亜鉛とは
亜鉛は2,000種類以上ある酵素のうち約300種類の組成に欠かせない大変重要なミネラルで、主に細胞分裂や新陳代謝,タンパク質の合成,抗酸化,アルコール分解,免疫活性化,育毛などの働きがあります。
さまざま効果がある亜鉛ですが特に注目すべきは細胞分裂に亜鉛が深く関係していること。新陳代謝が活発で細胞分裂が盛んな組織や年齢ほど亜鉛の必要量は多くなります。
亜鉛は体重70kgの男性で約2.5gの亜鉛が体内に存在していますが、亜鉛を体内に貯蔵する方法が無いため常に食べ物やサプリメントなどから補給しなければなりません。
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亜鉛を多く含む食べ物
亜鉛は肉類から穀物,野菜と色々な食品に含まれています。中でも亜鉛を多く含む食材は牡蠣や牛肉,鶏肉,豚肉,卵,ごま,ココア,のり,ワカメ,昆布,カニ,スルメ,白米,納豆,ブロッコリー,レバーなど。特に牡蠣には亜鉛が多く含まれていますが、毎日は食べられません。日常的に食べる食材で亜鉛の含有量が多いのは「海苔(のり)」です。食品からの亜鉛の吸収率は約30%程度です。
亜鉛はビタミンCと同時に食べると吸収率が良くなる性質があるので食べ合わせを工夫してみてください。牡蠣にレモンを絞ってかけると、酸味の味と合いおいしく、吸収率もアップするので、最高の組み合わせです。エンドウ豆や空豆も亜鉛を多く含む食材ですが、豆類に含まれるフィチン酸がカルシウムと一緒に摂ると亜鉛の吸収を妨げてしまいます。
亜鉛をサプリメントで補うには
亜鉛不足が気になるときには食べ物からだけにこだわらず、サプリメントからの摂取を検討してください。今まで不足してきた分を補う必要があるため食べ物からだけでは限界があります。サプリメントを数ヶ月間使用すると亜鉛不足が解消されてきますので、その段階になったらサプリをやめて食べ物に気をつけるようにしてください。
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亜鉛の効果・効能
亜鉛は体内のいたるところで働いているミネラルです。そのため効果・効能も多義にわたります。
酵素の活性化
約300種類の酵素を活性化します
細胞分裂や新陳代謝
細胞分裂する際に亜鉛が不足していると、DNAが正しく分裂できなくなります
活性酸素の消去
亜鉛はSODという抗酸化酵素の材料になります
胎児の健康な成長
細胞が爆発的に分裂する妊娠中は大量に亜鉛が必要なります。
精子を作る
アメリカでは亜鉛のことをセックスミネラルと呼び、精子の生成や運動,女性の卵巣にも働きかけます。
アルコールを分解する
アルコール脱水酵素がアルコールを分解するときに亜鉛が必要なります
免疫力を高める
免疫細胞を活性化する働きがあります。亜鉛をたくさん摂っていると風邪を引きにくくなるというデータがあります
味覚
亜鉛は味覚細胞の形成にかかわっています。そのため亜鉛不足になると味覚異常になります。
穏やかな気持ちにする
脳内にも亜鉛は多く存在し、記憶や精神の安定に関わっています。
血糖値を下げる
亜鉛は糖の代謝に必要なインスリンを作るために必要になります。
子供の健康な成長
細胞分裂が活発な成長期の子供には亜鉛は不可欠。亜鉛が不足すると身長,体重が正常に増加しない成長遅滞になってしまいます。亜鉛がインスリン様成長因子(IGF)の働きを補助し骨の成長を束示威しているという研究があります。
男性が亜鉛を摂る効果やメリット
男性の場合、亜鉛の摂取から期待できる主な効果は、性機能の向上です。これは亜鉛がタンパク質の合成や細胞の新生、前立腺の機能維持にかかわっているためです。その結果、次のような効能につながります。
その他にも、味覚・嗅覚を正常に保つ、粘膜や皮膚を健康に保ち免疫力を上げる、記憶力を高めうつを緩和するといった効果もあります。亜鉛の効果を得るためには、成人男性の場合は毎日約10mgを目安にサプリメントを選び、摂取します。
女性が亜鉛を摂る効果やメリット
女性の場合も男性同様に、亜鉛の摂取によって性機能を維持・向上が期待できます。女性においては、適量の亜鉛の摂取によって卵胞刺激ホルモン(エストロゲン)・黄体形成ホルモン(プロゲステロン)の分泌が促され、次のような効果につながります。
- 月経の乱れ(生理不順)や無排卵を防ぐ
- 月経周期の安定にともない、妊娠しやすい体づくりがスムーズになる
- 亜鉛の抗酸化作用により、卵子の老化を予防する
亜鉛というと男性の精力増強のイメージが強いですが、女性の妊活においても亜鉛は重要な役割を果たしています。亜鉛の効果を得るためには、成人女性の場合は毎日約7mgを目安にサプリメントを選び、摂取します。
亜鉛欠乏症について
亜鉛は細胞分裂に深く関わっているミネラルです。亜鉛が不足してしまうと細胞分裂が正常に行われなくなるためいろいろな欠乏症が現れます。世界ではじめて亜鉛不足の症状が確認されたのは中東で発見された成長障害の男性の例です。実年齢は20歳なのに亜鉛不足で細胞分裂が行われず成長が止まってしまい10歳程度にしか見えなかったそうです。
現在の日本では成長障害が起きてしまうほど亜鉛不足になってしまう例は考えにくいですが、軽度の亜鉛不足,潜在的な亜鉛欠乏は起きています。成人が亜鉛不足になった場合最初に現れる欠乏症が「味覚障害」です。味覚障害の半数以上が亜鉛不足が関連しているといわれています。
その他亜鉛が不足してしまうと、
などいろいろな症状が現れます。
亜鉛が不足すると、味覚障害を引き起こします。これは舌にある”味蕾(みらい)”と呼ばれる味を感じる細胞(味細胞)が、十分に機能しなくなってしまうために起こる症状です。味蕾は新陳代謝が表皮並みに早く約30日で細胞が生まれ変わります。亜鉛不足で細胞の新陳代謝が遅れると味蕾が壊れるため味覚がくるってしまいます。現在、味覚障害や味覚異常に悩んでいる人が増え、味覚異常外来を訪れた患者数は20万人以上にも上ります。
参照:日本経済新聞「味覚異常の患者増加 亜鉛不足、ストレスも原因」
味覚障害になると味を感じないため、より濃い味付けの食事をとるようになり、結果として肥満や脳梗塞のリスクが高まります。亜鉛不足の原因のひとつは食品自体に含まれる亜鉛が減少したことによるもの。また食品添加物の中に含まれる成分が、キレート化合物を作りだし亜鉛の吸収を抑制し、尿と一緒に排出してしまうためといわれています。亜鉛は最も不足していまいがちなミネラルとも言われています。
つまりどんなにサプリメントで亜鉛を摂取しても、外食や加工食品によって食品添加物を多く含んだものを食べていると、亜鉛は吸収されず体外に排出されてしまうのです。バランスのとれた食事をとりつつ、亜鉛サプリメントをプラスすることで、より効果的に亜鉛を吸収することができます。
亜鉛の推奨量と摂取量
亜鉛の推奨量は18-69歳の男性で1日10mg、同年代の女性で8mgです。妊婦と授乳婦はそれぞれ +2mg、+3mgです。上限量は男性45mg,女性35mg/日。国立衛生試験所が行った亜鉛摂取量調査では平均男性10.7mg、女性8.1mgとなっています。(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」より)
性別 | 男性 | 女性 | ||||||
年齢等 | 推定 平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 | 耐容 上限量 |
推定 平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 | 耐容 上限量 |
0-5(月) | – | – | 2 | – | – | – | 2 | – | 6-11(月) | – | – | 3 | – | – | – | 3 | – |
1-2(歳) | 3 | 3 | – | – | 3 | 3 | – | – |
3-5(歳) | 3 | 4 | – | – | 3 | 4 | – | – |
6-7(歳) | 4 | 5 | – | – | 4 | 5 | – | – |
8-9(歳) | 5 | 6 | – | – | 5 | 5 | – | – |
10-11(歳) | 6 | 7 | – | – | 6 | 7 | – | – |
12-14(歳) | 8 | 9 | – | – | 7 | 8 | – | – |
15-17(歳) | 9 | 10 | – | – | 6 | 8 | – | – |
18-29(歳) | 8 | 10 | 0 | 40 | 6 | 8 | – | 35 |
30-49(歳) | 8 | 10 | – | 30 | 6 | 8 | – | 35 |
50-69(歳) | 8 | 10 | – | 30 | 6 | 8 | – | 35 |
70以上(歳) | 8 | 9 | – | 30 | 6 | 7 | – | 35 |
妊婦(付加量) | – | – | – | – | +1 | +2 | – | – |
授乳婦(付加量) | – | – | – | – | +3 | +3 | – | – |
亜鉛の副作用と過剰症
1日100mg以上を長期にわたり摂取した場合、嘔吐,吐き気,脱水症状,発熱,倦怠感などの副作用,過剰症の危険があります。経口摂取で1日50mgを1週間以上続けると嘔吐,イライラ,不安感などの副作用が発症しやすくなるというデータがあります。また、2,000mg以上で急性中毒の危険があります。
亜鉛の副作用は銅とのバランスにより起きてしまいます。亜鉛は銅の吸収を妨げたり、銅を排出させるような働きがあり大量の亜鉛を長期間摂ってしまうと体内が銅不足になってしまいさまざまな副作用が起きてしまいます。亜鉛は抗生物質(テトラサイクリン,フルオロキノロン)などの吸収を妨げてしまいます。薬を使っている場合は必ず医師,専門家に相談してください。

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米国にて高等教育終了後帰国し、食物栄養学部を卒業。大学研究室にて秘書、翻訳を経験後、現在管理栄養士として栄養関連記事の執筆、栄養指導、英日・日英翻訳に従事。
「シンプルな食スタイルで元気になりたい」こんな思いを伝えていきたいと、日々探求しています。