせて摂りたいビタミン・ミネラル
ビタミンCは抗酸化作用があり、同様に抗酸化作用の高いビタミンEとあわせて摂ると、効能が高まります。
また、ビタミンCは鉄の吸収を促進させる作用もあり、特に野菜や穀物に多く含まれる非ヘム鉄の吸収を高めます。植物性食品由来の鉄は動物性食品由来の鉄より、体内への吸収率が悪いため、ビタミンCとあわせて摂ることで、吸収が良くなります。
ビタミンCの作用を邪魔するビタミン・ミネラル
ビタミンCの作用を邪魔するビタミン・ミネラルはありません。人参、きゅうり、カリフラワー、バナナ、りんごなどに含まれる酵素のアスコルビナーゼはビタミンCを破壊する作用があります。アスコルビナーゼは熱と酸に弱いため、加熱調理にしたり、酢を加えたりすることで、ビタミンCの破壊を抑えられます。
摂取期間の目安
ビタミンCは体内で合成されないため、健康維持・増進のために継続的に摂取することが必要です。
ビタミンC摂取の注意点
ビタミンCの摂取の際は次の点にご注意ください。
ビタミンCの副作用
ビタミンCを多量摂取すると、一般的に吐き気・下痢・腹痛などの症状があらわれますが、水溶性のため過剰摂取した分は尿中に排泄され、安全と考えられています。しかし、腎機能障害がある方は、ビタミンCの摂取量が増えると、シュウ酸結石のリスクが高まることが指摘されています。
ビタミンCを摂ってはいけない人・注意を要する人
腎機能障害を有する方は、薬とサプリメントとの飲み合わせを医師にご相談ください。
一緒に摂ってはいけない成分・食品・薬など
ビタミンCはエストロゲンの主作用と副作用を増強する作用があります。そのため、低用量ピルとビタミンCを合わせて摂ることにより、高用量ピルと同じくらいの強い作用があらわれる可能性がありますので、併用にはご注意ください。
ビタミンCのよくある疑問Q&A
天然と合成では同じ化学構造をとり、機能的に大きな差異はありません。合成ビタミンは安価な材料から大量に合成できるため、多くの医薬品ビタミンは合成ビタミンとして低価格で流通されています。
一方、天然ビタミンはビタミンが高濃度に含む動植物から抽出されるため、コストがあがります。
合成のビタミンCは、芋・とうもろこしなどのデンプンを素材として分子構造を変えて、作られています。血中ビタミン濃度が低い時や、壊血病・夜盲症の回復に短期的・集中的に利用することがすすめられています。
天然ビタミンCは主に、ビタミンCを多く含む柑橘類やローズヒップなどの食材から抽出されます。動植物由来の天然の分子は細胞に適応して吸収されやすいため、食生活の不足分を補うことを目的に、長期的に摂る利用法がすすめられています。
サプリメントを飲むことで、何らかの不快症状がでるときは、摂取を控えてください。顔のかゆみは肌のバリア機能が正常に働かないときに生じます。他に飲んでいるサプリメントや薬がある場合、それらの配合成分とビタミンCとの飲み合わせ、および過剰摂取にもご注意ください。
はい、効果的です。ビタミンCは抗酸化物質として働き、メラニン色素の沈着を防いで肌本来の透明感をもたらす作用があります。メラニン色素は皮膚を紫外線から守り、新陳代謝が正常に行なわれていると、約28日の周期で新しいものと生まれかわり、古いものは剥がれ落ちます。しかし、新陳代謝の周期が乱れてくると、メラニン色素は沈着してシミやそばかすの原因となります。
ビタミンCの効果効能のまとめ
ビタミンCは野菜や果物に多く含まれている、水溶性のビタミンです。抗酸化作用が高く、美容効果・免疫力向上・コラーゲン合成・骨形成などに関与するビタミンです。
ビタミンCは体内で合成されないため、健康維持のために毎日継続して摂取することが必要です。食品から十分量が摂取できないときは、サプリメントや栄養ドリンクを利用してみましょう。
米国にて高等教育終了後帰国し、食物栄養学部を卒業。大学研究室にて秘書、翻訳を経験後、現在管理栄養士として栄養関連記事の執筆、栄養指導、英日・日英翻訳に従事。
「シンプルな食スタイルで元気になりたい」こんな思いを伝えていきたいと、日々探求しています。